運命の番は後天性Ω

私はβ

私の名前は中村  慧。
代々議員を勤める家系の長男だが、βだ。
周りは、αばかりだ。


祖父も祖母も、父も、弟も、妹もα・・・


唯一のΩは母(男)だけなのだ。
βはいない。そう、いないのだ。
なぜ私がβなのか、なぜ私はαじゃないのか。


今でも悲しい。今でも悩む。
αは優秀な者ばかりだ。

弟も妹も優秀だ。
父は、今もまだ長男である私に、継がせようと思っているようだけど・・・


私の能力よりも、弟や妹の方が優れていることを知っている。
どんなに頑張っても、βの私には到底たどり着けない高みだ・・・


今は大学で、父のあとを継いで(といっても、学生の身だから一学生の立場だけれど)研究のゼミに力をいれている。
もちろん、政治経済は、他の時間に勉強している。
そのうえ、休みの日には父について回っている。


なかなか多忙な学生だと思うのだ。
だけど、私はβだから、睡眠時間を削ってでも、時間をかけて勉強するしかないのだ。


Ωのように、男性でも160cm代の小さめな身長で、可愛らしい顔や、体つきをしているわけでもなく。

αのように、180cmくらいの身長があり、凛々しく、男らしい体つきをしているわけでもない。

ましてや、華のある女性でもない。

170cmの身長、可愛らしい顔でもなく、凛々しい顔でもない。体つきもいたって普通。


父と父ははの遺伝子が入っているので、顔はブサイクではないと、思うけれど、これといった長所が自分で見つけられない。


だけど、私は頑張るのだ。
だって中村家の血を引いているから・・・
頑張らなければいけないんだ。
誰よりも、ただのβだから。