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第2章
ヴォルティスの怒り(ヴォルティス視点)
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今日からまたかわいい子に会える。
ヴォルティスはとても上機嫌だった。
自分の役割だとわかっているが、3日間もかわいい子に会えなくなるため苦痛だ。
今まで永遠の時の中3日など、苦痛だなんて思った事もなかったのに‥
どれだけかわいい子に飢えているのか。
たった3日会えないだけでこんなに胸が苦しくなるなんて。
そんな自分に笑いが出る。
半年後、かわいい子が私の聖女となれば、ずっとそばにいられるようになる。
神殿の中に専用の部屋を用意させて一緒に住もうか。
庭の保護だけで喜ぶのだ。神が住むとなれば、喜んで用意するだろう。
かわいい子は命の泉を見たいと言っていたし、ここに連れてきてもいい。
私の力を持つ聖女だ、誰にも文句は言わせない。
かわいい子の映像を見ながら今後のことを考えていた。
明日が来るのがこんなに楽しく感じたのはいつぶりだろう。
「ッ!」
胸元に痛みが走る。すぐにその原因がわかってしまう。
かわいい子に渡してある私の石が壊れたのだ。
胸騒ぎがする。
あの石には私の神力が込められている。
簡単に壊れるものではない。
すぐにかわいい子の元に行かねば‥
すぐに向かおうとすると目の前にマークバルダが立っていた。
マークバルダは眉間にシワを寄せ、表情をなくしている。いつもの力強く真っ直ぐな神気は全くない。
ヴォルティスは嫌な予感しかしない。
「そこを退け、マークバルダ。」
マークバルダは命令に従う気はないのか動く気配がない。
「ヴォルティス様、聖女候補の所には行けません‥闇落ちをしました。ヴォルティス様が巻き込まれるわけにはいきません。」
マークバルダの声が震えていた。
私のかわいい子が闇落ち?なぜだ?
数日前まであんなに元気に笑っていたぞ‥
「今すぐルーマを呼べ!かわいい子に付けていただろう。すぐに呼び戻せ!」
「‥御意。」
なぜだ?なぜ、そんなことになった?
マークバルダが嘘を言うとは思えない。
私の石も壊れた。
かわいい子が闇落ちしたのは事実だろう‥なぜだ‥
呼ばれた情報の女神ルーマは「申し訳ありません」と繰り返し、ガタガタと震えている。
「お前に罰を与えるために呼んだわけではない。何があったのか全て知っているな。見せろ。」
何があったのか早く知りたい。
「わかりました‥」
泣きながらルーマが映像を映し出した。
感情的になっているのだろう、ルーマの映し出す映像がブレている。
情報の女神として今まで悲惨なものも色々と見てきたはずだ。
ルーマがここまで動揺するとは‥私のかわいい子に何があった‥
映像を見た私とマークバルダはしばらく言葉を発することができなかった。
人は愚かな生き物だ。そんな事は前からわかっていた。
だが、一人の人を貶めるためにここまでする生き物なのか?
「何もできず申し訳ありません‥申し訳ありません。」
ルーマは泣き続けている。
何とか言葉を出す。
「‥お前が悪いのではない。お前は情報の女神、人の世を監視するのが役割だ。人のすることに口出しはできない‥」
そう、何があろうと人の行いを見て報告することしかできない。
それが彼女の役割なのだから。
「ヴォルティス様‥」マークバルダの気遣う声が聞こえる。
「‥独りにしてくれないか‥」
低い声が出る。もう誰とも話をしたくない。
マークバルダもルーマもそれ以上は何も言わず、頭を下げて出て行く。
人を甘く見ていた‥
今までだって散々裏切られてきたのに。
かわいい子と関わるようになり人は愚かなだけではなく、あたたかさや優しさもある事を知ってしまった。
かわいい子が聖女となり、私の穢れを浄化している限りはかわいい子とともに人々を見守っても良いと思っていた。
かわいい子から離れてはいけなかった。
人の愚かさを甘く見てはいけなかった。
闇落ちしてしまえば、もう取り返しはつかない。
もう二度と私の聖女にできない‥
「私のかわいい子をわざと闇落ちさせるなど許せるものではない。この償いは必ずさせる。」
私の神気が一気に爆発するのがわかった。
これが怒りという感情だろうか‥
人の愚かさに嘆く事があってもこんな風に強い感情を持つのは初めてだった。
