純和風お宿を異世界で

白いモフモフ

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 真っ白い場所にフワフワの地面。目の前のお爺さんは白い長衣に長い髪と髭、手には仙人の持つ様な大きな杖…となれば?

「もしかして、神様ですか?」

ここで「トンでもねぇアタシャ神様だよ!」って甲高い声で返ってきたら往年の人気お笑いのコントだが、返ってきたのは頷き1つだった。

「そのセリフ言った方がいいかの?」

かなり困った顔で言うので、焦って首を横に振る。

「助かった。おヌシの考えてることはそのままワシに伝わるでな、変な事考えたら直ぐわかるぞ?ほれ、可愛い神様が良いとか思わず、話を聞くのじゃ。」

 その後もテンプレの、考えた事が伝わるのは不味いと考えた事を指摘されたり、ここは何処で自分は何故居るのか等のやり取りがあってからなんとか本題に移った。

「お主にはテェイヤードガーデンという世界に行ってもらう。」

 そこに行く本人の意思は?あ……無さそうですね。
この神様はとても優しいらしい。僕が思い付いた疑問は話の途中でも首をふって答えてくれる。

「この世界はお主の考える魔法と剣の世界そのものじゃ。多少、違いがあるがの…。まぁ、信じられんじゃろうが1週間の準備期間をやるでな。」

 拒否しないのを良いことにサクサク進めるね~。“信じられん”ってわかってるならもうちょっとなんとかしよーよ。“1週間の準備期間”ってどういう事なの?

「よく考えて持ち物の準備することじゃ。この帳面にお主が考える欲しいスキルやチートなるものを書いておくのじゃ。ヌシが考えておるようなインターネットスキルや錬金術スキルは儂は与えてやれんのだがな。」

 言うだけ言うと輪郭がぼやけていく。スゥーっと周りの景色が遠のいて目が覚める。夢だったかと思う事もなく手元のノートを見る。神様が帳面って言っていたようにノートと言うより和綴じされた帳面だ。

 表紙をじっと見ながら(本当?)と思う。だって普通そうだろ?こんな事あるわけ無いじゃん。きっと寂しい心が見せた白昼夢……でも、本当ならいいなと思う。どうせこの所、現実からかけ離れた様な生活を送ってきたのだ、この先もこの現実から離れても良いかもしれない。


 2週間ほど前に両親と祖父を一度に亡くしてからは悲しみで泣くか葬儀等の忙しさで悲しみを忘れるかどちらかだけだった気がする。
…そういえば少し痩せただろうか?元々小柄な自分だからこれ以上痩せるのはみっともないと思う。

 異世界に移住(?)出来るのなら、その方が良いかもしれない。心機一転とこういう場合もいえるのだろうか?ともかく最近で一番心が軽くなってる。前向きになれただけでも良いと、半信半疑で机に帳面を置いた。
 
 夏休み初日、僕は家族全員を失ったんだ。

・・・・・・

「みこと!起きなさい!」

1階のキッチンからお母さんの声がする。

「夏休みだからって、朝寝坊するんじゃないわよ。お母さん達、出かけてくるからちゃんと起きなさいね!わかった~?」

「まぁまぁ、のり子さんせっかく夏休み初日なんだ今日くらいは良いじゃないか。多目に見てあげてちょうだいな。」

 お爺ちゃんの声もする。僕はお爺ちゃんっ子で昔からお爺ちゃん大好きだった。この日もお爺ちゃんは寝坊して怒られそうになった僕を庇ってくれた。

「もぅ~、お爺ちゃんは みこと にすっごく甘いんだから。」

 と言うお母さんもお爺ちゃんが僕を庇うのをわかっていて怒る。お爺ちゃんが居なくて庇ってもらえないときはそんなに怒らないからお母さんも結構甘いんだと思う。お父さん?お父さんは基本的に何も言わないけど怒ると怖い。

 この夏休みの初日、この後にある家族旅行の為にお父さんの車で買い物に行った3人は信号待ちの列で後ろから大型トラックに突っ込まれて帰って来なかった。警察からかかってきた電話で事態を知った僕は幼馴染みの親に助けてもらって病院に行き、その後はあまり覚えていない。

 親しい親戚は居ない。家族4人が総てだったから、葬儀や各種の手続きには学校の先生や幼なじみの親が手伝ってくれた。不幸中の幸いなのは僕がもう高校生であり、家も持ち家だったため直ぐに生活が成り立たないという事態は免れた。
 2週間という短時間でここまで落ち着けたのは両親がいざという時の為にちゃんと僕が大人になるくらいまでの貯金やおじいちゃんは遺言をすでに書いていたなどの背景を整えていてくれたからだ。

 ちょっと(どころじゃないかもしれないけど)
頼りない僕だけどその反面、前向きに考えられるのが良い所だとお爺ちゃんは言っていた。なら、こんなチャンスもう2度とないだろうから信じてみちゃおうかな!

 













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