夢は果てしなく

白いモフモフ

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選定試験

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 「7番」と呼ばれた僕が1人だけ迎えの人に連れられて別の場所に向かう途中で話を聞いた。
 今までいたのは離宮の入り口でこれから向かうのは後宮の手前の離宮だという。……離れている建物を離宮とよぶのでは?と聞くと、大事な役目のある建物には名前がつけられていて、それ以外の建物を離宮と呼ぶ事もあるらしい。とにかく上の位の人がそう言えばそうなんだって。
 後宮では今までの身分に関係なく実力だけが大事で、その実力の中でも王様の寵愛を受けるのが一番だそうだ。
 それから位はとても重要視されていて上から、先王の后.先王の妃.現王の后.現王の妃.現王の姫と現王の姫宮.現王の推薦者。その下に女官が位置するらしい。因みに現王の姫とは、推薦者が御手付きになって妃に上がる前の人の事。姫宮は現王の娘の事だ。(男の子は宮というらしい。)でも、女官でも役目的に偉い人はいてその人の言う事は妃でも聴かないといけない。そして性別に関わらず王に近い場所で仕える奥向きの働き手を女官というらしい。
 ……何処にでも規則というのはあるけど、ここの規則は慣れるまでは大変そうだ。ややこしい。

 ……本当に20人のうちに入れる訳はないと解ってるし、無事に王都まで連れてきてもらえたし、この何日かの宿代もご飯代も浮いてるから僕としてはいつ不合格になったとしても大満足だ。

「さぁ、この建物の中へどうぞ。入ったら案内に従い進んで下さい。」
 
 では、ご幸運を。と言われて別れた。
中に入ると大きな壁に机の上にある注意事項を読み、理解したら更に奥の部屋へと書かれてある。それを囲うように壁向きに机がずらりと並んでいた。今も何人か注意事項を読んでいるのでそれに倣う。

『注意事項
この次の試験に合格した後はその後不合格になっても最低7年の間、後宮から出ることは出来ない。尚、初めの年は親族を含め、外との接触を禁ずる。』

 この最初の一文に驚きはしたけど、僕にとっては何の不都合もない。どうせ親兄弟は居ないも同然…というか捨てられたし、ここで最低7年勤められるのならお給料も貯められそうだ!最高!
 他にも色々と細かく決められた事があるけど僕にとっては何の問題もない。
『上の位の人の言う事は絶対』……今までも当たり前だった。
『今までの身分で差別しない』……僕からのしてみれば有難いとしか言いようがない。
『仲間と協力して』……当たり前だよね?

 こんな感じで読み進め次の部屋に向かった。その先では食事を与えられ、明日の着替えを受けとると明日の朝まで自由に過ごして良いと言われて宿泊所に案内された。
 すごいよ!なんと一人部屋だし、シャワーもベッドも付いている。石鹸なんかも高級品だしタオルもフカフカ。ベッドも柔らかすぎず良い感じ。小さい窓からは外の様子も見れる。自由に歩いて良いと言われた庭は綺麗に整えられた広い庭園だ。もう日が落ちてしまうので散歩は明日の朝の楽しみにしてさっさと休む。……早く寝すぎてトイレに1回起きたけどね。トイレだけは部屋の外だったからちょっと怖かった。……だって広すぎだし。帰ってくるとき自分の部屋分からなくなるとも思ったからドアノブにハンカチ縛って正解だったよ。


 目を覚ましたのは4時半……日頃の癖は抜けないね。朝日はまだだけど眠気は無いので、夢に見た贅沢をする。朝シャワーだ!
 シャワーから出て来ると5時を回っている。朝ご飯は6時からなのでそれまで庭園の散歩に行った。
同じように早起きの何人かとすれ違う。皆優しそうな子ばかりで挨拶も気楽に出来た。食堂と教えられた建物の近くで6時になるのを待つ。同じような子とお喋りもして仲良くなった。ついでに皆と一緒にご飯を終えるともう次の試験にと言われ向かった。


 大きな講堂?のような真ん中に大きい舞台。うん……これからなんかのステージがあると言われても納得するよ。その上で係りの人が案内を繰り返し言っている。

「好きな色の布がかけられた椅子に座りなさい。暫くはその色別で纏まって過ごすことにもなりますから、気が合いそうな方々の方が良いですよ。」

 僕たちは皆纏まって白い布のかけられた椅子に座る。次々と食事を終えた子が入って来ては案内に従い椅子を選び始めた。椅子はそれぞれの色毎に20客づつ。色はもう何色あるのか分からない。だって此方の列だけで6色、反対側も同じかな?横の方も?なんて考えているうちに白の椅子はあと5客になった。この白色は最初に僕たちが座ったせいか大人しそうな子ばかりが揃った。反対にちょっと離れた場所の赤色はきつそうな人が多い。
 そう思っていると、ドキリとさせられるような声が聞こえた。

「なんともまぁ……この私がこのような場に……。」
「規則とはいえ……致し方ないでしょうが……。」

 赤色の方からの声だ。明らかに特権階級出身者が特別扱いされないのがおかしいと不満を持っているとわかる。……しかも、この声。
 恐る恐るそちらを見た。やっぱり……正妻の長男さんだ。
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