夢現アリス

Marnie

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第2章

記憶の扉

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 顔を上げると、授業は何事もなく進められていた。幸い、あまり長い時間寝ていた訳ではなかったらしく、時計を見ても、4、5分しか進んでいなかった。
 それにしても、あれだけの悪夢で、奇跡的にうなされなくて助かった。
─夢…か……覚めて良かった…
 もう二度と、夢と現実が逆転するなんて夢は見たくないと、心から思った瞬間だった。

「ねえ、ローラ、さっき寝てたでしょ!珍しくない!?」
 隣の席のディアナにも気付かれていたらしい。ディアナも、プリシラに負けず劣らず元気が良くて鬱陶しい。
「やっぱり気付いてたかー。最近、よく考え事してたからねー…」
「そりゃあ、隣が寝てたら気付くよ!」
「そうねー、私はいっつもディアナが寝てるのに気付いてるから、お互い様って…」
「ちょっと…!!これでも最近はマシになった方だと思うんだけどー?」
「確かに中学の頃は、体育と音楽以外は全部寝てたからね。」
「うぐっ…」
「まあ、お互い色々と頑張ろう。もう高校生になった訳だし。」
 自分で言っておきながら、高校生になった実感は全く感じられない。特に今は、ワンダーランドの行方の事しか考えられないのだから。
「………」
─えっ…?
 雑音が聞こえた気がした。
「………」
 また聞こえてきた。
「……ローラ…ローラ…!」
─お兄ちゃん!?
 驚いた時には、もう雑音は消えていた。一体、何だったのだろうか。
 そもそも、なぜこっちの世界でお兄ちゃんの声が?いや、それよりも、なぜお兄ちゃんが夢での私の名前を…?
「あっ、ローラ!…ローラ?また考え事?程々にって、今朝言ったばっかじゃん。」
 突然、プリシラが割り込んできた。
「そ、そうだったね…!でも…さっき、お兄ちゃんの声が急に聞こえてきて…」
「えっ!?ローラって、お兄ちゃんいたの!?」
 そうだ!お兄ちゃんの事は、誰にも言っていなかったのだ。
「そう、実はいるの。……ここにはいないけどね…」
…?……どういう事?あっ、もしかして、外国にいるとか!?」
「あっ、ま、まあー…そんな感じだね。」
「………ふ~ん…そっか……ローラさ…お兄ちゃんの事で何かあったんでしょ…?」
 今まで上の空で聞いていた私も、この言葉には驚いて耳を傾けた。
「何か…あった…?う~ん…何かあったのかな……わかんないけど…」
「ローラ…?覚えて…ないの…?(明らかに様子がおかしい…何か隠してる…でも、本人は忘れ去ってしまっている…)…きっと、何かの大事件があったはず…」
 お兄ちゃんに何かあった?私は覚えていない?私の知らない所で、何が起こったの!?
─「きっと、何かの大事件があったはず…」
 プリシラの言葉が、脳裏に焼きついて何度も繰り返される。
 何かの大事件…?私は覚えていない、何もかも。私の記憶が抹消されてしまう程の、ショックなが、起こったとでもいうの…?
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