魔法適性ないんですけど1億年も修行したんで異世界でなんとかなりませんかね?

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6話 強欲の魔王

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「これはささやかな餞別です。国を渡る時に役に立つでしょう。」

 
 龍騎はゼノから懐中時計を貰った。


「これはいわゆる権力顔パスみたいなもんだな?」

「まあ、そんなものですね。これがあれば大抵のところは検問なし、好待遇で過ごせるでしょう。……逆に狙われることもあるかと。」

「その時はその時だよ。」

「聞こえていましたか。」

「身体能力と共に感覚器官もよくなってるからな。」




 こうして龍騎は旅をすることになった。




「リュウキ様……とんでもない御方でしたね。」

「あぁ、あれはまさに神にも匹敵する御方だ。次に交える時は1つくらいスキルを使ってもらいたいものだな。」

「デスバリア様が相手でさえ、1度も使われなかったのですか?」

「使ったのは守りの型が1つだけで、それはリュウキ殿のただの技術だよ。」




┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



『脚力強化』


 龍騎は脚の能力をあげ、空を歩きながら移動した。



「空中での移動はだいぶ派手だから、かなり高度をあげるか。」



『スドウ流 零式 井氷鹿いひか


 零式 井氷鹿は呼吸法である。呼吸によって酸素を体内で操作することによって、体内の臓器の機能の管理を自分の意思によって行える。



「温度を上げておかなきゃ、寒くてやってられないからな。」



 龍騎は体内の温度を上げ体温を保っていた。



「ゼノに教えてもらったオススメの国がここから約1000km先の"強欲の魔王" アナリスの王国だな。」


 強欲の魔王 アナリス、2つ名の通りに強欲の女魔王で種族は竜族。彼女は全てを欲するあまり、他国でも欲しいものがあれば手に入れようとして、常に周辺国との争いが耐えないという。

 ゼノがオススメした理由としては彼女は「知識も欲している」から神族の情報を持っていると踏んでいるのだそうだ。




「嫉妬の魔王 アナリスか。嫉妬ってことは七つの大罪的なやつかな?固有スキルとか特別な魔法とかが見れるかもしれないな。」



 ここに来て龍騎のファンタジー熱が再熱し始めてきたのである。



 こうして、龍騎はアナリスのいる国へと向かうのであった。



 数時間すると大きな壁で囲われている国の境界線としての機能をしているであろう場所を見つけた。

 龍騎は下におり、検問をくぐろうと近づいた。



「おい、ニンゲン。ここはアナリス様の領地だ。お前が入って言いような場所ではない。」


 三又の槍を持った羽の生えたデーモンが龍騎を引き止めた。


「これでもか?」


 龍騎はゼノから貰った時計を見せた。


「それは……入って良いぞ。」


 すると、あっさりとデーモンは龍騎を通した。



タッタッタッ


「貴方がリュウキ様ですね。デスバリア様からご連絡が来ていたのですが、ここまで早く到着なさるとは。」


 龍騎はたった2時間で1000kmを移動したのである。


 そして、龍騎を急いで迎えたのはリリィのようなサキュバスではなく、メイド服を着た赤い眼赤髪の女性だった。


「いや、大丈夫だ。それより、なんで迎えに来てくれたんだ?」

「デスバリア様がリュウキ様のことをお話したら、アナリス様が丁重にお連れしろとのことでしたので。」

「なるほどな。じゃあ、連れてってくれ。」

「はい、私に触れてください。」


 龍騎はメイドに触れた。



シュンッ


「うおっ、一瞬で城の前に。それにしてもいい趣味してんなアナリス様は。」


 転移魔法によって2人は一瞬で中央にあった魔王城までついた。

 魔王城は大砲などの兵器や豪華そうな装飾がついた、とてつもない盛り沢山の城だった。



「はい、私達もアナリス様の欲深さには困っているのですよ。あ、そういえば、名乗り忘れました。私はこの国の総司令官をやっているカリナと申します。」

「あぁ、よろしくな。」


 カリナに連れられ、龍騎はアナリスのいる部屋まで案内された。



「アナリス様、お連れ致しました。」

「ご苦労、下がってよいぞ。」


 アナリスの声はまるで幼女のように高く幼い声だった。

 そして、アナリスがいる部屋に龍騎が入ると底にはゴスロリ服を着た幼女が座っていた。


「あんたがアナリス様か。俺は龍騎だ、よろしく。」


 龍騎はアナリスに握手を求める。


「私は強欲の魔王 アナリスじゃ。よろしくのぉ。」


ビビビ


 アナリスは龍騎の手を握ると、電撃が走ったかのような衝撃を受けた。



「あぁ、すごくよいのぉリュウキ。お主の生命力はとてつもなく刺激的じゃ。」

「ん?そうか?確かに普通の人よりかは生命力は高いと思うが……。」

「想像以上じゃ。どうじゃ、リュウキ!私の下で働かないか?」


 アナリスは龍騎に部下になるように持ちかけた。


「あぁ、やめとくよ。俺はやることが出来たからな。」

「そうじゃろうな。世はそもそもお主の上に立つ器にすら達してないからのぉ、今のはほんの冗談じゃ。」

「それにしては、冗談の顔じゃなかったけどな。」



 龍騎は持ち前の空気の読めないコミュニケーション能力でアナリスとの距離を縮めた。



「それより、俺は神族について聞きに来たんだけど、教えて貰えるのか?」

「あぁ、よいぞ。神族について私が知る限りのことを教えよう。その代わり、リュウキ、お主にも1つと教えて欲しいことがあるんじゃ。」

「なんだ?大したことは教えられないぞ?」

「あるじゃろ、主の1番の知識が。『武術』についてを私の兵士に教えてやって欲しいのじゃ。魔法ばかりで近接はあんまりなんじゃよ。」


 アナリスが凄腕の魔法師であるため、軍の兵士たちもそこに憧れ、魔法を使うものが多くなってしまったのだと言う。



「あぁ、それでいいなら全然大丈夫だ。」

「契約成立じゃな。」
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