元世界最強の人間と行く地獄のワールドツアー

ユウ

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アルベータ

アーティVSミーファ その3

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 それは、アルベータが世界侵略を始めて、数日が経過していた。

 世界は、新しい敵に、衝撃を受けていた時だった。これまでの敵とは、圧倒的に違うことが一つあった。

 それは、アルベータと呼ばれる、悪魔だ。いや、悪魔と言っているのは、我々しかいないかもしれない。アルベータは過去に、英雄と呼ばれた時期もあったぐらいだ。

「クッソ。痛い……なあぁぁぁ」

 ミーファは、近くにあった木に寄りかかる。それと同時に、殺気みたいなものを肌で感じる。

「ああ。思ったよりもまずいなあぁぁぁ」

 ミーファは遠い空を見上げながら、呟く。その呟きと共に一人の男が目の前に現れる。

「やはり、生きていましたか」
「ああ。あの時殺せばよかったかなぁぁあ」
「そうだな。なぜ、お前は、私の死を確認しなかった」
「そりゃあ。決まってるわ」

 その言葉と同時にミーファは重たい体を起こす。そして作り笑いを浮かべながら、口を開いた。

「あなた達が、タート様に似ていたから……」
「タート?」
「あら、知らない。あなたの……」
「いや、だとしたら……。お、お前は……」

 アーティは少しだけよろける。信じられない、信じたくはない、信じることの怖いという言葉。

「前にも言ったはずよ。ラミールってね」

 アーティは、あの時を思い出そうとするが、仲間を、家族を傷つけられた憎しみで、名を聞くことはなかった。だが、それが大きな間違いと、気付く。

「う……そ……だろ…」
「何でうそを吐く必要があると思う」
「……。そうだな…」

 アーティはゆっくりと辺りを見渡した。そして、もう一度ミーファに視線を向ける。

「なんで、なんで、私の前に、あのような形で現れたんだああああ」
「なんで…かしらね…。今となれば、偶然としか言いようがないわね」
「偶然で済むか。お前の、お前のせいで、ミアがああ」
「……」

 アーティの怒りと、冷静に判断するミーファ。その空気を破ったのは、一人の付き添いの兵士だった。

「アーティ様。ご無事ですか」
「来るな」

 アーティがそう叫んだ瞬間には、付き添いの兵士の首は斬り飛ばされていた。

「アーティ。悪いことは言わない。もう、この戦いに関わらないでくれ」
「ミーファアアアア」

 アーティは声を荒げる。

「さあ。剣を取ろうか。アーティ・ヴァン・ヴィクトリア」
「貴様、貴様あああ」

 ミーファが魔剣グアムを構える。それに対して、アーティはフラガラッハを構え攻撃態勢に入る。

「私の名は、ミーファ・ラミール。ラミール家最後の当主だ」

 その言葉はとても強く、まっすぐな瞳をしていた。

「死ねえええ。ミーファアアアア」
「単調、つまらない、攻撃が読める。前も言わなかったかい。感情を表に出したら、あなたわ死ぬわって、言ってたと思ったんだけどなああ」
「死ねえ」

 アーティの魔法も剣筋も全てが、つまらない、見えてしまう。感情が、表に出る攻撃など、戦場に居れば次の手が分かってしまう。

 だからこそ、ミーファにとってはあくびの出るような攻撃だった。だから、ミーファは剣の刃ではない部分で、アーティの体を吹っ飛ばした。

「がはっ」

 アーティは血は出ない。その代わりに唾が飛び出る。さらに体は宙を舞い、木に激突して、体が止まる。だが、頭がすぐに回らずに、意識を戻すことに集中してしまった。その結果……。

「ゲホッ、ゲホッ。はっ」
「戦場で、相手を見なくなった時、それは死を意味するのよ」
「くそ」

 その剣は、アーティには防ぐことのできない攻撃。その時、アーティは死が迫ってきていることを感じる。

「くそおおお」
「ーーっ」

 だがその剣は、アーティに触れることがなかった。つまり誰かが、防いだこととなる。アーティは防がれた方をゆっくりと見る。

「さーてっと。久しぶりだね。シャバの娘」
「まじかああ。もう、チェックメイトってことかなああ」
「そうだね。君を殺せば、私は世界を確実に取れる。なら、私はどうすると思う」
「私を殺す」
「正解」

 その場に現れたのは、アルベータ・ヴァン・エンシェント・サマエルだった。しかも、完全武装で、彼女は現れたのだった。

「さーあ。死んでください」

 その言葉をきっかけに、命を懸けた戦いが始まった。
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