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第3章
創生主の出現(ヴォルティス視点)
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「お前もこの長い間で敬語と挨拶を学んだのか?お前にそんなものは求めていない。」
光り輝く人型の声はよく響いた。皆、言葉を発するものはなく、静まり返っている。
ヴォルティスは立ち上がり、その存在を見つめ言葉をだす。
「あなたこそ、認識できる姿で現れるなど初めて見ました。」
「ああ、姿はある方が何気に便利なのでな。こんな事もできるぞ。」
光が消え、足首近くまである銀色の髪、白色の服を着たヴォルティスに似た青年の姿となった。
「リーナのイメージから追ったものだからな、髪以外はお前に似ているな。」
ヴォルティスに似ているが、ケラケラ笑う姿は全く違う存在だとその場にいる者達は思った。
その返答に拳を握る。怒りを抑え、静かに聞く。
「‥リーナはあなたの元にいるのですか?」
「面白い娘だ。私にくれないか?お前と違ってずっとそばにいてくれるだろう。」
私の質問に答えることなく、まだ笑いながら話をしている。
穏やかな印象もあり、皆その姿と雰囲気に神々が油断していたようだ。
昔からそうだった。
私以上に神々への興味もない創生主は神々を相手にはしない。過去にもそれを許されていると愚かな判断をする神達もいた。
「創生主!それでは約束が違います。その聖女を獄石に入れるはずです!」
神が口を挟む。
創生主はその神をチラッと見た。その瞬間、大きな光にその神は飲み込まれそうになった。
その神の前にヴォルティスが瞬間移動して立ちはだかった為、その光にのまれることはなかったが、ヴォルティスは左腕を失い、全身から血が流して立っているのがやっとの状態となった。
痛みが込み上げてくる。
いきなり消しにかかるなんて昔から何も変わらない。私でなければ、消し炭すら残らないだろう。
「口を挟むな!死にたいのか?」
私に怒鳴られたその神はビクリと後ずさる。
「相変わらず、お前は甘い。この者を消したところで何の問題がある?私の話を遮って許されるほどの価値はあるのか?」
笑ったままだが、その目はとても冷たく神を見下ろしている。
「‥‥」
「お前が創ったのだから、消すのも簡単だろう?何故、身を呈してまで守る?見ているのも不愉快だ、その傷を癒すぞ。」
わたしの左手は再生され、傷がスゥと消えていく。それに伴い、痛みも消えた。
この方に与えられた傷を癒す事は誰にもできない。敵に回せば死があるのみだ。
「ありがとうございます。私が創りましたが、もう皆、自我があり生きています。私には消す権利などありません。」
この方の望む答えではない事はわかっている。
わかってはいるが、私の思いは変えられない。
「お前に敬語は求めていないと言ったが?」
創生主の低い声が響く。ヴォルティスを負傷させるほどの攻撃をみた神々は地が揺れるような圧がこもった声に恐怖を感じていた。
創生主は先ほど口を挟んだ神を見る。
「お前もこの甘い神に救われたな。お前が人を必要ないと思うように私はお前にそう思っている。」
神を消す事にためらいはないと言っている。睨まれた神はガタガタと震えていた。
うまれた時から一緒にいたため、ヴォルティスはその状況には慣れていた。
だが、答えを間違うと取り返しがつかない状況に追い込まれるのもわかっているため、慎重に言葉を選んでいく。
「‥わかった。あなたの望みなら昔の通りに話そう。」
「穢れにのまれそうになりながら、それでも人を滅ぼさずにいた理由はその甘さか?何度も滅ぼそうと思っていただろう?滅ぼせばそんなに苦しむ事はなかっただろうに。」
優しく私には微笑む。
人などさっさと滅ぼせと私にいうように。
「‥滅ぼして楽になりたいと思う事もあったが、人は生きている。裁きと名の元に人口増加の抑制を行う私が言える事ではないが‥できることなら見守りたい。」
創生主を見返す。
「お前が世界と繋がってなければ、裁きもしなかっただろう?死を望むのか?それとも世界と繋がりを消したいか?リーナをくれればお前の望みを1つ叶えてやろう。」
創生主はヴォルティスに聞いた。
とても低い冷たい声で‥
「‥リーナは私の聖女だ。どこにいる?」
私の声も低くなる。
創生主とヴォルティスの間には冷たい空気は通常の神々に耐えられない圧があった。
誰も近づくことができない。
「リーナをお前にやったのは私だ。意味はわかるな?リーナといるお前は本当に面白かったよ。そろそろ返してもらおうか。」
「‥リーナは返せない。」
「それをお前が私にいうのか?」
創生主はヴォルティスに聞く。
優しさなど全くこもっていない冷たい微笑みを浮かべながら。
そう、この方にした私の行いを考えれば、私の返答は間違っている。
