【完結】闇属性魔術師はピンクの夢を見る

アークレイ商会

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1. 闇属性魔術師のいけない夜

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 寝苦しい夜だった、寝返りを打てば古いけれどしっかりした造りのダブルベッドがきしむ。

 しかも、寝返りしようと半回転したところで何か柔らかなものに当たってそのまま動け無くなった
 寝ぼけながら手を伸ばすと甘い匂いが迫って来て息が出来ない命の危機に驚いて目を覚まし
 とっさに目の前にあったものを押し返して咳き込みながら必死に息を吸い込む

「ゲホゲホッ、夜中に何すんだよぉ!暗殺者ぁ」

「まぁ、器の小っちゃい男ね、それじゃあもてないわよ、寝顔が可愛いから軽く挨拶しただけじゃない」

「マウスツーマウスの人工呼吸じゃあるまいし、わざわざ相手の寝込みを襲って鼻を摘んて口を押さえ窒息させる意味が分からないよ」

「アナタを殺してしまいたいほど愛してるわ♡」

「あ~怖い、やめてくれ、思い切り鳥肌が立つし引く」

 僕に手をつかまれながら小首を傾げて無邪気に微笑む悪魔は、貴族学院の先輩で同僚講師のマルク伯爵令嬢のアンナ嬢
 学院生のときは対価さえ払えば下らない噂から難しい試験問題の予想まで何でも教えてくれる便利で都合の良い情報通の友人だった。

 ストーン男爵家は2代前に商売に成功して爵位を買って平民から成り上がった貴族だから上級貴族に知り合いやコネがほとんどなく
 貴族学院に苦労して手を回し、数少ないコネを使い裏金を払ってやっと1年契約の臨時講師に補欠採用になり
 張り切って職場に出勤して見れば、先輩講師として平然と座っていた謎の多い女性だ

 身分差が大きくこちらは話す事さえも遠慮しているのに、何故か彼女のほうから無駄によく絡んでくる
 目が大きく表情が豊かで長髪が標準的な令嬢の中で茶髪のショートボブという珍しい髪型をした
 合理的な考え方を持つ魅力的な毒舌家で経済通の我が儘な上級貴族の令嬢
 見かけは美人でスタイルやセンスも良くしっかりしているが、他人の言う事を全く聞かない性格

「アナタにお願いがあるのよ」

「また明日ゆっくり聞くから、今は眠らせて」

「人前では話せない事なの」

「犯罪はダメです、ハイおやすみなさいグ~」

「私と結婚してほしいのよ」

「はい?ではまずキスから」

 棚からぼたもち、豚に真珠、藪から棒だとよろこんで、彼女に抱きついたらグーパンチで殴られた、何故に!理不尽だ。

「親から気の進まない結婚を迫られているのシクシク、評判の悪い貴族の後添えにされない為に、わずか1年間の白い結婚をしたいだけなのよ、シクシク」

「貴族の寝言は寝てから言え、おやすみ」

「私は本気!家賃と食費も支払うわ、しかも前払いで1年で金貨12枚」

「週1回添い寝付きで、金貨24枚だ」

「添い寝、抱き枕なしの金貨18枚で半分の9枚を前払いで」

「ここは小さい家だけど一応は男爵家の別邸という扱いだから、事前に男爵の父と専属侍女のカトレアの承認と面接がいるけど大丈夫かい?」

「もちろん、白い結婚だから大丈V」(アリナミンVドリンクのCM?)
「お姉ちゃんに任せなさーい!」
(ご注文はうさぎですかのココアちゃん?決めポーズ付き)

「エエェッ!、それじゃ無茶苦茶でごじゃりまするがな~」
(エンタツ・アチャコの花菱アチャコ?)

(続く)
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