ヘタレ女の料理帖

津崎鈴子

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星に願いを1

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 ハロワの帰りに、商店街で買い物に行く。

今日の夕飯、エミさんがぶっかけそうめんが食べたいって言ってたから
きゅうりとトマトを買いに八百屋に行くと、タカシさんが店に出ていた。

最近は店番はタカシさんのお母さんがやっていることが多かったんだけど、今日は用事でお出かけらしい。タカシさんが店に出ると、お客さんがすごく増えるんだそう。タカシさんもようやくお客さんの波が引いていってちょっと疲れていた感じだったけど元気に挨拶してくれている。

「やぁ、ユキちゃん、今日は何にしようか? おすすめはオクラだよ」

そういやぁ、店先のザルに並んでいるオクラは新鮮そのもので触るとチクっととげが刺さるくらい元気がいい。

「ほんとだ。すごい産毛が刺々しいね。今日はそうめんにしたいから、きゅうりとトマトを買いに来たの」

「夏バテにもオクラのねばねばっていいんだって。産毛もあら塩にまぶしてまな板でゴロゴロ転がしたらすぐに取れるしね」

さすが八百屋さん。詳しいわ。

「そうめんだけだと栄養偏るから、豆腐を水切りして食べやすい大きさに切ってゆでたオクラを乱切りしたものと混ぜて好みのドレッシングかけたのも一緒に食べたらいいんじゃない?ついでに紫蘇を刻んだのとかごまをかけてもいいし」

あ、おいしそう。今日それにしようかな。エミさんも食べやすそうだ。

「じゃぁ、オクラと紫蘇ももらうね」
「まいどあり」

にっこり笑うタカシさん。さすが商売上手だ。

「ところでさ、今度、商店街の若手メンバーで飲み会するから来ない?」
「ああ、いいね。アヤとクミちゃんにも声かけていい?」
「むしろ女の子呼んでくれるとありがたい。出来たら彼氏募集中の人大歓迎」

じゃぁ、合コンってことで小規模でやってみるのはいいかも。

商店街の企画としては時期が早かったけど、みんなが楽しめる企画にはしたいなぁ。

「じゃぁ、豆腐屋さんに寄るからまたね」

タカシさんに挨拶して豆腐屋に向かう。

豆腐屋のおじさんは、朝早いせいか夕方にはすごく眠そうにしている。
ここのお豆腐はこだわりの井戸水に国産大豆で作っているそうで、美味しいと評判で近くのホテルにも卸しているそうだ。サラダ用に絹ごし豆腐を一丁買うと、おまけってがんもどきを2つつけてくれた。

「エミさんによろしくね」と笑っている。

☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・

 さっそく、アヤとクミちゃんに飲み会の話を持ち掛けたら二つ返事でOKしてくれる。
アヤに至ってはどうもお目当てがいるらしい。

ああ、薄々わかってるけどね、手先が器用な機械に強い人ね。バレバレ。

 クミちゃんも、何人か連れてきてもいい?って話だったから行けると思うと返事をしといた。

お店はどこがいいのかなぁ。決めないといけないことは結構あるかな。

タカシさん、規模をどのくらいで想定してるんだろう。

飲み会なんて、すごく久しぶりだから楽しみだ。

☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・

「そういえば、エドワードがね、夏に遊びに来るそうよ」

ぶっかけそうめんを食べながら、エミさんは笑っている。

「え?エドワード?」

 エミさんが幼少期にお世話したというエドワード。春先にエミさんを探しに来て無事に再会したあのキラキラした人か。

「おじいさんにこってり絞られて、しばらく自由時間がないのかと思ってたわ」

たしか、大げさなことを言ってエミさんをエドワードの国に連れて行こうとしていたけど。

「ええ。かなり怒られたらしいけど、もともと仕事はできるやり手なのよ」

ちょっとエミさん誇らしげだった。教育した欲目が出てるのかな。

「任された関連会社の業績をずいぶん上げて株価を押し上げたそうよ」

「へえ、やればできる子なんだね、エドワードって」

「そうそう。休みをもぎ取るために必死だったって言ってたけどね。七夕ごろに来日するそうよ。日本の夏は暑いって言ったんだけどね、こだわりがあるみたい」

エミさんはそういうと、意味ありげに見るとクスクス笑う。

「日本で有名な七夕の日にぜひユキちゃんに会いたいそうよ、モテモテね」

え?七夕に来るって?うわっ。飲み会にかぶらなきゃいいけど……。

なんか、ちょっとトラブルの予感がするなぁ。
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