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パニッシュパーティ4
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その日の午後、ゆっくりした時間に着信音が鳴る。
駅に着いたっていうユウキからのメールだった。
エミさんにひと言断ってから、迎えに行こうとするとエミさんは、ユウキが時間あったら
夕飯用意するから連絡してきてねって言ってくれた。
駅には、すでにユウキが待っていた。
飄々とした感じで何事も我感ぜずな面持ちは相変わらずだ。
「ユウキ、待った?」
「おう。元気そうじゃん」
ユウキを商店街の外れの喫茶店に案内すると、マスターが奥のボックス席に案内してくれる。
「ユキちゃん、中々かっこいいね、彼氏?」
マスターと奥さんが冷やかすので、弟ですと紹介する。ユウキも姉がお世話になってますと
一丁前な挨拶をする。
ボックス席にはまだタカシさんは来ていなかったが、マスターがコーヒーを持ってきてくれる。
「ユウキ、みんな元気にしてる?」
「一応ね。ねーちゃんが居ないくらいであんま家は変わんないけど、父さんと母さんのラブラブっぷりが増してる感じがする。正直暑苦しいわ」
ぶっきらぼうに答えるとコーヒーを一口飲む。
「ねーちゃん、結構元気そうで安心した。適応力あるじゃん」
「それ、図太いとか思ってる?」
笑って話しているうちにドアベルの軽やかな音が響く。入り口を見るとタカシさんが
こちらへ向かってきているのが見える。
「ごめん、待たせたかな」」
申し訳なさそうにするタカシさんに今着たところですと伝える。
「ごめんね、野暮用が出来てそっちを先にを片づけてたら遅くなった」
タカシさんの息が上がっている。よっぽど急いで来てくれたんだろう。
「ごめん、本題に入るね。弟君、時間を取ってもらって有難う。助かるよ」
「いえ、こっちも協力してもらえたら助かるんで気にしないでください」
タカシさんは、あいちゃんを探している人についていろいろと質問する。
すると、ユウキのツレのお兄さんって人が既婚者だったことに私は驚かされたが、
タカシさんはあまり驚いてない。顔に出ていないだけなのかもしれないけど、なんか
知ってました、みたいな感じでさらりと流してる気がする。
一緒に働いている時は普通の子だと思っていたあいちゃんのいろいろな面が
ここのところ色々と見えてきて、あいちゃんは一体いくつの顔を持っているんだろうと
背筋が寒くなる気がした。
あいちゃんを探している人は、仕事の付き合いであいちゃんと知り合い、
お付き合いをしていたんだって。まだ籍を抜いていない時にやらかしたから、奥さんの
弁護士から内容証明の封筒が来て、その中にあいちゃんとの話し合いをするって記載されていたから
口裏を合わせないと破滅するって焦って探しているんだそうだ。地獄に落ちろ。
「で、テル兄の新カノがあいちゃんってやつだってねーちゃんから聞いてマジびっくりしてるところで」
まだテル一家には話していないそうで、どうしたものかとアヤに連絡したって話だった。
「とりあえず、そのお友達のお兄さんにちょっとお願いしたいことがあるので
会わせていただきたいのですが」
タカシさんは淡々と話を進めていく。ユウキも了承し連絡をその場で取り始めて、その人とユウキとタカシさんで会うことになった。
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・
「エミさんが、時間あったら晩御飯用意するって言ってたけどどうする?」
ユウキに聞くと、食べる!と嬉しそうに答えたのでエミさんに連絡し、家に向かった。
「ねーちゃん、すっかりこの街に馴染んでるよね」
「まぁね。いろいろあったけど、この街の人たちが助けてくれてるんだと思うわ」
静かな街を歩く。
実家にいるときはあんまり話もしなかったけど、すっかり男らしくなったもんだわ。
家に着くと、エミさんが大歓迎してくれてごちそうを用意してくれているらしい。
刺身は、魚六に頼んだからそろそろ届くはずだよ、と笑っていると
玄関にバイクの止まる音がして、マサキさんの声がする。
手には刺身の盛り合わせのパックに入ったレジ袋がある。
しかし、マサキさんはなぜか固まっている。
「マサキさん、いらっしゃい。紹介するね……」
「ああ、ねーちゃんの新しい彼氏?なかなかやるねぇ」
紹介する前にユウキがにっこり笑う。
「ああ、弟さん?」
ようやく絞り出したマサキさんの声が緊張している。
その様子に面白そうに見守っているエミさん。
「ユウキ君、そうなの!マサキ君って言ってね、すごーーーくいい男だよ」
