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1話 異世界転移
しおりを挟む『主は異世界へと転移することとなった。』
日本の高校三年生の男、牧 輝夜は今日、学校帰りに記憶を失い、気づけば神界と呼ばれる世界へと飛ばされていた。
「異世界転移って、今更流行んないっすよ?今は令嬢ものが流行ってるんだから……。」
『バカもの、こっちは真面目に話しているんじゃよ。輝夜、主は異世界にある「ギド独立国家」を救うのじゃ。』
「え、なんでそんな限定的な目的なんです?魔王を倒せとか、使命はないからスローライフ楽しんでとか、物語の展開自由に出来るような抽象的なやつにするはずじゃないですか!」
話の概要はこうである。牧 輝夜の父、牧 義貴は異世界から地球へと来た異世界人であり、ギド独立国家の初代国王だった。そして、ギド独立国家は現在、王位継承によって内戦が行われているため、血縁関係である輝夜が王になることで丸く収まるということで白羽の矢がたったのである。
「つまりは俺が異世界に行ったら、そこで王様になって、国を平和にすれば解決ってことですか?」
『そうじゃ。収めて、次代の王へ王位を継承してくれさえすれば、主は日本へ転送しよう。』
「はぁ、なんて勝手な…。まあ、いいですよ。って言わないとこの物語先に行かないんでしょ?」
『主はさっきからメタ発言が過ぎるのぉ。』
「それで、なんかスキルとか魔法とかは使えるようにしてくれるんですよね?」
『もちろんじゃ…………と言いたいところなんじゃが、スキルはほとんどが後天的なもので努力じゃないと手に入らないものが多くてな……魔法は人間は使えんのじゃ……。』
「ってことは……もしかして……。」
『いやいや、何も無いということはないのじゃよ。主に「加護」を与える。』
「どんな加護なんですか?」
『とりあえずはどんな言語も操る言神の加護、王としての威厳を高める王政神の加護、治癒力などの回復系能力が高くなる母神の加護、そして、最後に……』
「最後に……」
輝夜は攻撃系の加護が来ると予想していた。武力の向上する武神の加護、武器の扱いが上手くなる武具神の加護等を予想していた。
『一定時間、全ての能力の強化、不死不滅の特性を得ることが出来る無敵神の加護じゃ。』
「え、チートすぎませんかそれ?」
『但し使えるのは1分間のみで、使ったら次に使えるのは24時間後じゃ。』
「いや、それはどうなんですか……強いんですか……え、ちょ……わかんないんですけど?」
『使い方によっては本当に「無敵」じゃよ。』
「まあ、でも、俺は王様とした国を収めるのが目的なのであんまり戦わなくてもいいですもんね?」
『…………………………それじゃ、転移を始める。』
「おい、なんだその間は!!クソジジ……」
『ギド独立国家は武力社会じゃからのぉ。自分より弱いものの下にはつかないものは多いからのぉ……まあ、大丈夫じゃろう。』
こうして、輝夜の異世界生活が始まったのである
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