1 / 20
序
奇跡の子
しおりを挟む
葛城大兄御子は、岡の上の宮でせわしなく歩き回った。
多麻呂は、神経質なこの御子のことが恐ろしい。叱られたことはないが、体がこわばる。
ーさっさと、この飛ぶ鳥の飛鳥を出て、難波の新宮に戻ればいいのに
「まだか」
何度も何度も葛城は聞き直した。
産屋から泣き声が聞こえた。
葛城は多麻呂と顔を見合わせた。
「…生まれたか」
産婆が転がるようにやってきた。
「男児でございます!」
葛城は多麻呂を抱き上げた。
「でかした!でかしたぞ!多麻呂、そなたは誠に観音菩薩の生まれ変わりじゃ!」
しばらくして、産屋に詰めていた葛城の正妃の、倭女王が産湯にて体を清められた赤子を抱いて出てきた。
「なんとも、玉のように美しいではありませんか。宅子娘と背の君に似ておられる」
梅の花と称えられる倭女王はふにゃふにゃの赤子に、目を細めて見せた。
難波の宮にいる皇祖母尊に使者が立った。
赤子のために三人の乳母が用意されていた。最も身分が高いのは大伴氏である。
「おおとも。大友。大友王を、そなたらに預けるぞ」
大化四年のことであった。
多麻呂は、神経質なこの御子のことが恐ろしい。叱られたことはないが、体がこわばる。
ーさっさと、この飛ぶ鳥の飛鳥を出て、難波の新宮に戻ればいいのに
「まだか」
何度も何度も葛城は聞き直した。
産屋から泣き声が聞こえた。
葛城は多麻呂と顔を見合わせた。
「…生まれたか」
産婆が転がるようにやってきた。
「男児でございます!」
葛城は多麻呂を抱き上げた。
「でかした!でかしたぞ!多麻呂、そなたは誠に観音菩薩の生まれ変わりじゃ!」
しばらくして、産屋に詰めていた葛城の正妃の、倭女王が産湯にて体を清められた赤子を抱いて出てきた。
「なんとも、玉のように美しいではありませんか。宅子娘と背の君に似ておられる」
梅の花と称えられる倭女王はふにゃふにゃの赤子に、目を細めて見せた。
難波の宮にいる皇祖母尊に使者が立った。
赤子のために三人の乳母が用意されていた。最も身分が高いのは大伴氏である。
「おおとも。大友。大友王を、そなたらに預けるぞ」
大化四年のことであった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる