夢現アリス

Marnie

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第1章

イカれたお茶会

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「お待たせしてすみませんでしたわ、皆様方。素敵なティータイムに致しましょうね?」
 気がおかしくなるような歌を歌える才能を持った隣国の王様や、歌を上手く歌えるのに、父を絶賛するその王子や、いつも何かしら来る─前回は寝癖を直し忘れ、その前はタキシードのジャケットを着忘れて来た─もう1つの隣国の王子や、いつも何かしら来る─前回はピアスをちぐはぐに付けており、いつだっただろうか、真っ黒の喪服で駆け込んで来た時もあった─同じく隣国の王女や、とにかく褒めて貰いたいらしい公爵夫人トリオや、そんな妻達を文句も言わずに持てはやす公爵達や、その他諸々もろもろの王族関連の方々など……個性的すぎる来客を目の前に、毎回の事ながら完璧に呆れている私は、平静を装いながら挨拶を交わし、自分の席についた。
「王女様ったら、いつも可愛らしいドレスをお召しだことねぇ。」
「おや、また一段とお美しくなられましたな、王女様?」
「アリス王女、今度は是非とも、わたくし達の国へいらして頂きたい!」
 私の賛辞を並べ立てるところから、ティータイムは始まる。それに、始めは工夫を凝らした素晴らしい褒め言葉だったが、最近はワンパターンのお世辞になってきている気がする。
「お褒めにあずかり、光栄です♪」
 私の返事を聞くと、メイド達がティーカップに紅茶を注ぎ始めた。
 忙しそうに働いているメイド達をよそに、甘いものだらけの、優雅でなティータイムが始まった。
「アリス王女、プリンはお好きかしら?うちのパティシエが作るプリンは絶品なの!良かったら、お1ついかが?」
 早速話しかけてきたのは、「いつも何かしら間違えてくる王女」として名高いセシリアだ。まあ、これは毎回の事。紅茶が注がれるや否や、私に飛び付いてくる。……くらいの勢いで、いつも話しかけてくるのだ。
「それなら、お言葉に甘えて。あー…ところでセシリア王女?今日は…何をお間違えになったの…?」
「アリス王女!?またそんな事っ…!今日こそは完璧に揃えて…来た……つもりなのに…!」
 セシリアは、自分の足元を見た瞬間、相当悔しそうな顔を浮かべた。今回は、左右で違う靴を履いていたのだ。
「セシリア、また何か間違えたのか?」
 セシリアの兄であり、「いつも何かしら忘れて来る王子」として名高いアランが、セシリアをからかい出した。これは、毎回お決まりの掛け合いだ。
「い、いいえ!?何でもありませんわよ!?そう言うお兄様だって、今日は靴下を履くのをお忘れに…」
「えっ?そんな……あーーーっ!!今日こそは…完璧に揃えて来たはずだったのに…!」
「さすがご兄妹、同じ事をおっしゃるのね♪」
 いつもの掛け合いを眺めながら、私からも少しからかってみた。
「「アリス王女…?」」
 しかし…いや、案の定、2人同時に睨みを効かされてしまった。これも、予測はしていた事だったのだが。
「王子、王女。そんなに大声を出して、人様の前ではしたないでしょう。」
「「すみませんでした、お母様…」」
「まあ、いつもの事ですがね。」
 王妃様に叱られたと思いきや、当の王妃様も呆れているようだった。私は、そんな王妃様と顔を見合わせ、苦笑いを溢していた。が、毎回行われる兄妹劇場を見るのは、私にとって一種の楽しみだった。
「あぁ…そんなに落ち込まないで、お2人共?そんな事より、この素晴らしいティータイムを楽しみましょうよ!何を間違えたって、何を忘れたって、そんなの関係なくティータイムは楽しめるじゃない!」
 私は、喉元まで込み上げてくる笑いを噛み殺し、陽気で愛想の良いアリスを醸し出しながら、この場のヒロインに躍り出た。
 そして、鶴の一声ならぬ、の一声により、2人はわかりやすく笑顔を取り戻し、ティータイムは一層賑やかな雰囲気で再開された。
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