運命の番は後天性Ω

yun.

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慧side

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僕は今日、”運命の番”というものに会った。



父の秘書として、政治・経済塾の終わった後だったから遅れての参加だったが、父の教え子であり、私の先輩である人と会食をするらしい。
しかもゼミの教授である佐々木教授のご友人だそうだ。


従業員に案内された部屋へ入ると、そこにいたのは男らしい体格で、男らしいかっこいい顔の人だった。
この人もαだな。


と、言うか・・・この料亭はジャスミン茶なんか、出したっけ?
この部屋に入ってから、ほのかに香るジャスミンの香りはなんだろう?


「はじめまして、中村の秘書で息子の、中村 慧と申します。須藤様の後輩にあたります。以後お見知りおきいただけると幸いです。」


そう言って顔を上げると、須藤様と目が合った。
心臓がドクドクする・・・
なんだ、ろ・・・?これ。

不思議に思った疑問は、すぐに溶けた。
須藤様は、僕を”運命の番”だと言う。


それがこのドクドクの理由?
ジャスミンの香りは須藤様の香り?


内心動揺していた僕は、須藤様が席を立って、ほっとした。


「慧、大丈夫?」


「はい、すみません。お父様・・・」


「無理しなくていいよ。驚いたな。慧が・・・そうか。」


「・・・・・困惑していますが、僕が実験台になれば、お父様の研究も前進しますね。」


「慧・・・」


「わかってます。わかってますから。」


「違うよ、研究なんて二の次だ。慧が傷つくのは、父さんは嫌だからね。慧の気持ちが一番だよ。一慶くんは、無理やりことを進めるようなタイプではない。慧が、本当に一慶くんと結ばれたいと思ったなら、そうすればいい。けど、そうではないなら結ばれなくていい。ね?」


「はい。」

そう言ったところで、須藤様が戻ってきた。
父に促され、庭園を散歩していると、少しずつ気持ちが落ち着いてきた。
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