発展科学の異端者 学生編

ユウ

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天才?天災?科学魔法師現る

7.戦闘訓練合宿開幕

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 この学園の一番の特徴は、入学式からしばらくして、さっそく強化合宿と名の付く戦闘訓練合宿が始まる。この訓練は、生半可な生徒たちの心を折るために作られたものだ。故に、毎年数名の脱落者が出ている。

 数名と聞いて少ないように感じると思うが、挫折しても、この学園を去ることのできない生徒もいるので、それぐらいが妥当である。なぜ、そこまでして卒業したいのか。その答えはシンプルなものだ。科学武装師という称号があれば戦うこと以外でも、お金が稼げるからである。

 例えばの話、科学武装師の座学講師や、戦闘後衛部隊指揮、など未来につながるからだ。

 そしてこの合宿が、1次試験になる。零は、この試験には興味はなかった。だがこの合宿に、全力で零は参加することになる。

 それは、今の零は知る由もなかった。


 バスの中で零は外を眺めていた。

 基本的には学園の外には出ることができないが、こういうイベントでは学外に出ることができた。

 だから零は、外を眺め続ける。

「城ケ崎君だっけ」

 そう声をかけてきたのは、このクラスの委員長をしている平城 龍也ひらしろ りゅうやだった。

「そうだけど…」
「ねぇ。城ケ崎君は、科学武装師に何でなりたいと思ったの」
「……」

 零は窓から外を眺めながら、考える。この学園に来たのは、親から、家族から逃げるためだったからだ。それが、零の中の理由。正直、科学武装師なんかには興味がなかった。

「金が、欲しかったからかな」
「お金の為か。それも大事だよね」
「そういう、お前はどうなんだ」

 零の中では興味のないことだったが、外を見るのも暇になってきていたので、零にされた質問をそのまま平城に返す。

 すると平城が、真剣な表情で語り始める。

「僕には、一つ夢があるんだ。それは、死んだ家族の為なんだ」
「…家族?」
「僕は、中学生の頃、家族と旅行中に、C級モンスターと遭遇したんだ」
「C級…」

 C級モンスター。レベルとしては高くはないが、低くもない。つまり生半可なメンバーで討伐しに行くと返り討ちになる恐れがある。

「それで、僕の母と父が目の前で、死んだ……。だから僕が、妹たちのために……」

 その時平城が、はっとした表情で零を見る。

「ごめん。こんなつもりじゃなかったんだけど……。僕も、君と同じでお金が欲しいんだ」
「そっか……」

 その返事で、この会話が終わる。それと同時に、零はまた外を見る。

 零は、考える。

 この世界は、残酷だ。世界は選択を求め続けている。あの時、こうすればよかった。そんな幻想を人間は追い続けていた。

 それは、零も同じだ。零は、才能に恵まれていた。だから、それを伸ばす選択を取り続けていた。そして気が付いた時には、兄に嫌われていた。

 それでも、零は過去に戻りたいとは、思ってはいなかった。

 零は、間違った選択をしていないと心から、そう考えていたからだ。

「……。例え、どんな理由があっても、科学武装師には……なりたくないな」

 その言葉は、ボソッと呟く形で出てきた言葉だった。その言葉は、誰にも聞かれずに消えていく。
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