うわぁ、なんか微妙な空気だ。私の背中にいやな汗が流れて行った。
駅に着いたっていうユウキからのメールだった。
エミさんにひと言断ってから、迎えに行こうとするとエミさんは、ユウキが時間あったら
夕飯用意するから連絡してきてねって言ってくれた。
駅には、すでにユウキが待っていた。
飄々とした感じで何事も我感ぜずな面持ちは相変わらずだ。
「ユウキ、待った?」
「おう。元気そうじゃん」
ユウキを商店街の外れの喫茶店に案内すると、マスターが奥のボックス席に案内してくれる。
「ユキちゃん、中々かっこいいね、彼氏?」
マスターと奥さんが冷やかすので、弟ですと紹介する。ユウキも姉がお世話になってますと
一丁前な挨拶をする。
ボックス席にはまだタカシさんは来ていなかったが、マスターがコーヒーを持ってきてくれる。
「ユウキ、みんな元気にしてる?」
「一応ね。ねーちゃんが居ないくらいであんま家は変わんないけど、父さんと母さんのラブラブっぷりが増してる感じがする。正直暑苦しいわ」
ぶっきらぼうに答えるとコーヒーを一口飲む。
「ねーちゃん、結構元気そうで安心した。適応力あるじゃん」
「それ、図太いとか思ってる?」
笑って話しているうちにドアベルの軽やかな音が響く。入り口を見るとタカシさんが
こちらへ向かってきているのが見える。
「ごめん、待たせたかな」」
申し訳なさそうにするタカシさんに今着たところですと伝える。
「ごめんね、野暮用が出来てそっちを先にを片づけてたら遅くなった」
タカシさんの息が上がっている。よっぽど急いで来てくれたんだろう。
「ごめん、本題に入るね。弟君、時間を取ってもらって有難う。助かるよ」
「いえ、こっちも協力してもらえたら助かるんで気にしないでください」
タカシさんは、あいちゃんを探している人についていろいろと質問する。
すると、ユウキのツレのお兄さんって人が既婚者だったことに私は驚かされたが、
タカシさんはあまり驚いてない。顔に出ていないだけなのかもしれないけど、なんか
知ってました、みたいな感じでさらりと流してる気がする。
一緒に働いている時は普通の子だと思っていたあいちゃんのいろいろな面が
ここのところ色々と見えてきて、あいちゃんは一体いくつの顔を持っているんだろうと
背筋が寒くなる気がした。
あいちゃんを探している人は、仕事の付き合いであいちゃんと知り合い、
お付き合いをしていたんだって。まだ籍を抜いていない時にやらかしたから、奥さんの
弁護士から内容証明の封筒が来て、その中にあいちゃんとの話し合いをするって記載されていたから
口裏を合わせないと破滅するって焦って探しているんだそうだ。地獄に落ちろ。
「で、テル兄の新カノがあいちゃんってやつだってねーちゃんから聞いてマジびっくりしてるところで」
まだテル一家には話していないそうで、どうしたものかとアヤに連絡したって話だった。
「とりあえず、そのお友達のお兄さんにちょっとお願いしたいことがあるので
会わせていただきたいのですが」
タカシさんは淡々と話を進めていく。ユウキも了承し連絡をその場で取り始めて、その人とユウキとタカシさんで会うことになった。
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・
「エミさんが、時間あったら晩御飯用意するって言ってたけどどうする?」
ユウキに聞くと、食べる!と嬉しそうに答えたのでエミさんに連絡し、家に向かった。
「ねーちゃん、すっかりこの街に馴染んでるよね」
「まぁね。いろいろあったけど、この街の人たちが助けてくれてるんだと思うわ」
静かな街を歩く。
実家にいるときはあんまり話もしなかったけど、すっかり男らしくなったもんだわ。
家に着くと、エミさんが大歓迎してくれてごちそうを用意してくれているらしい。
刺身は、魚六に頼んだからそろそろ届くはずだよ、と笑っていると
玄関にバイクの止まる音がして、マサキさんの声がする。
手には刺身の盛り合わせのパックに入ったレジ袋がある。
しかし、マサキさんはなぜか固まっている。
「マサキさん、いらっしゃい。紹介するね……」
「ああ、ねーちゃんの新しい彼氏?なかなかやるねぇ」
紹介する前にユウキがにっこり笑う。
「ああ、弟さん?」
ようやく絞り出したマサキさんの声が緊張している。
その様子に面白そうに見守っているエミさん。
「ユウキ君、そうなの!マサキ君って言ってね、すごーーーくいい男だよ」
うわぁ、なんか微妙な空気だ。私の背中にいやな汗が流れて行った。
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