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第五章 拳銃学・ステイプラー
42.銃の使い手・ノベル
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「……あげちゃったんだね。私の力をノベルに」
ステイプラーはベッドから起き上がる。
眠る前と同じ、黒い下着姿のままだった。
やっぱり、裸になって俺に抱きついてきたのは夢の中の夢だったか。
証拠に、俺は隊服を着たままだし、夢の中ではいなかったハイライターの角もご健在だ。
しかも、俺が実際に眠っていた時間はたったの1分くらいときた!
さすがは過去のステイプラーさん、童貞の俺は数秒で眠りに堕ちる……ってのは強ち間違いじゃなかったぞ?
「おい、ノベル! そっちから俺様の角を押してくれ! 首の力だけじゃ抜けんのだ!」
――だぁ、うるっさいなぁ今はそう言う気分じゃないんだハイライター!
まぁ、こいつは後で処理するとしてだ。
「お前の『残骸』が言ってたぜ。『君に私の全てを捧げたい!』ってな。過去のお前は、もうお前に戦って欲しくないと思ってたんだろう」
「……そっか。全てを捧げたいだなんて、昔の私はキザなんだね」
「いやいや、そういう意味で言ったんじゃないだろ。とりあえず、お前はもう戦わなくていい。その代わりに、俺が引き金を引くからな」
「そっか。分かったよ」
やっぱり、夢の中とは違って良い匂いがする。
花の香りがするのはきっと、ステイプラーが妖精だからなんだろうな。
「ノベル」
「あぁ、なんだ?」
――瞬間、俺の頬に彼女の唇が当たった!
「え、え、ええっ?」
俺は突然すぎる突撃に困惑して全身がバクバクした!
「ドキドキしてるのが伝わるよノベル。私は君に従属しているからなんでも分かるの。私はノベルの所有物。そういうことなんだよ」
「あっ、ああっ! ってか、お前には心に決めた人がいるんだろうが! 亜人族の少年君のことを忘れたとか言い出すんじゃないだろうな! ラノベではそういう展開は『浅い』って言われて叩かれるんだぞ!」
「彼の事を忘れたりは絶対にしない。でも、ノベルのおかげで私の心は動き出したの。100年前に忘れてきた『恋心』が」
ななななな、何を言い出すんですかこの子は!
言っておきますがね、俺とお前はまだ出会って10分とかなんだぞ!
夢の中では丸一日くらい一緒にいたし、裸で抱かれたこともあったが――!
「ちなみに、妖精族と竜人族は交配可能。本で読んだことがある」
「だからなんだよ! 言っておくがな、お前は俺と契約した妖精なんだぞ! それに、俺には契約している天使もいる!」
「それも分かってる。だから、アズリエルって子がノベルと結婚する前に、私が結婚する」
「あわ、あわわわ!」
あ、やばいこの子!
本気で俺のことが好きになっちゃった系女子だ!
まずいぞこの展開!
ラノベで最もやっちゃいけない展開である『速攻陥落』が今起きている!
「……焦ってるノベルは、可愛くて抱きしめたくなる」
と、ステイプラーは俺に飛びついてくる!
「うひゃあ! マジでやばい、ちょっと俺には刺激が強すぎる!」
「もうすでに臨戦態勢だね。私はいつでも待ってるから」
「おい馬鹿野郎! ソコは触るんじゃねぇ!」
――と、俺の上に乗りかかろうとするステイプラーを誤って突き飛ばした!
彼女はベッドから転がり落ち、ずてんと音を立てる!
「す、すまん! 大丈夫……!」
「あ、ダメだよノベル!」
ずっこけて頭から落ち、ステイプラーは天井にお尻をこちらに向ける!
その際、ステイプラーのパンティーがズレて、膝辺りまで来てしまったのだ!
つまり、彼女の大事な部分が丸見えの状態になったのだ!
その神々しい風景、俺の理性は完全に吹き飛んでしまった!
「こここ、これはっ……ぶしゅっ!」
「あぁ、見ちゃだめノベル! ここを見られるのは流石に恥ずかしい……。最近、手入れしてないし」
俺の脳の処理速度は限界に達し、鼻血を吹き出してベッドに倒れ込んだ。
――あぁ、女の子ってあんな感じなんだ。
本物の女の子ってあんな感じなんだ!
「い、異世界……さいこー」
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