7 / 10
天才?天災?科学魔法師現る
7.戦闘訓練合宿開幕
しおりを挟む
この学園の一番の特徴は、入学式からしばらくして、さっそく強化合宿と名の付く戦闘訓練合宿が始まる。この訓練は、生半可な生徒たちの心を折るために作られたものだ。故に、毎年数名の脱落者が出ている。
数名と聞いて少ないように感じると思うが、挫折しても、この学園を去ることのできない生徒もいるので、それぐらいが妥当である。なぜ、そこまでして卒業したいのか。その答えはシンプルなものだ。科学武装師という称号があれば戦うこと以外でも、お金が稼げるからである。
例えばの話、科学武装師の座学講師や、戦闘後衛部隊指揮、など未来につながるからだ。
そしてこの合宿が、1次試験になる。零は、この試験には興味はなかった。だがこの合宿に、全力で零は参加することになる。
それは、今の零は知る由もなかった。
バスの中で零は外を眺めていた。
基本的には学園の外には出ることができないが、こういうイベントでは学外に出ることができた。
だから零は、外を眺め続ける。
「城ケ崎君だっけ」
そう声をかけてきたのは、このクラスの委員長をしている平城 龍也だった。
「そうだけど…」
「ねぇ。城ケ崎君は、科学武装師に何でなりたいと思ったの」
「……」
零は窓から外を眺めながら、考える。この学園に来たのは、親から、家族から逃げるためだったからだ。それが、零の中の理由。正直、科学武装師なんかには興味がなかった。
「金が、欲しかったからかな」
「お金の為か。それも大事だよね」
「そういう、お前はどうなんだ」
零の中では興味のないことだったが、外を見るのも暇になってきていたので、零にされた質問をそのまま平城に返す。
すると平城が、真剣な表情で語り始める。
「僕には、一つ夢があるんだ。それは、死んだ家族の為なんだ」
「…家族?」
「僕は、中学生の頃、家族と旅行中に、C級モンスターと遭遇したんだ」
「C級…」
C級モンスター。レベルとしては高くはないが、低くもない。つまり生半可なメンバーで討伐しに行くと返り討ちになる恐れがある。
「それで、僕の母と父が目の前で、死んだ……。だから僕が、妹たちのために……」
その時平城が、はっとした表情で零を見る。
「ごめん。こんなつもりじゃなかったんだけど……。僕も、君と同じでお金が欲しいんだ」
「そっか……」
その返事で、この会話が終わる。それと同時に、零はまた外を見る。
零は、考える。
この世界は、残酷だ。世界は選択を求め続けている。あの時、こうすればよかった。そんな幻想を人間は追い続けていた。
それは、零も同じだ。零は、才能に恵まれていた。だから、それを伸ばす選択を取り続けていた。そして気が付いた時には、兄に嫌われていた。
それでも、零は過去に戻りたいとは、思ってはいなかった。
零は、間違った選択をしていないと心から、そう考えていたからだ。
「……。例え、どんな理由があっても、科学武装師には……なりたくないな」
その言葉は、ボソッと呟く形で出てきた言葉だった。その言葉は、誰にも聞かれずに消えていく。
数名と聞いて少ないように感じると思うが、挫折しても、この学園を去ることのできない生徒もいるので、それぐらいが妥当である。なぜ、そこまでして卒業したいのか。その答えはシンプルなものだ。科学武装師という称号があれば戦うこと以外でも、お金が稼げるからである。
例えばの話、科学武装師の座学講師や、戦闘後衛部隊指揮、など未来につながるからだ。
そしてこの合宿が、1次試験になる。零は、この試験には興味はなかった。だがこの合宿に、全力で零は参加することになる。
それは、今の零は知る由もなかった。
バスの中で零は外を眺めていた。
基本的には学園の外には出ることができないが、こういうイベントでは学外に出ることができた。
だから零は、外を眺め続ける。
「城ケ崎君だっけ」
そう声をかけてきたのは、このクラスの委員長をしている平城 龍也だった。
「そうだけど…」
「ねぇ。城ケ崎君は、科学武装師に何でなりたいと思ったの」
「……」
零は窓から外を眺めながら、考える。この学園に来たのは、親から、家族から逃げるためだったからだ。それが、零の中の理由。正直、科学武装師なんかには興味がなかった。
「金が、欲しかったからかな」
「お金の為か。それも大事だよね」
「そういう、お前はどうなんだ」
零の中では興味のないことだったが、外を見るのも暇になってきていたので、零にされた質問をそのまま平城に返す。
すると平城が、真剣な表情で語り始める。
「僕には、一つ夢があるんだ。それは、死んだ家族の為なんだ」
「…家族?」
「僕は、中学生の頃、家族と旅行中に、C級モンスターと遭遇したんだ」
「C級…」
C級モンスター。レベルとしては高くはないが、低くもない。つまり生半可なメンバーで討伐しに行くと返り討ちになる恐れがある。
「それで、僕の母と父が目の前で、死んだ……。だから僕が、妹たちのために……」
その時平城が、はっとした表情で零を見る。
「ごめん。こんなつもりじゃなかったんだけど……。僕も、君と同じでお金が欲しいんだ」
「そっか……」
その返事で、この会話が終わる。それと同時に、零はまた外を見る。
零は、考える。
この世界は、残酷だ。世界は選択を求め続けている。あの時、こうすればよかった。そんな幻想を人間は追い続けていた。
それは、零も同じだ。零は、才能に恵まれていた。だから、それを伸ばす選択を取り続けていた。そして気が付いた時には、兄に嫌われていた。
それでも、零は過去に戻りたいとは、思ってはいなかった。
零は、間違った選択をしていないと心から、そう考えていたからだ。
「……。例え、どんな理由があっても、科学武装師には……なりたくないな」
その言葉は、ボソッと呟く形で出てきた言葉だった。その言葉は、誰にも聞かれずに消えていく。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
1 / 4
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる