虫けら転生録

或哉

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プロローグ 今日も青い空が広がっていた

今日も、別段変わり映えしない日々が始まった。


朝食にマーマレードジャムを塗ったトーストを詰め込み、
気怠い空気の払拭ふっしょく辟易へきえきしながら、自転車で高校へと通う。

自分の机を見やれば、高校生らしくもない、幼稚な落書きがある。
まあ、いつも通りの事だ。
机を天井裏に隠された時は正直焦ったが、落書きくらいなら幼稚なものだ。


どっかりと落書きを気にせず座りながらスマホを取り出し、スマホゲームを開始する。
転生モノの小説がゲームになったオンライン対戦ゲームで、格闘アクションと戦略、2つのオンライン対戦があり、俺はもっぱら格闘アクションだ。もうすぐ推しキャラのハルマライヒがピックアップされた十連ガチャがある。

全身に漆黒の鎧をまとった戦士で、自分が狂戦士であったがゆえにかつての相棒を殺してしまい、ずっと独りで街から外れた小屋に籠もっていたが、主人公と出会いほだされていき、章ボスの戦いで颯爽と現れピンチを開き、最期はラスボス相手に主人公とヒロインを庇って死ぬという、悲しいながらも非常にファンが多いキャラだ。

最期の言葉、「これで我も...彼奴あやつに顔向けできるだろうか...」というセリフから過去の回想に入るシーンは涙なしには読めなかった...

まあ、その為にガチャ石を貯めておかねば。

もう何回も決め手にしてきたトリッキーなキャラである隻腕の道化師クラウンの大ダメージコンボをノールックで決めながら、窓の外を眺めれば、もうじき冬だからか渡り鳥の群れが見える。
渡り鳥といえば白鳥くらいしか知らないが、どう見ても黒いのでおそらく違う。

画面に目を戻し、踊るYOUWINの文字を下にスクロールする。
被ダメージは...12。恐らくどこかで一撃もらっていたか。
もし被ダメージが0なら、『幻影の如くファントム』という称号を貰えたのだが。
俺は一応このゲームで世界7位を取ったことがあるのだが、それでもノーダメージというのは中々難しい。


それは良いとして、何だかやけに教室の中が静かな気がする。
何かあったのか。ふと気になり顔を上げる。

「......は?」

そこは、真っ黒い空間だった。
いつも騒がしいクラスメイト達は居らず、だだっ広い空間に俺だけが独り。

「どういう事だよ...」

呆然として、振り向く。

眼の前には、嘴を大きく開けた黒い鳥がいた。

最期に思ったのが、お前、何ていう鳥だよ、だった。









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