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2. エミリーの改革と出奔
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約20年にも及ぶ血の滲むような奮闘努力の甲斐もなく
「女はつらいよ~」
と何度も弱音を吐きながら、やっと魔女協会で頭角を現した寅屋?のエミリー
彼女は度重なる内部抗争による混乱で疲弊して崩壊寸前となっていた魔女協会期待の星として、幹部会に迎え入れられた
そして、その後は巧みに情報操作を行いながら悪辣な手段を次々と用い、最後には自らの私兵で、暴力的なことで知られる突撃隊による威嚇で新会長にまで登り詰める。
エミリーは、会長に就任すると直ちに大量の反対派幹部を情け容赦もなくバッサリと粛清して見せ、その恐怖政治によって幹部会と魔女協会全体を完全に掌握、これにより手にした絶大な権力を背景に喜々として急進的な改革を進めた
でも、血で血を洗うような過酷な20年の我が闘争の日々はエミリーを大きく変えてしまっていたのです、ハイル!エミリー\(^o^)/。
貴族や王族は長年に渡る魔力血統重視の婚姻を繰り返した結果、大きな魔力と優れた才能に恵まれた者が多く、魔女の大部分は貴族やその傘下の人間で、特に優秀な魔女ほど貴族の血が濃かった
その為、魔女協会は表向きは実力主義をうたいながらも、実態は貴族的な文化に染まっていて、縁故や伝手、階級などといった貴族社会特有の悪癖がはびこり
昔ながらの派閥による根回しや裏取引、清濁併せ呑むような複雑な腹芸や政治手腕と裏で大物の顔がものをいう不透明で問題の多い組織。
でも、皮肉なことに変わってしまったエミリーよる苛烈な独裁は、長寿者が多く凝り固まった魔女たちの考えを解きほぐすきっかけになるのでした
また、エミリーの選んだ部下達はあまりにも優秀で、エミリーが純粋に自派勢力拡大のためだけに改革開放を旗印に掲げましたが、その実施段階で部下たちの絶妙な調整や適切な変更が入り、意図せず停滞した魔女協会を活性化させる。
これによりエミリーは魔女協会中興の祖と呼ばれて、その功績をたたえられて
いつの間にか「エミリー総統閣下!」と呼ばれるようになり、神がかった別格の存在に祭り上げられてしまう。
それでも、エミリーが最も嫌い改革するつもりだった、詐欺的な魔女への勧誘は慢性的な魔女不足によって一向に改められず
さらに巧妙で悪質になって強引さを増し、勧誘年齢の上下幅の拡大という非常手段までとられた。
元々エミリーが魔女協会で注目を集め頭角を現したのは、皮肉なことにその手段を選ばない弟子の勧誘によって多くの優れた魔女を輩出して見せ、自派閥を急速に拡大したからです
それは、タブー視されていた幼い子供たちや、伸びしろがないとされた成人の勧誘、さらに男性や心身に欠陥やなんらかの異常を持った者まで魔女として育成して成果を上げ、その波及効果は目を見張る物があった。
ミイラ取りがミイラになるように、エミリーが協会を支配して改革を主導するという当初の目標は見事に達成しましたが
時がたつに連れ次第にただ独裁を強めるためだけに、改革と称して他の派閥を圧迫する権力闘争に変わって行った
そして、エミリーもまた強引に魔女を勧誘する既存体制側の責任者として、自分が育てた若手魔女達から批判されるようになる。
これを知ったエミリーは、有力な弟子達に相談して、いち早く体調不良による会長職引退を表明し、あとは幹部会の合議制として無責任にも逐電してしまう
その頃には、弟子契約書の拘束期間はとっくに過ぎており、この唐突な辞任劇を止める規則は何もなかった。
それでもエミリーを諸悪の根源と決めつける過激派若手魔女たちは、徹底的な責任追及のために強力な捜索隊を何回も派遣したが、行方はようとして知れないままでした
