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1章

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お母様は、目が腫れてしまっている。
お父様は、目の下が隈で、真っ黒になってしまっている。


「・・・・心配かけて、ごめんなさい。」

そう言って、そっと二人の頬を指先で撫でた。


「・・・ほんとだよ。肝が冷えたよ。マリアは私たちの大事な大事な、愛しい我が子だ。なのに、神様にまで愛されていて。嬉しいことなのに、連れていかれやしないか不安だったよ。」

寝ていると思って、スリスリしていた指先を捕まれた。


「お父様・・・おとうっ、さまっ・・・」

気づけば私は、お父様に抱きついて泣いていた。
思春期になれば、父親はウザイ象徴だろう。
でも、幼い頃のお父様は、怖いとこもあるけど、たくさん甘やかしてくれて、楽しいことをしてくれる象徴だ。


「お父様っ、だいすきっ」


「あらあら、マリアはお父様が大好きなのね。」


「あっ、あっ、お母様!お母様も大好きです!」


「ふふふっ、私も大好きよ。心配したわ。」


「ああ、あんな若造になんか、やらん!!」


「お父様?若造ってなぁに?」


「ん?なんでもないよ。マリア。」

そう言って頭を撫でてくれた。


「ふふっ、あなた、若造って。クフフッ、まだ赤ちゃんよ?」


「あ!赤ちゃん!!クロエさん!!無事なんですよね?!会いたいです!」


「そうね。明日ね。今は家族水入らずで、過ごしましょう?ね?」


「はい!!」

その後は、お父様がお部屋に、お父様の執事と、お母様の専属侍女を呼んで、各方面への連絡をしてもらう指示を出していた。


たくさん抱っこしてもらって、頭を撫でられ、頬と頬をスリスリされて、ご飯もあーんで食べさせてもらった。

たくさん甘えて、家族団欒して、とっても幸せな日だった。
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