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20アルフード視点
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待ちに待った8歳のお茶会。これで4回目となる。
アメリアと会える日。
今日は来てくれるのか、それともまた来ないつもりなのか。
どちらでもいい。来なくても会いに行く。
早く会いたい。このお茶会がなければ何も始まらない。
「すごく嬉しそうね。お茶会がそんなに楽しみなの?」
一緒にお茶会の場に向かっている母上が聞いてくる。
「はい、このお茶会で運命の出会いが待っているかもしれません。」
アメリアに早く会いたい。
今回のアメリアはどんなに可愛らしい事をしてくれるのかと思ったら会場までの距離すら待ちきれない。
「あなたが運命という言葉を使うなんてね。私もあなたの未来のお嫁さんに会うのは楽しみよ。」
アメリアと結婚するのは運命だ。
たとえ違う道に進みそうになっても必ず私が元に戻す。
お茶会の会場では数人の婚約者候補の令嬢達が待っていた。
アメリアがいる。
そう思って嬉しくなったのは一瞬だった。
アメリアの表情がない。人形のようにジッと座っているだけなのが見えた。
彼女は表情豊かで笑った顔が一番可愛い。
それなのにどうして?
彼女の瞳には何も映っていない。
ただの存在しているという言葉がぴったりだった。
周りの者たちは気づいていないだろう。
ただ緊張しているだけと思っている。
だけど、何年もアメリアを見続けてきた私にはわかる。
どうしてだ?何か間違った?
「アルフード、挨拶をしなさい。」
母に声をかけられるまで私は固まっていた。
「…はい。今日はご令嬢達との交流を深めたいと思っています。楽しんでくださいね。」
そう、声に出すのが精一杯だった。
笑顔を作ろうとするが、うまくできない。
皆、私の方を見てくれているが、アメリアだけは真っ直ぐに前を見たまま、視線を向ける事もなかったのだから。
アメリアのところに行く前に心を落ち着けよう。きっと気のせいだ。
私が話しかけたらいつものアメリアに戻ってくれる。そうに違いない。
そう言い聞かせながらも不安が拭い去れない。
順番に令嬢と適当な話をしているが、全く話の内容が入ってこない。
アメリアの番になった。
「アメリア嬢、よろしくお願いします。」
できるだけにこやかに対応した。
アメリアは私の笑顔が好きだといってくれていた。
その笑顔を向ければ、アメリアだって返してくれるはずだ。
「アルフード殿下、よろしくお願い致します。」
アメリアは全く表情を変えず、視線すらあわない。
「アメリア嬢…体調が悪いのですか?」
声が震えているのが自分でもわかる。
何でもいい。私の方を向いてくれ。
そんな心の声はアメリアには届かず、視線を合わせることはなかった。
「いいえ。殿下のお気遣いに感謝いたします。」
綺麗に頭を下げるアメリア。
他人行儀なうわべだけの言葉…
誰だ、これは。
こんなのはアメリアじゃない。
どうしてだ?
その後の事はよく覚えていない。
お茶会が終わるのと同時に私は魔女のところに向かった。
アメリアと会える日。
今日は来てくれるのか、それともまた来ないつもりなのか。
どちらでもいい。来なくても会いに行く。
早く会いたい。このお茶会がなければ何も始まらない。
「すごく嬉しそうね。お茶会がそんなに楽しみなの?」
一緒にお茶会の場に向かっている母上が聞いてくる。
「はい、このお茶会で運命の出会いが待っているかもしれません。」
アメリアに早く会いたい。
今回のアメリアはどんなに可愛らしい事をしてくれるのかと思ったら会場までの距離すら待ちきれない。
「あなたが運命という言葉を使うなんてね。私もあなたの未来のお嫁さんに会うのは楽しみよ。」
アメリアと結婚するのは運命だ。
たとえ違う道に進みそうになっても必ず私が元に戻す。
お茶会の会場では数人の婚約者候補の令嬢達が待っていた。
アメリアがいる。
そう思って嬉しくなったのは一瞬だった。
アメリアの表情がない。人形のようにジッと座っているだけなのが見えた。
彼女は表情豊かで笑った顔が一番可愛い。
それなのにどうして?
彼女の瞳には何も映っていない。
ただの存在しているという言葉がぴったりだった。
周りの者たちは気づいていないだろう。
ただ緊張しているだけと思っている。
だけど、何年もアメリアを見続けてきた私にはわかる。
どうしてだ?何か間違った?
「アルフード、挨拶をしなさい。」
母に声をかけられるまで私は固まっていた。
「…はい。今日はご令嬢達との交流を深めたいと思っています。楽しんでくださいね。」
そう、声に出すのが精一杯だった。
笑顔を作ろうとするが、うまくできない。
皆、私の方を見てくれているが、アメリアだけは真っ直ぐに前を見たまま、視線を向ける事もなかったのだから。
アメリアのところに行く前に心を落ち着けよう。きっと気のせいだ。
私が話しかけたらいつものアメリアに戻ってくれる。そうに違いない。
そう言い聞かせながらも不安が拭い去れない。
順番に令嬢と適当な話をしているが、全く話の内容が入ってこない。
アメリアの番になった。
「アメリア嬢、よろしくお願いします。」
できるだけにこやかに対応した。
アメリアは私の笑顔が好きだといってくれていた。
その笑顔を向ければ、アメリアだって返してくれるはずだ。
「アルフード殿下、よろしくお願い致します。」
アメリアは全く表情を変えず、視線すらあわない。
「アメリア嬢…体調が悪いのですか?」
声が震えているのが自分でもわかる。
何でもいい。私の方を向いてくれ。
そんな心の声はアメリアには届かず、視線を合わせることはなかった。
「いいえ。殿下のお気遣いに感謝いたします。」
綺麗に頭を下げるアメリア。
他人行儀なうわべだけの言葉…
誰だ、これは。
こんなのはアメリアじゃない。
どうしてだ?
その後の事はよく覚えていない。
お茶会が終わるのと同時に私は魔女のところに向かった。
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