しばらくして、魔女協会上層部ではエミリーが他国で行き倒れて野垂れ死んだという噂が密かに囁かれはじめた。
その頃、ダンジョンの深層攻略で有名な冒険者パーティに新たに加わった、凄腕のフーテンのエミリオという新人魔法使いがいる。
彼は酔うと自分の真名はカツシカ・シバマタ・タイシャクテンだと名乗り、実は某東国の流浪の王子だと自慢してくだを巻いたが
その割に軽薄で下品で惚れっぽいうえに、妙に説教くさく涙もろい庶民的なオヤジ性格でした。
普段から目深にフードをかぶり、四角い顔に糸のように細い目を描いた妖怪の仮面をつけ
茶色い腹巻きをしたゴツい体にセンスのない派手で野暮ったい同じ服を着回し、上着には袖を通さずそのまま肩に引っ掛けるスタイルを好み
昔の香具師の啖呵売のような出鱈目で調子の良い口上を得意としていた。
「結構毛だらけ猫灰だらけ、お尻の周りはクソだらけ。たいしたもんだよカエルの小便、見上げたもんだよ屋根屋のふんどし」
そんな、風変わりだが優秀な魔法使いが見出されて活躍し始めたという。
因みに学がない彼の口癖は
「奮闘努力の甲斐もなく、今日も涙の日が落ちる~♪。」
一方、魔女協会ではエミリーが残した優秀な弟子達により更に改革開放が押し進められていく
有力な幹部の推薦で決められ、ほぼ永久だった幹部会会員は任期6年の公選制に強引に変えられ、3年に1回半数を改選する
会長も任期4年で再選なしの幹部会による多数決制になり、定年制も取り入れられて
齢150を超す得体の知れない古株魔女共は永年勤続表彰を受け、健康長寿の魔法のかかった金ピカ勲章を授かって去り、風通しがよくなった。
しかし、魔女協会によるアイドルを起用した「白魔女」や「ゴールデン魔女」「レインボー魔女」「AKB魔女」「魔女っ娘」「コスプレ魔女」などという必死のイメージ戦略にも関わらず
相変わらず肝心の優秀な若手魔女はサッパリ育たず、さらなる少子高齢化により魔女達の悩みは尽きることがなかったという。(了)
「女はつらいよ~」
と何度も弱音を吐きながら、やっと魔女協会で頭角を現した寅屋?のエミリー
彼女は度重なる内部抗争による混乱で疲弊して崩壊寸前となっていた魔女協会期待の星として、幹部会に迎え入れられた
そして、その後は巧みに情報操作を行いながら悪辣な手段を次々と用い、最後には自らの私兵で、暴力的なことで知られる突撃隊による威嚇で新会長にまで登り詰める。
エミリーは、会長に就任すると直ちに大量の反対派幹部を情け容赦もなくバッサリと粛清して見せ、その恐怖政治によって幹部会と魔女協会全体を完全に掌握、これにより手にした絶大な権力を背景に喜々として急進的な改革を進めた
でも、血で血を洗うような過酷な20年の我が闘争の日々はエミリーを大きく変えてしまっていたのです、ハイル!エミリー\(^o^)/。
貴族や王族は長年に渡る魔力血統重視の婚姻を繰り返した結果、大きな魔力と優れた才能に恵まれた者が多く、魔女の大部分は貴族やその傘下の人間で、特に優秀な魔女ほど貴族の血が濃かった
その為、魔女協会は表向きは実力主義をうたいながらも、実態は貴族的な文化に染まっていて、縁故や伝手、階級などといった貴族社会特有の悪癖がはびこり
昔ながらの派閥による根回しや裏取引、清濁併せ呑むような複雑な腹芸や政治手腕と裏で大物の顔がものをいう不透明で問題の多い組織。
でも、皮肉なことに変わってしまったエミリーよる苛烈な独裁は、長寿者が多く凝り固まった魔女たちの考えを解きほぐすきっかけになるのでした
また、エミリーの選んだ部下達はあまりにも優秀で、エミリーが純粋に自派勢力拡大のためだけに改革開放を旗印に掲げましたが、その実施段階で部下たちの絶妙な調整や適切な変更が入り、意図せず停滞した魔女協会を活性化させる。
これによりエミリーは魔女協会中興の祖と呼ばれて、その功績をたたえられて
いつの間にか「エミリー総統閣下!」と呼ばれるようになり、神がかった別格の存在に祭り上げられてしまう。
