32 / 71
パニッシュ・パーティ3
しおりを挟む
衝撃の光景が脳裏から離れない。
いつも笑い合ってたテルの家族が、冷え切った眼差しに生気のない顔の色。
あれは現実だったのか?見間違えじゃ無かったのかな?とグルグル考える。
やっぱり、気になるから何か知らないかアヤに聞いてみることにした。
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・
{ユキ、どうしたの?珍しいじゃん}
意外、と言いつつ弾む声のアヤに、昨日見かけた病院での光景を話してみた。
{へえ。なんか、ちょっと込み入ってるみたいだけどそれにはアヤメさんが絡んでるんじゃないかな}
アヤメさん?? テルのお姉さんの???
「アヤメさん、帰ってきてるの?」
{うん。そんで略奪女とアヤメさん、売り言葉に買い言葉で交戦ってる}
「え?アヤメさんと?!」
アヤメさんは、見た目がややキツめだけど筋を通せばちゃんと話がわかる人で、礼儀正しく筋を通してればアヤメさんは弱い立場の人間を守ってくれる姉御肌な性格だ。
私とはそういうところがウマが合ってすごく仲良くさせてもらっていた。
{うちのお姉がアヤメさんと仲いいから、いろいろと協力してるんだけどアヤメさん曰く、弟の人生がかかってるんだから徹底的に闘うって。すごいよ。熱いよアヤメさん}
え、アヤメさんが本気出したらえらいことになるんじゃ……。
アヤメさんもう結婚して旦那様もいるんだから、その喧嘩上等な性格そろそろどっかに片づけないと。
{私も、タカシさんから頼まれていろいろとクミちゃんと調べてるの。まとまったらユキにも報告するけど、あいちゃん、ある意味凄いね。全然羨ましくないけどさ}
なんだか、事が本当に大きくなってきていていろんな人が動いているのがわかる。
余計な波風が立たなかったら、きっと今頃テルと結婚してあの家族と笑いながら過ごしていたかもしれない。もう過ぎたことだけど、あのおじさんたちの表情は胸が痛んだ。ハルカちゃんの顔も頭をよぎる。本当に私にとっては大切な人たちだった。ただ、それはテルという存在があって繋がっていた絆だった。その絆がぷつり、と切れて別の人と繋ぎ変わっている。
略奪は誰も幸せにはしないんだな、としみじみ思った。
【はっきりいって、よくある話だと思った。】
【一時の感情なんてすぐに覚める。目が覚めてやっぱりユキちゃんが良かった、やり直したいって言ってくるんだよ】
少し前、マサキさんが私の話を聞いてくれて言われたフレーズがよみがえる。
マサキさんは大人だし、状況を俯瞰でとらえてる。だからすごくクリアな意見が出てくる。
その通りだなと思う冷静な自分が居て、復縁はありえないと強く思うけど、あの無表情なテル一家と、私の知っているテル一家の明るい笑顔のギャップに受けた衝撃がすさまじく心に残った。
ダメだ。ひとりで思考の迷路に迷い込んでいる感じがする。
こんな情緒不安定な私が今更出て行ったところで何も変わらない。
もう、私だけではどうしようもないくらいに事は動き出している。
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・
「ねえ、ユキちゃんの弟さんに、ちょっと話が聞きたいんだけど連絡できないかな」
今日も配達に来てくれたタカシさんが、マサキさんに聞いたと、ユウキの話を確認しに来た。
なんだかとても大切な情報だったらしい。一応メールしておくんで連絡来たら電話することを伝える。
ユウキは、大学の講義が午前中だけの日らしく午後からこっちに来てくれるとのことだったので
早速タカシさんに連絡をすると、あの商店街の外れの喫茶店で待ち合わせることにした。
いつも笑い合ってたテルの家族が、冷え切った眼差しに生気のない顔の色。
あれは現実だったのか?見間違えじゃ無かったのかな?とグルグル考える。
やっぱり、気になるから何か知らないかアヤに聞いてみることにした。
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・
{ユキ、どうしたの?珍しいじゃん}
意外、と言いつつ弾む声のアヤに、昨日見かけた病院での光景を話してみた。
{へえ。なんか、ちょっと込み入ってるみたいだけどそれにはアヤメさんが絡んでるんじゃないかな}
アヤメさん?? テルのお姉さんの???
