純和風お宿を異世界で

白いモフモフ

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異世界講座

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 突如として始まったラウルとショウによる『異世界冒険者講座』はお膝抱っこのまま進む。……ところどころで「あのっ…」とか「降ります」などの声は丸無視だ。

 まず2人はフェインとミコトが誰も冒険者の知り合いがいないままこれまで来た事を問題視した。

 「ここまでの2ヶ月と少しの間に事故が無かった事が奇跡だ。確かにギルドも気をつけるべきだったろうが、最初は街の中だけで経験を積み、話を聞いていくのがセオリーで当たり前だからな。まさか一足飛びに森に採取に行ったとは思わなかったんだろう。」

 「「……いえ、採取物や討伐対象も売ってまして。」」

 ギルドも自分達の依頼達成状況から知っていたはずだと伝えると2人ともちょっと難しい顔になった。
 (後日、ギルド側にラウルが聞きに行ったところ、地域の差でこの周辺では隣の森までは子どもでも行ける場所なのでそこまで危険視はしてないと言われたそうだ。)

 「フェインはともかく、ミコトはやっぱり俺が一から教えよう。歴史やこの国がどこにあってこの街もどこにつながっているか、知りたいだろ?森の歩き方や薬草、山菜のある場所、討伐した後の処理、野営……色々知らなきゃならないからね。」

 顔を覗き込む様にして「ね?」と言われてしまった僕はついラウルの顔に見とれてポーッとしながら「はい」と答えてしまった。
 
 「じゃぁ、俺はフェインに教えてあげる。俺のお手伝いしながら色々覚えていこうね?」

 チロンとショウに流し目を送られたフェインは顔を真っ赤にしてこくこく頷いていた。
 それを見ていたらなんでだか傍のラウルを意識して、それ……なんていうんだろう。こう、キュンとするっていうのかな?心が甘い疼きがあって……。落ち着かなくなってしまった。

 居心地が良いのに落ち着かない心境なものでついモゾモゾ動いていると頭の上から『グッ』と音がしたので見るとラウルが空を見つめたまま固まっていた。
 と、その瞬間気づいた。皆、ご飯を食べたばかりだ!それなのに胃に近い場所で僕がモゾモゾ動いたのでラウルは胃を刺激されて吐き気をもよおしたのだ!(激しい間違い)

 慌てて膝から降りた僕がラウルの背中を擦りながらそう謝るとショウが大爆笑し始めた。フェインを膝抱っこしたままなのでその衝撃でフェインは落ちそうになって慌ててショウにしがみつきなんとか転落は免れた。
 しかしショウは意外と笑い上戸なのかヒーヒーと引き笑いが収まらず終いにはラウルから威圧を受けてようやく収まったようだ。
 やっと笑いも収まったようだし、ラウルの具合も心配なので今日はこれでお開きにして明日の朝、ここに迎えに来てもらう事になった。

 僕としては具合を悪くさせてしまった手前、看病を申し入れたけど「大丈夫、もう収まってきてるから」との本人の言葉で部屋に引き上げた。


☆この後のショウとラウルの会話

ショウ: …ヤバかっただろ。
ラウル: ああ…ミコトのいい匂いでいい気分のところに
    あの小さい尻の……
ショウ: 羨ましいやら気の毒やら。
ラウル: この状態で看病とか…絶対手ェ出す。
ショウ: あれ、2人とも気づいてないぞ。

 そういう事も教えていこうと意気投合して各々の個室へと戻ったのでした。
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