わがまま妃はもう止まらない

みやちゃん

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クリストファーは昔にミルアージュの父、前アンロック王と話した事を思い出していた。

クリストファーは七歳の時にまだ四歳のミルアージュに一目惚れをした。

可愛らしすぎる容姿だけではなく、愛想よく笑顔を振りまくミルアージュは天使に見えた。

運命の出会い。
クリストファーはそう思っている。

何んでもできてしまうが故にクリストファーは適当に日々をやり過ごしていた。
第一王子には生まれ、何でも手に入ってしまったため、欲などもなかった。
権力にも興味がなく王になりたいとも思わないし、どうしても欲しいと思うものもなかった。

そんなクリストファーの前にキラキラした王女が現れた。

そして、何にでも必死に頑張るミルアージュはクリストファーにとても眩しく映り、恋心を大きくしていった。

アンロック王国の第一王女で次期後継者であるミルアージュ、ルーマン王国の第一王子であり王太子候補の自分。

どうやっても結ばれる運命ではなかった。
父やアンロック王ともにクリストファーの思いに難色を示した。

ルーマンの王太子など弟が引き継いでくれればいい。
自分は将来アンロックに行き、ミルアージュと結ばれたいと思っていた。

アンロックの貴族達などには負けられない。
ミルアージュの最高の夫だと受け入れてもらえるようにしなければならない。
そこからのクリストファーはメキメキと実力を伸ばした。
ミルアージュの為なら何でも頑張れる気がした。

その後、アンロック王は妃を迎え、ミルアージュが八歳の時に弟王子となるレンドランドが生まれた。

その時のクリストファーの喜びはなかった。
アンロックの王位継承権は男子優先となる。
ミルアージュがアンロックの王位を継がなくてもいい。
自分のことだけを考えて生きてくれると思った。

父王を通じアンロックに婚約の申し入れを行ったが、ミルアージュの体調不良を理由に断りが来た。

体調不良など適当な理由をつけて自分との婚約を断るなんて…クリストファーは苛立ったままアンロックに向かった。

そこで見たものは…クリストファーに大きな衝撃を与えた。

あんなにいつでも生き生きしていたミルアージュが瞳には何も映さず、表情もなかった。
息をしている人形という表現がぴったりだろうか。

言葉や感情も表に出す事もなかった。

アンロック王はクリストファーに言う。

「ミルアージュはもう普通の姫として生きられない。そういう風にしたのは私だ。民の為に生きる、ミルアージュはその目的がなければ自分に存在価値を見出せない。」

アンロック王は病弱であり、長くは生きられないと悟っていた。
だからこそ、次期王となるミルアージュへの教育は厳しかった。
幼児期から戦場で実践も積ませた。

多くの兵士が死ぬ戦場で王としての責任も語った。政務の場でも横につけて意見も求めた。王として判断ミスをすれば、多くの民が巻き込まれると叩き込んだ。

ミルアージュは夜もねれないほどの重圧に耐えながらも頑張っていた。

戦場で見た兵士達の死体を前にミルアージュは誓ったのだから。

父王が言った言葉。
「ミルアージュ、よく見ておけ。これは私の罪だ。兵士の命に対しも責任を持たねばならない。本来、兵士達も大切な民。戦争を回避することができず、兵士に命をかけさせる自分は愚かな王だ。お前はもっと賢い王になれ。」

ミルアージュは目の前の父王と亡くなった兵士達に誓った。
「皆を幸せにする。誰も苦しむ事がない国にしていく。」と…

この者たちが守った国をより良いものにする。それが私達を守って死んだ兵士達への償いだと。

それがミルアージュの全てになってしまった。

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