わがまま妃はもう止まらない

みやちゃん

文字の大きさ
6 / 252

6

しおりを挟む
「ミルアージュ様に軍の指揮は無理です!」
隊長は声が大きくなる。

クリストファーの冷たい視線が隊長に向く。
「それは誰の判断だ?」

「それは…」
誰と言わなくても皆が思っているだろう。

「ミアはルーマンの誰より軍の動かし方を知っているし、経験値や実践力も高い。お前達の未熟な隊を任せるのが申し訳ないくらいだ。」

隊長、副隊長達はゴクリと唾をのんだ。

クリストファーの顔を見れば、本気でそう言っているのがわかる。

「それは…」
そんなありえない事をなぜ言うのか。

ミルアージュ様にベタ惚れだと噂通りで真実すら見えないのか。

そんな隊長達の様子を見たクリストファーは、はぁとため息をついた。

「お前達は本当に見る目がないな。アルトお前はどう思う?」

王太子に直接話しかけられたアルトは目を大きく見開いた。

「俺…私ですか?」
隊長を飛ばし、平民の副隊長に話を振るなんて想像もしていなかった。

「そうだ、ミアはお前を気に入っていた。お前と勝負してみたいと言ってな。」

「ミルアージュ様と勝負ですか?なぜ?」

「ミアは強い者が好きだ。第三部隊で一番の実力者としてお前を認識していた。」

ギロリとアルトはクリストファーに睨まれる。
アルトとしてはなぜこんな雲の上の人に認知されて、睨まれなければならないかと思ってしまうが、自分の妃の興味がアルトにあるのが面白くないのだとわかってしまい、何とも言えなかった。

どう言ってもクリストファーが余計に不機嫌にしてしまうのを直感的に感じていた。

「ミアと勝負してみるか?」

「はっ?無理ですよ。」
もし、ミルアージュ様に怪我でもさせたら。
勝ってしまい不興を買ってしまったら。
そう見えないようにわざとに負けるなどそんな器用な真似は自分にできそうにない。

「お前が心配しているような事は起きないから安心しろ。ちなみに私は勝てない。」

みんなの冷たい視線がクリストファーに向く。
この国最強と言われるクリストファー様が勝てないなど、どれだけ手を抜くのだと。

ミルアージュ様が剣を扱える事はわかったが、クリストファー様に勝つなどありえないだろう。

どれだけ自分の妃に甘いのだ、この方は。
この国の将来は大丈夫かと思ってしまう雰囲気だった。

「お前達な、もう少し相手に悟られないようにしろ。感情がダダ漏れだ。敵国にそんな風に感情を出して臨むのか?」

クリストファーはこのメンバーのレベルの低さに苛立ちすら感じている。

ミアを理解できない奴らをミアに任せるのか?
クリストファーは自分がついていけないのに一番苛立ちを感じていた。
ミアを守るのは自分の役目のはずなのに。
自分がついていけば、もう二度と口を聞いてもらえないからしないけども。

「明日、ミアとアルトの対面試合を行う。時間と場所はまた後で伝える。その勝負にアルトが勝ったらお前達の話を聞こう。」

クリストファーは隊長達と話すのもめんどくさくなり、話をぶった切った。

ミアがアルトに負けるはずなのないのだから、もう話す事はないが。

ミアは大人しく宮殿の奥深くで私だけを構ってくれればいいと常々思っている。
だが、ミアの良さをこんな風に否定されるのは腹が立つ。
誰よりも素晴らしい女性であり、最高の私の妃だ。

自分だけが分かれば良いと思う気持ちと自慢したい気持ちがぶつかる。

隊長達を追い出した部屋でクリストファーはクスリと笑う。

「私はミアをどうしたいのだろうな。」

何に対しても迷う事などなく即決のクリストファーだが、ミルアージュに関してはどうしたいのか全くわからないのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

七日後に神罰が落ちる。上層部は「下を切り捨てろ」と言った——私は全員を逃がす

蒼月よる
ファンタジー
七日後、この港に神罰が落ちる。 追放された元観測士イオナだけが、その事実を知っていた。 しかも災害は自然現象ではない——誰かが、意図的に引き起こそうとしている。 港の上層部はすでに手を打っていた。「下層区画を緩衝被害区として切り捨てる」秘密契約。被害を最小限に見せかけ、体制を守る冷徹な計画だ。 イオナは元護送隊長ガルム、荷運び組合長メラとともに動き出す。 犯人を暴き、証拠を公開し、住民を逃がし、工廠を止める——すべてを七日で。 被害を「選ぶ」管理か、全員を「残す」運用か。 追放観測士の、七日間の港湾カウントダウン・サスペンス。 この作品は以下の箇所にAI(Claude Code)を利用しています。 ・世界観・設定の管理補助 ・プロット段階の壁打ち ・作者による執筆後の校正

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

婚約破棄された公爵令嬢は虐げられた国から出ていくことにしました~国から追い出されたのでよその国で竜騎士を目指します~

ヒンメル
ファンタジー
マグナス王国の公爵令嬢マチルダ・スチュアートは他国出身の母の容姿そっくりなためかこの国でうとまれ一人浮いた存在だった。 そんなマチルダが王家主催の夜会にて婚約者である王太子から婚約破棄を告げられ、国外退去を命じられる。 自分と同じ容姿を持つ者のいるであろう国に行けば、目立つこともなく、穏やかに暮らせるのではないかと思うのだった。 マチルダの母の祖国ドラガニアを目指す旅が今始まる――   ※文章を書く練習をしています。誤字脱字や表現のおかしい所などがあったら優しく教えてやってください。    ※第二章まで完結してます。現在、最終章をゆっくり更新中です。書くスピードが亀より遅いので、お待たせしてすみませんm(__)m    ※小説家になろう様にも投稿しています。

砕けた愛

篠月珪霞
恋愛
新婚初夜に男に襲われた公爵令嬢エヴリーヌは、不義密通の罪を被せられた。反逆罪に問われた彼女の一族は処刑されるが、気付くと時間が巻き戻っていた。 あなたへの愛? そんなものとうに、砕け散ってしまいました。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

処理中です...