生まれて初めて持つ強い感情、知りたくもなかった感情が人に向く。
命の泉が大きく揺れ、神々を動揺させた。
ヴォルティスはとても上機嫌だった。
自分の役割だとわかっているが、3日間もかわいい子に会えなくなるため苦痛だ。
今まで永遠の時の中3日など、苦痛だなんて思った事もなかったのに‥
どれだけかわいい子に飢えているのか。
たった3日会えないだけでこんなに胸が苦しくなるなんて。
そんな自分に笑いが出る。
半年後、かわいい子が私の聖女となれば、ずっとそばにいられるようになる。
神殿の中に専用の部屋を用意させて一緒に住もうか。
庭の保護だけで喜ぶのだ。神が住むとなれば、喜んで用意するだろう。
かわいい子は命の泉を見たいと言っていたし、ここに連れてきてもいい。
私の力を持つ聖女だ、誰にも文句は言わせない。
かわいい子の映像を見ながら今後のことを考えていた。
明日が来るのがこんなに楽しく感じたのはいつぶりだろう。
「ッ!」
胸元に痛みが走る。すぐにその原因がわかってしまう。
かわいい子に渡してある私の石が壊れたのだ。
胸騒ぎがする。
あの石には私の神力が込められている。
簡単に壊れるものではない。
すぐにかわいい子の元に行かねば‥
すぐに向かおうとすると目の前にマークバルダが立っていた。
マークバルダは眉間にシワを寄せ、表情をなくしている。いつもの力強く真っ直ぐな神気は全くない。
ヴォルティスは嫌な予感しかしない。
「そこを退け、マークバルダ。」
マークバルダは命令に従う気はないのか動く気配がない。
「ヴォルティス様、聖女候補の所には行けません‥闇落ちをしました。ヴォルティス様が巻き込まれるわけにはいきません。」
マークバルダの声が震えていた。
私のかわいい子が闇落ち?なぜだ?
数日前まであんなに元気に笑っていたぞ‥
「今すぐルーマを呼べ!かわいい子に付けていただろう。すぐに呼び戻せ!」
「‥御意。」
なぜだ?なぜ、そんなことになった?
マークバルダが嘘を言うとは思えない。
私の石も壊れた。
かわいい子が闇落ちしたのは事実だろう‥なぜだ‥
呼ばれた情報の女神ルーマは「申し訳ありません」と繰り返し、ガタガタと震えている。
「お前に罰を与えるために呼んだわけではない。何があったのか全て知っているな。見せろ。」
何があったのか早く知りたい。
「わかりました‥」
泣きながらルーマが映像を映し出した。
感情的になっているのだろう、ルーマの映し出す映像がブレている。
情報の女神として今まで悲惨なものも色々と見てきたはずだ。
ルーマがここまで動揺するとは‥私のかわいい子に何があった‥
映像を見た私とマークバルダはしばらく言葉を発することができなかった。
人は愚かな生き物だ。そんな事は前からわかっていた。
だが、一人の人を貶めるためにここまでする生き物なのか?
「何もできず申し訳ありません‥申し訳ありません。」
ルーマは泣き続けている。
何とか言葉を出す。
「‥お前が悪いのではない。お前は情報の女神、人の世を監視するのが役割だ。人のすることに口出しはできない‥」
そう、何があろうと人の行いを見て報告することしかできない。
それが彼女の役割なのだから。
「ヴォルティス様‥」マークバルダの気遣う声が聞こえる。
「‥独りにしてくれないか‥」
低い声が出る。もう誰とも話をしたくない。
マークバルダもルーマもそれ以上は何も言わず、頭を下げて出て行く。
人を甘く見ていた‥
今までだって散々裏切られてきたのに。
かわいい子と関わるようになり人は愚かなだけではなく、あたたかさや優しさもある事を知ってしまった。
かわいい子が聖女となり、私の穢れを浄化している限りはかわいい子とともに人々を見守っても良いと思っていた。
かわいい子から離れてはいけなかった。
人の愚かさを甘く見てはいけなかった。
闇落ちしてしまえば、もう取り返しはつかない。
もう二度と私の聖女にできない‥
「私のかわいい子をわざと闇落ちさせるなど許せるものではない。この償いは必ずさせる。」
私の神気が一気に爆発するのがわかった。
これが怒りという感情だろうか‥
人の愚かさに嘆く事があってもこんな風に強い感情を持つのは初めてだった。
生まれて初めて持つ強い感情、知りたくもなかった感情が人に向く。
命の泉が大きく揺れ、神々を動揺させた。
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