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そっそんな

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「おっ、お待ちください!」

陛下が慌てて待ったをかけるにも関わらず、横から素っ頓狂な声が聞こえる。


「ロ、ロッテ嬢・・・?」


「はい?なんでしょう?」


「ほっ、そうだよな。うん、何かの間違いだよな。」


「ロッテ嬢、ダメだよ。公爵令嬢より先に話しかけてはいけないんだ。」


「ふふふっ、知らぬが仏ねぇ。ソラニーノ第一王子。改めてご挨拶申し上げます。」


「「「・・・・・・」」」


会場が静寂につつまれる。


_パチン_


と、ハワード王女殿下が右頬の横あたりで手を叩くと、空間が歪み王女殿下とわたくしの周りに人が現れる。
その人たちが現れると、ハワード王女殿下は、ゆっくりと、とてもきれいな所作で、ご挨拶をなされる。


「ハワード国が第二王女、シャルロッテ・ハワードと申します。ソラニーノ国には、我が国と取り引きがあり、ソラニーノ王家に近しくないミュラー男爵家に、お願いして学園へ通っておりました。」


「「「ひっ」」」


大の大人であろう方々が、抑えきれない声をもらした。


「わしらの思惑としては、普通の貴族として、学園生活を送らせて上げたいとも思っておっただけなのだが・・・シャルロッテの言う通りにして、良かったわい。」


ハワード国王陛下が言う。


「ああ、本当に。」

続いて、ハワード王太子殿下も同意する。


「なに、シャルロッテがな。どうせ留学するのならば、属国の有用性や、反国心がないかも調べましょう、と言い出してなあ。危ないからいいと言ったんだが、これも”王族の誰かがやらねばなりません”と言われて、許可したんじゃよ。だが・・・次世代が公爵令嬢を辱め、でっちあげの罪で有能な者を断罪する国など、お先真っ暗じゃな。」


「そうですよねえ。あんな平民ちっくに扮装したロッテがよくて、こんなに綺麗で、優秀な女性ををするなんて、ほんと愚者のすることですよ。ソラニーノ第一王子、こんなに素敵な婚約者をあなたがいらないと切り捨てるのならば、このわたくしが攫ってしまってもよろしいでしょう?」


ハワード王太子殿下の言葉に驚く。
そのお顔を見てみれば、ご冗談には思えないほど、真剣な顔つきで・・・
まあ!なんて声を出しそうになりながらも耐えました。
でも、ついつい顔を赤らめてしまいますわ。


「もう!お兄様ったら!」


とハワード王女殿下が、頬を膨らませて怒ったふりをする。
が、可愛いだけですのよ。ふふふ、お茶目なところもございますのね。


「そっそんなことは許すわけにいかない!」
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