「アヤメさん、帰ってきてるの?」
{うん。そんで略奪女とアヤメさん、売り言葉に買い言葉で交戦ってる}
「え?アヤメさんと?!」
アヤメさんは、見た目がややキツめだけど筋を通せばちゃんと話がわかる人で、礼儀正しく筋を通してればアヤメさんは弱い立場の人間を守ってくれる姉御肌な性格だ。
私とはそういうところがウマが合ってすごく仲良くさせてもらっていた。
{うちのお姉がアヤメさんと仲いいから、いろいろと協力してるんだけどアヤメさん曰く、弟の人生がかかってるんだから徹底的に闘うって。すごいよ。熱いよアヤメさん}
え、アヤメさんが本気出したらえらいことになるんじゃ……。
アヤメさんもう結婚して旦那様もいるんだから、その喧嘩上等な性格そろそろどっかに片づけないと。
{私も、タカシさんから頼まれていろいろとクミちゃんと調べてるの。まとまったらユキにも報告するけど、あいちゃん、ある意味凄いね。全然羨ましくないけどさ}
なんだか、事が本当に大きくなってきていていろんな人が動いているのがわかる。
余計な波風が立たなかったら、きっと今頃テルと結婚してあの家族と笑いながら過ごしていたかもしれない。もう過ぎたことだけど、あのおじさんたちの表情は胸が痛んだ。ハルカちゃんの顔も頭をよぎる。本当に私にとっては大切な人たちだった。ただ、それはテルという存在があって繋がっていた絆だった。その絆がぷつり、と切れて別の人と繋ぎ変わっている。
略奪は誰も幸せにはしないんだな、としみじみ思った。
【はっきりいって、よくある話だと思った。】
【一時の感情なんてすぐに覚める。目が覚めてやっぱりユキちゃんが良かった、やり直したいって言ってくるんだよ】
少し前、マサキさんが私の話を聞いてくれて言われたフレーズがよみがえる。
マサキさんは大人だし、状況を俯瞰でとらえてる。だからすごくクリアな意見が出てくる。
その通りだなと思う冷静な自分が居て、復縁はありえないと強く思うけど、あの無表情なテル一家と、私の知っているテル一家の明るい笑顔のギャップに受けた衝撃がすさまじく心に残った。
ダメだ。ひとりで思考の迷路に迷い込んでいる感じがする。
こんな情緒不安定な私が今更出て行ったところで何も変わらない。
もう、私だけではどうしようもないくらいに事は動き出している。
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・
「ねえ、ユキちゃんの弟さんに、ちょっと話が聞きたいんだけど連絡できないかな」
今日も配達に来てくれたタカシさんが、マサキさんに聞いたと、ユウキの話を確認しに来た。
なんだかとても大切な情報だったらしい。一応メールしておくんで連絡来たら電話することを伝える。
ユウキは、大学の講義が午前中だけの日らしく午後からこっちに来てくれるとのことだったので
早速タカシさんに連絡をすると、あの商店街の外れの喫茶店で待ち合わせることにした。
0
あなたにおすすめの小説
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
罪悪と愛情
暦海
恋愛
地元の家電メーカー・天の香具山に勤務する20代後半の男性・古城真織は幼い頃に両親を亡くし、それ以降は父方の祖父母に預けられ日々を過ごしてきた。
だけど、祖父母は両親の残した遺産を目当てに真織を引き取ったに過ぎず、真織のことは最低限の衣食を与えるだけでそれ以外は基本的に放置。祖父母が自身を疎ましく思っていることを知っていた真織は、高校卒業と共に就職し祖父母の元を離れる。業務上などの必要なやり取り以外では基本的に人と関わらないので友人のような存在もいない真織だったが、どうしてかそんな彼に積極的に接する後輩が一人。その後輩とは、頗る優秀かつ息を呑むほどの美少女である降宮蒔乃で――
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
俺と結婚してくれ〜若き御曹司の真実の愛
ラヴ KAZU
恋愛
村藤潤一郎
潤一郎は村藤コーポレーションの社長を就任したばかりの二十五歳。
大学卒業後、海外に留学した。
過去の恋愛にトラウマを抱えていた。
そんな時、気になる女性社員と巡り会う。
八神あやか
村藤コーポレーション社員の四十歳。
過去の恋愛にトラウマを抱えて、男性の言葉を信じられない。
恋人に騙されて借金を払う生活を送っていた。
そんな時、バッグを取られ、怪我をして潤一郎のマンションでお世話になる羽目に......
八神あやかは元恋人に騙されて借金を払う生活を送っていた。そんな矢先あやかの勤める村藤コーポレーション社長村藤潤一郎と巡り会う。ある日あやかはバッグを取られ、怪我をする。あやかを放っておけない潤一郎は自分のマンションへ誘った。あやかは優しい潤一郎に惹かれて行くが、会社が倒産の危機にあり、合併先のお嬢さんと婚約すると知る。潤一郎はあやかへの愛を貫こうとするが、あやかは潤一郎の前から姿を消すのであった。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる