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第五章 拳銃学・ステイプラー
43.ランクレベル7の力
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ランクレベル7。
俺に能力を譲ってくれる前まではステイプラーのランクレベルは7だった。
しかし俺に能力が移ったことにより、彼女のランクレベルは一気に1まで下がってしまった。
ちなみに最高騎士長のハイライターや、ナンバー2であるイレイザーもランクレベルは7だ。
恐らくだが、この街を守るために立ち向かう部隊長をみんなランクレベルは7付近なのだろう。
すごいな、この街は。
ランク7って、例えばこの話がゲームだとして、マックスレベルが100だとするならば、この街にはレベル70前後の人が合計7人もいることになる。
アズリエルの説明やノベルメイカーに記された情報によると、ここは『はじまりの街』なんだぜ?
レベルバランスどうなってんだよ!
これから出てくる奴ら、めちゃくちゃハードルが上がるぞこのままじゃよ!
◆
俺はランクレベル7のステイプラーを引き継いだことで、自分のランクレベルは恐らく7まで上がったに違いない。
残念ながら、自分のランクレベルを自分で測ることはできない。
それに強さの指標になるステータスも『クソラノベの象徴』とか言ってノリで概念を消してしまったからな。
今更になって、ステータスを消してしまったことを心底後悔している!
もう一度、ステータスの概念を書き足してもいいが、何度も世界を書き換えていたら親父が『このバカ息子!』とか言ってブチギレるかも知れないからな!
――っていうのは冗談で、消した情報をまた復活させるのはラノベにおいて最もしてはならないことだ。
読者目線で見れば、設定を削除したのちに同じ情報を垂れ流すと混乱を招きかねない。
あくまで、この物語は『神様の暇つぶしのためにラノベを書く』ことが目的とされている!
あまりにふざけた設定をこねくり回しまくると、クソラノベとして堕ちていく確率が極めて上がる!
コンコン。
俺はノックは2回する。
親しい友人や知人に対しては3回ノックが鉄則だって知ってるか?
ちなみに、ノック2回はトイレの存在確認に使われている。
俺が就活をしていた頃に身につけた知識だ。
まぁ、就活は結局のところ挫折しちまったけどな。
――20歳、成人式の直前で親父を亡くした。
同時、親父は心臓を患っていたのだ。
世界で1番信頼していた親父を亡くした衝撃によって、俺は家に塞ぎ込むことが多くなったんだ。
1年間ずっと泣いてばっかで、親父を思い出す度に辛くなってしまった。
就活が始まってもまだ引きずっていて、周りが内々定をもらって行く中、俺だけが取り残されていた。
俺には夢がある。
俺は、誰かを言葉で感動させたかった。
自分が作り出した物語で誰かに『この小説で私は強くなれました』と言われたかった。
就活するよりも、俺はラノベを漁る様に読んで物語を書く『夢』を追いかけ始めたのだ。
大学を卒業してから3年間、俺は塾の国語の先生として働きながら、子供たちに教える合間に『広辞苑』を読んでいた。
言葉は時に武力より強く、経験値は時に才能をも上回る。
言葉を知り、経験値をつけ、夜になると言葉を立体にするために物語を紡いだ。
2作分、400万。
空白の3年間という期間で書いたラノベの字数である。
俺の頭の中にはすでに『異世界』が出来ていて、俺はただその風景を眺めるだけで、気付くと小説が完成していた。
まるで、このノベルメイカーの様に――。
24歳の春、俺は試しに書いた小説をネットに投稿してみた。
それが、俺の伝説の始まりだった。
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