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第一章
プロローグ
しおりを挟む『ガァアアアアア』「うぉおおおおおおおおおおおおおおおお」
薄暗い闇の中、男は必死に逃げていた。自分を追い回す怪物から。
ブゥンという音が後ろから聞こえてくる。
やばいやばい、冗談抜きで死ぬ。どこか隠れれる場所をさがさなければ。
その男、柊優夜ひいらぎゆうやは、人生初のリアル鬼ごっこを繰り広げていた。そう、優夜はガチで、筋肉ムキムキの鬼に、現在進行形で追われているのだ。さっきから走馬燈の様なものが見えているが、無視して走る。
** **
木を壁にすること5回、聞こえる音が自分の口と足元からだけになった。どうやら上手く巻けたようだ。
優夜は、切れていた息を落ち着けながら座り込み近くの木に背中を預けた。そしてゆっくりと思い出す、ただの学生である自分がこんな無理ゲーを強いられることになった、今に至るまでの出来事を。
** **
1学期の終業式。学生の多くは自分の成績に対する不安と、明日からはじまる夏休みに期待を膨らませながら登校する。自分こと柊優夜もその内の一人であり、先日購入したゲームを夏休み中にやりまくってやろうと息巻いていた。
物心ついた頃から父が買ってきたゲームをして過ごしてきた俺は、中学に上がった辺りからはすっかりアクションRPGの虜になっていた。1年と少し前にPS4を購入し、これまでのWiiや3DSとは格が違う、圧倒的なグラフィックの美しさを感じて更にのめり込むようになった。
優夜は軽度のオタクでゲームはもちろんアニメやラノベも好きだ。容姿は中の上ぐらい・・・だと思う。具体的に言うと、肌は白く、背は175cmぐらい。少し長い前髪を左に流しており、顔のパーツは整ってはいないが決して悪いわけではない。目が一重で鋭いため、よく友人に睨んでいると言われる。中学までバスケを続けていたので筋肉もそこそこある。
** **
n終業式も終わり、下校途中でそれは起こった。突然、優夜の体が仄かに白く発光し始めたのだ。
「うわっ!?な、なんだこの光。俺完全にヤバい奴じゃねえか、一体何がどうなって」
優夜は焦っていた。全身が眩い光に包まれる異常事態に遭遇したことに、そして他人から見れば全身をピッカピカに光らせている自分は、ただの変質者でしかないことに。
次第に光が強くなり視界が真っ白に染まった。俺は目を開けていられなくなり目を閉じた。
光が強く光った後、その場にいたはずの優夜の姿は掻き消えていた。残っていたのは、彼を冷たい眼差しで見ていた数人の通行人の驚く顔だけであった。
とある男子高校生が町中で行方不明になったとしてニュースになる。その後、警察の数週間に及ぶ捜査でも見つからず、この事件は保留になった。
ネット上でも話題となり、目撃者が彼は光と共に消えていったと書き込みをするが、当然相手にされる訳がなかった。
彼が転移した世界は、剣と魔法、そしてスキルや職が存在するゲームのような世界である。
その一日目が始まろうとしていた。
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