元世界最強の人間と行く地獄のワールドツアー

ユウ

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例え世界を敵に回しても

共闘

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 これは、リチャード・ヴァン・ドラゴンと出会う前の話。

「本当にここに居るのか。犯人って」
「聞いた情報ですが、フードを深く被った人間がここに入ることを、確認しているそうです」
「うーん。なら入るしかないか」

 ミーヤは、部屋の中に足を踏み入れる。

「…なっ」
「大丈夫ですか」

 その部屋の中にいたのは、腕を上げていて監禁されていた、アーティ・ヴァン・ヴィクトリアだった。

「あ……ああ……」

 アーティは、声が出なくうめき声になっていた。

「おい、水を持ってきてやれ」
「あっ。はい。ミーヤ殿」

 付きそうで付いてきたミーヤの、警察官が水を取りに行く。その水をアーティは一気に飲み込む。

「はーはー。やばい、何日目の飲み物だ。死ぬかと思った……」
「はーい。ねえ。アーティだったよね」
「……どこかで……」

 アーティは、意識が朦朧とする中、必死に考える。そしたら……意識を失ってしまった。

「おい。お前」
「ちょっと。大変だ」


ーーーーーー

 アーティが目を覚ました時その場にいたのは、ミーヤだった。

 アーティは、ミーヤを見つめる。そして思い出す。あの時の警官だった。

「うん…。ああ。起きたか」
「ああ。確か君は、ミーヤだったよね」
「おう。そうだ。ミーヤ・ロードだ」
「僕は、アーティ……」
「アーティ……。当たってたな」
「……ヴァン・ビクトリア」
「…はっ?」

 アーティは自身の隠している、秘密をなぜか、口にしてしまった。

「あっ」
「ヴィクトリアって……確か」
「ははっ。何でだろうな…。そうだね、ミーヤが今考えていることと、同じかもしれないね」
「なら、最後の生き残りか」
「……そうなるかな」
「まさか。ヴィクトリア家の末裔に会えるとはね」
「……そうだね。ところでさ、なんで僕を見つけることができたの」

 アーティは一番疑問だったことを、ミーヤに聞く。

「ああ、それについてか。いたってシンプルだ。とある事件を追ってな、市民から場所が特定されてな、それで行ったら、君が捕まってたってわけだ」
「…なるほど。お前の追っている人物は、僕も追っていたからね」
「ーっ。なら犯人も分かるのか」
「可能性も一部はあるが、一人だけ、犯人を知っています」
「誰だそれは」

 ミーヤが食いついてくる。だがアーティは一つ条件を、提示した。

「それを教えてほしいなら、条件がある」
「条件だと……内容次第だ。金ならある程度は用意できる」
「いや、金じゃねーよ。条件はシンプルだ。僕をその場に、連れて行ってほしい」
「…同じ目に合うかもしれんぞ」
「ヴィクトリア家の末裔でも、止められなかった敵に、お前ら、警察どもで大丈夫だと思うのか」

 アーティの言い分を聞き、ミーヤは少し考え始める。ミーヤの中では、仲間が増えることは嬉しいことだが、市民を巻き込みたくないと考える。

「だとしても、俺たちは警察関係者だ。だから市民を巻き込むわけにはいかない」
「そうか、なら……」
「だが、俺は警察であり、警察ではない。だから、警察としてではなく、探偵としてなら、君と組める。どうだ」
「…それでいい。なら話をするぞ」
「ああ。頼む」

 その時、今回の敵が、エモン・ヴァン・ヴィクトリアが絡んであることを伝えた。

 さらに、アーティの考える、エモンの敵勢力について、可能性を話した。

 その時にアーティは、今起きている事件も知ることになる。

「なるほどな。だとしたら、完全犯罪にも分かる気がするぞ」
「可能性の話だと思ったが、思っていたよりも納得がいくね。でも、そんなことをする意味ってなんだ」
「さー?元世界最強は、何考えているかわからんな」
「だからだよ。だから、一人じゃあ、勝てない。それに、フードの男も何となく知っている人だった気がする」
「可能性としては」
「チャームズ・ヴァン・ドラゴン。倒れる時、肖像画の人物とほぼ同じだった」
「……ドラゴン家か……”龍のブレス”か?」

 ミーヤは考える。チャームズ・ヴァン・ドラゴンと言えば、”龍のブレス”の継承者だったはずだ。だとすれば、あの事件現場にいたとしても、おかしくはない。

「それはない。現在の継承者は、ミア・ヴァン・ドラゴンだ」
「違う人が継承したのか」
「それは事実だ」

 そっからミーヤとアーティは、かなり長い時間話し合った。


ーーーーーー

 そして、現在。
「なるほど。やっぱり、君たちが来るんだ」

 チャームズは、少しうれしそうな顔をする。それが、とても怖く、怖く感じた。

「さあ。世界を変える最後の、戦争を始めよう」

 チャームズ・ヴァン・ドラゴンは天高く叫ぶ。その瞬間天から、ドラゴンが飛んでくる。

「私はね。”龍のブレス”を使わなくても、強いんだよ」
「はは、化け物を呼ぶかな」
「ミーヤ。チャームズを頼むぞ」
「おう」

 こうして、アーティは、天からのドラゴン。ミーヤは、地上にいたドラゴンを相手することになった。
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