それでも、エミリーが最も嫌い改革するつもりだった、詐欺的な魔女への勧誘は慢性的な魔女不足によって一向に改められず
さらに巧妙で悪質になって強引さを増し、勧誘年齢の上下幅の拡大という非常手段までとられた。
元々エミリーが魔女協会で注目を集め頭角を現したのは、皮肉なことにその手段を選ばない弟子の勧誘によって多くの優れた魔女を輩出して見せ、自派閥を急速に拡大したからです
それは、タブー視されていた幼い子供たちや、伸びしろがないとされた成人の勧誘、さらに男性や心身に欠陥やなんらかの異常を持った者まで魔女として育成して成果を上げ、その波及効果は目を見張る物があった。
ミイラ取りがミイラになるように、エミリーが協会を支配して改革を主導するという当初の目標は見事に達成しましたが
時がたつに連れ次第にただ独裁を強めるためだけに、改革と称して他の派閥を圧迫する権力闘争に変わって行った
そして、エミリーもまた強引に魔女を勧誘する既存体制側の責任者として、自分が育てた若手魔女達から批判されるようになる。
これを知ったエミリーは、有力な弟子達に相談して、いち早く体調不良による会長職引退を表明し、あとは幹部会の合議制として無責任にも逐電してしまう
その頃には、弟子契約書の拘束期間はとっくに過ぎており、この唐突な辞任劇を止める規則は何もなかった。
それでもエミリーを諸悪の根源と決めつける過激派若手魔女たちは、徹底的な責任追及のために強力な捜索隊を何回も派遣したが、行方はようとして知れないままでした
しばらくして、魔女協会上層部ではエミリーが他国で行き倒れて野垂れ死んだという噂が密かに囁かれはじめた。
その頃、ダンジョンの深層攻略で有名な冒険者パーティに新たに加わった、凄腕のフーテンのエミリオという新人魔法使いがいる。
彼は酔うと自分の真名はカツシカ・シバマタ・タイシャクテンだと名乗り、実は某東国の流浪の王子だと自慢してくだを巻いたが
その割に軽薄で下品で惚れっぽいうえに、妙に説教くさく涙もろい庶民的なオヤジ性格でした。
普段から目深にフードをかぶり、四角い顔に糸のように細い目を描いた妖怪の仮面をつけ
茶色い腹巻きをしたゴツい体にセンスのない派手で野暮ったい同じ服を着回し、上着には袖を通さずそのまま肩に引っ掛けるスタイルを好み
昔の香具師の啖呵売のような出鱈目で調子の良い口上を得意としていた。
「結構毛だらけ猫灰だらけ、お尻の周りはクソだらけ。たいしたもんだよカエルの小便、見上げたもんだよ屋根屋のふんどし」
そんな、風変わりだが優秀な魔法使いが見出されて活躍し始めたという。
因みに学がない彼の口癖は
「奮闘努力の甲斐もなく、今日も涙の日が落ちる~♪。」
一方、魔女協会ではエミリーが残した優秀な弟子達により更に改革開放が押し進められていく
有力な幹部の推薦で決められ、ほぼ永久だった幹部会会員は任期6年の公選制に強引に変えられ、3年に1回半数を改選する
会長も任期4年で再選なしの幹部会による多数決制になり、定年制も取り入れられて
齢150を超す得体の知れない古株魔女共は永年勤続表彰を受け、健康長寿の魔法のかかった金ピカ勲章を授かって去り、風通しがよくなった。
しかし、魔女協会によるアイドルを起用した「白魔女」や「ゴールデン魔女」「レインボー魔女」「AKB魔女」「魔女っ娘」「コスプレ魔女」などという必死のイメージ戦略にも関わらず
相変わらず肝心の優秀な若手魔女はサッパリ育たず、さらなる少子高齢化により魔女達の悩みは尽きることがなかったという。(了)
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※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
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