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軍の訓練
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宰相との約束がなくなったミアは自分の部屋に戻ろうとしていた。
その途中で剣の音が聞こえてきた。
横を見ると軍部兵達の訓練がミアの目に入ってきた。
「今日はここで訓練しているのね。」
防衛の要となる兵の育成、アンロックは厳しい訓練ではあるが、実力主義の兵は平民達からも人気の職業だ。
力があれば、貴族より高い地位に上がることができる。
今の軍部大将がその象徴だった。
平民出身ではあるが、軍部トップとなり、 貴族でも彼より位の高いものはそれほどいない。
平民では考えられないありえない大出世。
平民達の希望の星と崇められていた。
貴族も実力主義に反する精神を持つものは罰せられるため、皆平民と混ざり、日々鍛錬をしていた。
軍部大将は兵達への指導も自ら行う。
この国トップの実力を持つ彼から指導を受けられるのは優秀な兵のみであり、彼と打ち合いできることは兵達にとって念願であった。
軍部大将がミアを見つけると兵達に声をかけ、ミアに近づいてきた。
「久しぶりだな。ここの生活にも慣れたか?」
軍部大将は鬼のような顔でニコリともせずミアに聞いた。
「はい、毎日覚えることも多いですが、日々充実しています。」
ミアは笑顔で答えた。
「それは良かった。少し話はできるか?」
「大丈夫です、宰相様とお会いする約束がなくなってしまったので今から帰るところでした。お忙しそうです。」
「あぁ、今レンドランド王太子の王位継承の引き継ぎと儀式準備で追われているみたいだな。」
軍部大将は鬼の形相でククッと笑った。
知らないものがみたら倒れるのでないかと思うくらい怖い形相だ。
命令できるのならば、笑うなと言いたい人はどのくらいいるだろう。
「何がおかしいのです?」
ミアは首を傾げて聞いた。
「あいつ、ミアに会うために必死だっただろう。俺と先に会っているなんて知ったらと思うとな。後でからかいに行くか。」
軍部大将と宰相は水と油、仲がものすごく悪いと評判だ。
いつも喧嘩をし合っている2人だが、実は仲が良いのだ。
仲よすぎて遠慮がない。
国の宰相と軍部大将のマジ喧嘩など恐ろしくて誰も見たくないにも関わらず、結構な頻度でぶつかり合う。
周りもいつものことと慣れれば良いのにあまりの剣幕と殺気にやられている。
「そんなことばかりせず、2人で仲良くしてください。それだけで周囲の者の心労が減りますよ。」
ミアは呆れながら言った。
「もう20年以上この状態なのに今更にこやかに談話でもしろと?考えただけでも気持ち悪いだろう。」
ミアも考えてみた。
冷静沈着、冷たい視線で人を殺せるのではと囁かれる宰相と鬼の形相で睨むだけで相手を瞬殺できる軍部大将が2人でニコニコと談笑‥
この世の終わりが来そうだ。
「うん、そのままで良いと思います。」
ミアは素直に答えた。
その途中で剣の音が聞こえてきた。
横を見ると軍部兵達の訓練がミアの目に入ってきた。
「今日はここで訓練しているのね。」
防衛の要となる兵の育成、アンロックは厳しい訓練ではあるが、実力主義の兵は平民達からも人気の職業だ。
力があれば、貴族より高い地位に上がることができる。
今の軍部大将がその象徴だった。
平民出身ではあるが、軍部トップとなり、 貴族でも彼より位の高いものはそれほどいない。
平民では考えられないありえない大出世。
平民達の希望の星と崇められていた。
貴族も実力主義に反する精神を持つものは罰せられるため、皆平民と混ざり、日々鍛錬をしていた。
軍部大将は兵達への指導も自ら行う。
この国トップの実力を持つ彼から指導を受けられるのは優秀な兵のみであり、彼と打ち合いできることは兵達にとって念願であった。
軍部大将がミアを見つけると兵達に声をかけ、ミアに近づいてきた。
「久しぶりだな。ここの生活にも慣れたか?」
軍部大将は鬼のような顔でニコリともせずミアに聞いた。
「はい、毎日覚えることも多いですが、日々充実しています。」
ミアは笑顔で答えた。
「それは良かった。少し話はできるか?」
「大丈夫です、宰相様とお会いする約束がなくなってしまったので今から帰るところでした。お忙しそうです。」
「あぁ、今レンドランド王太子の王位継承の引き継ぎと儀式準備で追われているみたいだな。」
軍部大将は鬼の形相でククッと笑った。
知らないものがみたら倒れるのでないかと思うくらい怖い形相だ。
命令できるのならば、笑うなと言いたい人はどのくらいいるだろう。
「何がおかしいのです?」
ミアは首を傾げて聞いた。
「あいつ、ミアに会うために必死だっただろう。俺と先に会っているなんて知ったらと思うとな。後でからかいに行くか。」
軍部大将と宰相は水と油、仲がものすごく悪いと評判だ。
いつも喧嘩をし合っている2人だが、実は仲が良いのだ。
仲よすぎて遠慮がない。
国の宰相と軍部大将のマジ喧嘩など恐ろしくて誰も見たくないにも関わらず、結構な頻度でぶつかり合う。
周りもいつものことと慣れれば良いのにあまりの剣幕と殺気にやられている。
「そんなことばかりせず、2人で仲良くしてください。それだけで周囲の者の心労が減りますよ。」
ミアは呆れながら言った。
「もう20年以上この状態なのに今更にこやかに談話でもしろと?考えただけでも気持ち悪いだろう。」
ミアも考えてみた。
冷静沈着、冷たい視線で人を殺せるのではと囁かれる宰相と鬼の形相で睨むだけで相手を瞬殺できる軍部大将が2人でニコニコと談笑‥
この世の終わりが来そうだ。
「うん、そのままで良いと思います。」
ミアは素直に答えた。
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