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スキル
しおりを挟む地球とは別世界の「ミクロン」と呼ばれる惑星には文明が発達しており、多種多様な生命体が文化を形成し暮らしていた。
ミクロンの生命体は「スキル」と呼ばれる特殊な力を授かり産まれてくる。
文明が発達するにつれてスキルの重要性が注目されスキルにランクがつけられ、ランクが高い人材を優遇するようになった。
この物語はこのスキル至上主義の世界で「低脳」と呼ばれた少年が世界最強になるまでの物語である。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「ラオ!早く行くぞ!」
「待ってよ、リク!」
麦畑を横目に走る2人の少年はサバントと呼ばれる国の南に位置する田舎の村「ラルク村」で育った。
「今日が俺らのスキルが分かる日だ!!勇者としての人生が始まる日だ!待ってられるか!」
「待ってよぉ、リク!」
この世界では12歳になると神からの天啓によって、スキルが付与される。
神からの天啓を受けるために2人は村の端にある教会へと足を運んだ。
「神父様!俺のスキルを教えてくれ。」
「リク、教会の中だから静かにしなきゃダメだよ……。」
ご覧の通り、リクは元気いっぱいの少年でラオは物静かと真逆の性格である。
「おやおや、リクにラオじゃないか。そうか、2人とももう12歳になったか。」
この優しそうな白ひげの神父はルーグという名前で、村唯一の神父である。
「それでは2人とも手を合わせて膝を地面に付き、目を瞑るんだ。」
「おう!」
「はい!」
2人は神父の指示に従った。そして、神父は何やら難しい言葉を発し、2人はその言葉を意味もわからず聞いていた。
すると2人の頭の中に自分が保有するスキルが頭の中に浮かんできた。
スキルというのは授けられた瞬間から、まるで呼吸をするかのように自然に扱うことができるのである。
「おぉ!俺はスキル2つあったぞ!!」
「それはすごいなリク。スキル2つは100人に1人と呼ばれるほど珍しい。」
「僕は3つでした神父様。」
「3つもですか……。3つ持ちは1万人に1人ですよ。私もこの目で見るのは4人目ですよ。」
「すっげぇなラオ!」
リクはラオのことを自分の事のように喜んでくれた。
「それでスキルは何を授かったのですか?」
「俺は「英雄の眼光」と「剣鬼」だよ!」
「なんと!?2つともスキルランクがSランク以上のスキルですよ。」
スキルにはランク付けがされており、SSS~Fの9段階あり、SSSは伝説級、SS~Sは英雄級、A~Bは上級、C~Dは中級、E~Fは低級と呼ばれている。
「やったぜ!!これで俺も勇者になれる!」
「浮かれちゃダメですよ。スキルがどんなに良くても、日々の研鑽を怠れば真の力は発揮されませんからね。」
「わかってるよ、神父様~。」
「それで、ラオはどんなスキルでしたか?」
「僕のスキルは「カウンター」「ダメージ回復」「根性」です。」
「おぉ、これは冒険者向けのスキルですね。」
「本当ですか?!嬉しいです!」
ラオは昔から自由に生きていける冒険者に憧れていたのである。
しかし、ルーグはこの時ラオに言えなかった。「ラオの手にしたスキルが全てEかFの低級スキルしかない」ということが。
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