孤独は私への罰なのだから‥
それでも、どれだけ自分勝手と言われようと、全てを失おうとリーナだけは譲れない。
光り輝く人型の声はよく響いた。皆、言葉を発するものはなく、静まり返っている。
ヴォルティスは立ち上がり、その存在を見つめ言葉をだす。
「あなたこそ、認識できる姿で現れるなど初めて見ました。」
「ああ、姿はある方が何気に便利なのでな。こんな事もできるぞ。」
光が消え、足首近くまである銀色の髪、白色の服を着たヴォルティスに似た青年の姿となった。
「リーナのイメージから追ったものだからな、髪以外はお前に似ているな。」
ヴォルティスに似ているが、ケラケラ笑う姿は全く違う存在だとその場にいる者達は思った。
その返答に拳を握る。怒りを抑え、静かに聞く。
「‥リーナはあなたの元にいるのですか?」
「面白い娘だ。私にくれないか?お前と違ってずっとそばにいてくれるだろう。」
私の質問に答えることなく、まだ笑いながら話をしている。
穏やかな印象もあり、皆その姿と雰囲気に神々が油断していたようだ。
昔からそうだった。
私以上に神々への興味もない創生主は神々を相手にはしない。過去にもそれを許されていると愚かな判断をする神達もいた。
「創生主!それでは約束が違います。その聖女を獄石に入れるはずです!」
神が口を挟む。
創生主はその神をチラッと見た。その瞬間、大きな光にその神は飲み込まれそうになった。
その神の前にヴォルティスが瞬間移動して立ちはだかった為、その光にのまれることはなかったが、ヴォルティスは左腕を失い、全身から血が流して立っているのがやっとの状態となった。
痛みが込み上げてくる。
いきなり消しにかかるなんて昔から何も変わらない。私でなければ、消し炭すら残らないだろう。
「口を挟むな!死にたいのか?」
私に怒鳴られたその神はビクリと後ずさる。
「相変わらず、お前は甘い。この者を消したところで何の問題がある?私の話を遮って許されるほどの価値はあるのか?」
笑ったままだが、その目はとても冷たく神を見下ろしている。
「‥‥」
「お前が創ったのだから、消すのも簡単だろう?何故、身を呈してまで守る?見ているのも不愉快だ、その傷を癒すぞ。」
わたしの左手は再生され、傷がスゥと消えていく。それに伴い、痛みも消えた。
この方に与えられた傷を癒す事は誰にもできない。敵に回せば死があるのみだ。
「ありがとうございます。私が創りましたが、もう皆、自我があり生きています。私には消す権利などありません。」
この方の望む答えではない事はわかっている。
わかってはいるが、私の思いは変えられない。
「お前に敬語は求めていないと言ったが?」
創生主の低い声が響く。ヴォルティスを負傷させるほどの攻撃をみた神々は地が揺れるような圧がこもった声に恐怖を感じていた。
創生主は先ほど口を挟んだ神を見る。
「お前もこの甘い神に救われたな。お前が人を必要ないと思うように私はお前にそう思っている。」
神を消す事にためらいはないと言っている。睨まれた神はガタガタと震えていた。
うまれた時から一緒にいたため、ヴォルティスはその状況には慣れていた。
だが、答えを間違うと取り返しがつかない状況に追い込まれるのもわかっているため、慎重に言葉を選んでいく。
「‥わかった。あなたの望みなら昔の通りに話そう。」
「穢れにのまれそうになりながら、それでも人を滅ぼさずにいた理由はその甘さか?何度も滅ぼそうと思っていただろう?滅ぼせばそんなに苦しむ事はなかっただろうに。」
優しく私には微笑む。
人などさっさと滅ぼせと私にいうように。
「‥滅ぼして楽になりたいと思う事もあったが、人は生きている。裁きと名の元に人口増加の抑制を行う私が言える事ではないが‥できることなら見守りたい。」
創生主を見返す。
「お前が世界と繋がってなければ、裁きもしなかっただろう?死を望むのか?それとも世界と繋がりを消したいか?リーナをくれればお前の望みを1つ叶えてやろう。」
創生主はヴォルティスに聞いた。
とても低い冷たい声で‥
「‥リーナは私の聖女だ。どこにいる?」
私の声も低くなる。
創生主とヴォルティスの間には冷たい空気は通常の神々に耐えられない圧があった。
誰も近づくことができない。
「リーナをお前にやったのは私だ。意味はわかるな?リーナといるお前は本当に面白かったよ。そろそろ返してもらおうか。」
「‥リーナは返せない。」
「それをお前が私にいうのか?」
創生主はヴォルティスに聞く。
優しさなど全くこもっていない冷たい微笑みを浮かべながら。
そう、この方にした私の行いを考えれば、私の返答は間違っている。
孤独は私への罰なのだから‥
それでも、どれだけ自分勝手と言われようと、全てを失おうとリーナだけは譲れない。
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