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介護保険拒否編
在宅介護、介護保険拒否編 4話
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母は2010年ごろまで原付による徘徊をした。介護保険も本人が断るか、電話で断らされる。
「待て! 待て! どこに行くんな! 早うここで断れ!」「お前が断らんなら私が断る」
福祉大学で学んだ、誘導もあまり役立たない。後にわかるのだが、前頭側頭型認知症は、この手の拒否が激しい。理性や感情のブレーキは外れているのに知恵が回る。
「お前に世話させるために育てた」
育ての親にこれを言われるのは辛い。病気のせいだとわかっていてもキツイ。
家は母がため続けた衣装が大量にあった。2階だけでタンスが7つ衣装ケースが20個以上ゴミ袋で服は40袋はリサイクルに出した。 本人が寝たきりになるまで一切処分させてくれなかった。ゴミ屋敷のようになっていた。本人はその上にカバーをかけてごまかしていた。周りの親戚の人はほとんど我が家に尋ねることはないが、表面だけ取り繕っているので整頓しているように見えたようだ。
「これは私の歴史だから」と言って捨てさせてくれなかった。俺の思い出の品はどんどん捨てようとするのに理性のブレーキが効かなくなっている。本人は自分ができることが少なくなっているのを、だんだんと気づいてるように見えた。
メモが増えていく。そのメモもひらがなカタカナ漢字がごちゃごちゃに混ざっている。句読点の位置も怪しい。辞書で調べても漢字が書けないこともあった。新聞を読む時間が長くなった。何度も読み返して虫眼鏡を使って。視力の問題ではなく理解力の問題で読めないのだ。
ゴミの分別もできない燃えるゴミの中に空き缶が入っている。その空き缶というのもスプレー缶も混ざっている。中身を残したスプレー缶がもし燃えるゴミの中で爆発したらどうなるか? 事故に繋がる。
缶ビン燃えるゴミとメモ帳を貼り付けても読んでくれない。理性のブレーキが壊れているのだ。外からどれだけやめろと言っても、本人がやりたいことやりたいようにやりたがる。
一緒に買い物に行くこともあったが観ていないと万引きをしてしまう。桃やトマトと入った柔らかい商品を指であとがつくほど押してしまう。そうなると買うしかなくなる。本人は良い商品を選ぶためにやっているんだろうが他人への迷惑など頭の中から吹き飛んでいる。やっていいこと悪いことの区別がつかない。
買い物を終えても荷物をまとめるときに備え付けのビニール袋をカラカラと何枚も巻いてポケットにいれる。それは何に使うつもりなんだろう? 何度止めても止めない。どうせタダだからと思っているんだろう。店にとっては迷惑な話だ。他人への迷惑だとかどう思われるだとか、そんな高級な思考は、頭から吹き飛んでいる。
幼いころからキツイ人で言い出したら聞かない人だった。前頭側頭型認知症は若年性の認知症。50代からでも発症する。我慢できない反社会的思考は認知症のせいだった? 真相はわからない。2013年に介護保険のために郵便局の口座を使うのだが「おかあさんちょっと怖い人でしたもんね」と郵便局の職員さんが証言している。思わず笑顔で頷いた。外から見てもかなりキツイ人だった。
そんな母は周りの人には自分がしっかりしているとアピールしている。実家に俺が帰ってきて俺の世話をしているという。当然逆だ。
俺はこれまで手取り一か月10万円以上で働いたことはない。徘徊を監視しつつ、足元を見られブラック業界を渡り歩き、周囲には責められていた。
「家にいて遊んどる」ぜひとも俺の人生と変わってほしいものだ。
「待て! 待て! どこに行くんな! 早うここで断れ!」「お前が断らんなら私が断る」
福祉大学で学んだ、誘導もあまり役立たない。後にわかるのだが、前頭側頭型認知症は、この手の拒否が激しい。理性や感情のブレーキは外れているのに知恵が回る。
「お前に世話させるために育てた」
育ての親にこれを言われるのは辛い。病気のせいだとわかっていてもキツイ。
家は母がため続けた衣装が大量にあった。2階だけでタンスが7つ衣装ケースが20個以上ゴミ袋で服は40袋はリサイクルに出した。 本人が寝たきりになるまで一切処分させてくれなかった。ゴミ屋敷のようになっていた。本人はその上にカバーをかけてごまかしていた。周りの親戚の人はほとんど我が家に尋ねることはないが、表面だけ取り繕っているので整頓しているように見えたようだ。
「これは私の歴史だから」と言って捨てさせてくれなかった。俺の思い出の品はどんどん捨てようとするのに理性のブレーキが効かなくなっている。本人は自分ができることが少なくなっているのを、だんだんと気づいてるように見えた。
メモが増えていく。そのメモもひらがなカタカナ漢字がごちゃごちゃに混ざっている。句読点の位置も怪しい。辞書で調べても漢字が書けないこともあった。新聞を読む時間が長くなった。何度も読み返して虫眼鏡を使って。視力の問題ではなく理解力の問題で読めないのだ。
ゴミの分別もできない燃えるゴミの中に空き缶が入っている。その空き缶というのもスプレー缶も混ざっている。中身を残したスプレー缶がもし燃えるゴミの中で爆発したらどうなるか? 事故に繋がる。
缶ビン燃えるゴミとメモ帳を貼り付けても読んでくれない。理性のブレーキが壊れているのだ。外からどれだけやめろと言っても、本人がやりたいことやりたいようにやりたがる。
一緒に買い物に行くこともあったが観ていないと万引きをしてしまう。桃やトマトと入った柔らかい商品を指であとがつくほど押してしまう。そうなると買うしかなくなる。本人は良い商品を選ぶためにやっているんだろうが他人への迷惑など頭の中から吹き飛んでいる。やっていいこと悪いことの区別がつかない。
買い物を終えても荷物をまとめるときに備え付けのビニール袋をカラカラと何枚も巻いてポケットにいれる。それは何に使うつもりなんだろう? 何度止めても止めない。どうせタダだからと思っているんだろう。店にとっては迷惑な話だ。他人への迷惑だとかどう思われるだとか、そんな高級な思考は、頭から吹き飛んでいる。
幼いころからキツイ人で言い出したら聞かない人だった。前頭側頭型認知症は若年性の認知症。50代からでも発症する。我慢できない反社会的思考は認知症のせいだった? 真相はわからない。2013年に介護保険のために郵便局の口座を使うのだが「おかあさんちょっと怖い人でしたもんね」と郵便局の職員さんが証言している。思わず笑顔で頷いた。外から見てもかなりキツイ人だった。
そんな母は周りの人には自分がしっかりしているとアピールしている。実家に俺が帰ってきて俺の世話をしているという。当然逆だ。
俺はこれまで手取り一か月10万円以上で働いたことはない。徘徊を監視しつつ、足元を見られブラック業界を渡り歩き、周囲には責められていた。
「家にいて遊んどる」ぜひとも俺の人生と変わってほしいものだ。
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