わがまま妃はもう止まらない

みやちゃん

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「ミア、今日はどうだった?」
クリストファーは夕食を共にとっているミルアージュに聞いた。

「楽しかったわ。こんなに楽しかったのは久しぶり。」
ミルアージュの声が弾んでいるのがわかり、クリストファーは苦笑いした。

やはり閉じ込めるのは無理だったか…

ずっと自分だけを見てほしい。
そう願っていたクリストファーの思いとは裏腹にミルアージュの目は生き生きしていた。

水を得た魚という言葉がぴったり合う今のミルアージュをみるのは好きだ。
これでこそ、ミアだ。

そういう相反する気持ちがクリストファーの中でずっとある。

自分の側で生き生きと笑ってくれるのが一番の希望だが…無理だろうとそれは諦めている。

「第三部隊はどうだった?」
クリストファーは話を変える。

「うーん、まだ部隊としては使えないけど、鍛えたら面白くなりそうね。」
明らかにミルアージュは上機嫌だ。

ミルアージュなら必ず興味を持つ事はわかっていた。
自分以外の者に興味を持つのは嫌だが、まだ部隊なら許せる気がして許可を出した。

本当なら自分がミルアージュともっと関わりたいのに、政務が多すぎる。
自分付けの補佐官が次から次へと仕事を詰め込むのだ。

その上、補佐官はミルアージュにすぐに訴えていくのだ。

手を抜けば、ミルアージュに筒抜けになり、しばらく口も聞いてもらえない。

ミルアージュの第一優先は民であり、政務の手を抜くなど考えられない事なのだから。

「ああ、最近できた隊だから仕方はないな。貴族の兵士による平民へのあたりが強すぎてな。意思疎通が難しくて別にすることになった。平民だけでは統制が難しい。貴族達も入っているが、皆実力があり、身分差別もしない者にした。」

ウンウンとミルアージュは頷いた。
確かに部隊で意思疎通がとれなければ命取りになりうるからだ。

「まとまりはないけど、みな将来有望ね。特にアルトという兵士。戦ってみたいわ。」

ウットリとミルアージュは思い出している。

チッと心の中で舌打ちをしながらクリストファーはワインを飲む。
ミルアージュならアルトに興味を持つ事も想定内だ。
なぜなら、あの部隊でアルトの強さはダントツだから。
それを見抜けないミルアージュではない事をクリストファーも知っている。

恋愛感情ではなく、純粋に剣の腕に惚れている。
わかっているが、他の男の事を考え、この表情をされるのは面白くない。

「今晩、いいか?」
久々にミルアージュとゆっくり過ごせるのだ。

少しだけでもミルアージュに自分を映してほしい。
自分の事だけをミルアージュに考えてほしいクリストファーはミルアージュとこの後も一緒に過ごしたい。

「もちろんよ。だけど、明日の予定はどうなっているのかしら?」
ニッコリと笑うミルアージュは全てお見通しのようだ。

こうなる事を想定していたミルアージュはクリストファーの補佐官に明日のスケジュールを確認していた。

クリストファーはミルアージュを抱き始めると朝までその行為をやめない。
ミルアージュが可愛すぎてやめられないのだと開き直る。
ミルアージュも何度も止めようとはするもののクリストファーの捨てられた子犬のような目で見つめられると何も言えなくなって結局は受け入れてしまう。

だから、重要な行事や政務の前の日にはしないでほしいと苦情がミルアージュの元に来ていた。


あの補佐官、さすがに許さん!
明日にでもどこかに飛ばしてやる。
メラメラと怒りを募らせるクリストファー。

「あーそうそう、あなたの補佐官は優秀よね。いつも助かっているわ。お礼を言っといてね。」

ミルアージュはまたニッコリとクリストファーに微笑む。

「ああ、わかった。言っておこう。」

クリストファーのこみ上げた怒りはシュルシュルと小さくなって消えた。
難癖つけてどこかに飛ばしたら口を聞いてもらえない所の騒ぎではなくなるからだ。

クリストファーの自業自得といえばそうなのだが…また子犬のような目でミルアージュを見つめる。

この目には弱いのよ。
ミルアージュはため息をつく。

ミルアージュもこんなクリストファーにはめっぽう弱いのだった。

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