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「ミルアージュ様、すごかったな!」
「総司令官を任されたのは王太子妃ってだけじゃなかったんだ。」
隊員達は次々に軍部大将とミルアージュの勝負について話題にしていた。
あれほど陰口を叩かれていたのに、一度実力を見ただけで態度を変える隊員にアルトは苛立ちを感じ部屋を出た。
トントン
アルトはどうしても聞きたいことがあり、軍部大将の部屋を訪ねていた。
こんな時間に来るのは失礼なのはわかっていた。
しかも自分より身分も実力も格段上の相手の部屋に前触れなしで来るなど怒られる事も承知していたが、どうしても気になる事があった。
ドアが開き、軍部大将が直々に出てきた。
「お前は…確か副隊長のアルトだったか。」
軍部大将は訓練をつけた大勢の中の一人でしかないアルトの名と役職もきちんと把握していた。
「こんな時間に申し訳ありません。どうしても聞きたいことがありまして…」
いきなり軍部大将が出てくるとも思っていず、慌てて返答する。
軍部大将はその様子を見てクイッ首を部屋の中に振った。
「用があるのだろう?入れ。」
中に入るとマカラックと執事もいた。
「多分お前達は同じ用事だろう。まとめて聞く方が早い。」
軍部大将は何のためにアルトがここに来たのかわかっているようだった。
アルトをソファに座らせると軍部大将自らお茶を出した。
「味には期待するなよ。」
と脅すように言われたが、フレーバーティーは美味しかった。軍部大将はこんなの飲むのだと失礼な事を心の中で思っていた。
「姫様が好きなお茶だ。」
言い訳がましく軍部大将は言った。いつでもミルアージュに出せるように準備しているのだと思うと二人の関係性が見えてきた。
マカラックはお茶を入れ終わったのを見て話し出した。
「話を続けよう、今日の二人の試合を見た。ミルアージュ殿は素晴らしい才能の持ち主だ。剣も統治に関しても…そして人格も。このまま潰して良い方ではない。」
そう、マカラックもアルトもミルアージュの今後を心配して軍部大将の所に来ていたのだ。
「姫様は王となるために育てられた。元々素質はあっただろうが、血を吐くような努力があり今の姫様となった。前アンロック王も王の器だと言っておられた。」
王の器…
そう、人の上に立ち、導く者。
ミルアージュはそれができる人間だ。
「なぜ、あんなに自分を貶める?あれほどの実力がありながら自分に価値を見出していない。自分を犠牲にしても国や民にとっての最善を出そうとする。」
そう、全てはミルアージュが悪い。それでうまくいくなら別に自分がどうなろうと構わない…自分の命すら投げ出してしまうのではないかとマカラックは危惧していた。
「姫様は幼い頃、戦場で生きていた。目の前で人が無数に死んでいった、国を守るためという大義名分の下でな。自分もその一人という認識で育った。前王も王の責任と義務について徹底的に教え込んでいたしな、両方が重なったのだと思う。」
軍部大将は眉間にしわを寄せ、辛そうに話す。
もうその頃軍部大将となっていた。ミルアージュをそばで見ていたのだろう。
遠征に慣れている…姫様はそう言っていた。戦場に出ていたのなら今回の遠征など問題なかったはずだ。ずっと過酷な現場にいたのだから。
「そしてアンロックでは後継争いから外れるために悪評を流していた。姫様の実力を知れば欲しくなるだろう?」
軍部大将は苦笑いをした。
ミルアージュの実力はアンロックでもあまり知られていない。それどころかわがまま王女との悪評が広がっている。
アルトもマカラックもその噂を知っていた。
ミルアージュ自身が流していたものだなんて…
ミルアージュの実力を皆が知っていれば、アンロックから出るのも難しかっただろう。
そして、現王のレンドランドより優秀だと判断されれば…勝手に後継者争いに突入していた。
「それは今回の件と変わらない。そして俺たちにそれを止める術はない。」
止めれるならもうとっくに止めていると目で言っている。
軍部大将はミルアージュを大切にしている。そんな姫様一人を悪者になどしたくないに決まっている。
「だが…それではミルアージュ殿一人が全てを背負ってしまう。」
マカラックは悔しそうに呟く。
「それが姫様だと言っただろう。公に出せない事がある以上、これが最善の道だ。アンロックを追放される時も姫様はそう言って笑った。」
軍部大将はミルアージュと一緒にいた分ミルアージュがどのように動き、どんなに頑固なのかを知っている。
色々あり最後に追放は解かれたが、それまで自分達では何もできなかったと軍部大将は言う。
ミルアージュが状況を変えるつもりがない以上、それに従うしかないと。
軍部大将はアルトの方を見る。
「これから俺は姫様を守れない。お前が守ってくれ。姫様が不利になるのをできるだけ止めてくれ。守れなかった俺が言える立場ではないがな。」
「それはもちろんですが…なぜ私に?」
アルトは驚いて聞いた。
ルーマンに嫁いでいるのだからアンロックの軍部大将が守れないのはわかるが、自分に頼む意味がわからなかった。
「お前は姫様に惹かれているから、ここに来たのだろう?そういう奴は生涯、姫様に忠誠を誓う。」
軍部大将はニヤリと笑った。
「総司令官を任されたのは王太子妃ってだけじゃなかったんだ。」
隊員達は次々に軍部大将とミルアージュの勝負について話題にしていた。
あれほど陰口を叩かれていたのに、一度実力を見ただけで態度を変える隊員にアルトは苛立ちを感じ部屋を出た。
トントン
アルトはどうしても聞きたいことがあり、軍部大将の部屋を訪ねていた。
こんな時間に来るのは失礼なのはわかっていた。
しかも自分より身分も実力も格段上の相手の部屋に前触れなしで来るなど怒られる事も承知していたが、どうしても気になる事があった。
ドアが開き、軍部大将が直々に出てきた。
「お前は…確か副隊長のアルトだったか。」
軍部大将は訓練をつけた大勢の中の一人でしかないアルトの名と役職もきちんと把握していた。
「こんな時間に申し訳ありません。どうしても聞きたいことがありまして…」
いきなり軍部大将が出てくるとも思っていず、慌てて返答する。
軍部大将はその様子を見てクイッ首を部屋の中に振った。
「用があるのだろう?入れ。」
中に入るとマカラックと執事もいた。
「多分お前達は同じ用事だろう。まとめて聞く方が早い。」
軍部大将は何のためにアルトがここに来たのかわかっているようだった。
アルトをソファに座らせると軍部大将自らお茶を出した。
「味には期待するなよ。」
と脅すように言われたが、フレーバーティーは美味しかった。軍部大将はこんなの飲むのだと失礼な事を心の中で思っていた。
「姫様が好きなお茶だ。」
言い訳がましく軍部大将は言った。いつでもミルアージュに出せるように準備しているのだと思うと二人の関係性が見えてきた。
マカラックはお茶を入れ終わったのを見て話し出した。
「話を続けよう、今日の二人の試合を見た。ミルアージュ殿は素晴らしい才能の持ち主だ。剣も統治に関しても…そして人格も。このまま潰して良い方ではない。」
そう、マカラックもアルトもミルアージュの今後を心配して軍部大将の所に来ていたのだ。
「姫様は王となるために育てられた。元々素質はあっただろうが、血を吐くような努力があり今の姫様となった。前アンロック王も王の器だと言っておられた。」
王の器…
そう、人の上に立ち、導く者。
ミルアージュはそれができる人間だ。
「なぜ、あんなに自分を貶める?あれほどの実力がありながら自分に価値を見出していない。自分を犠牲にしても国や民にとっての最善を出そうとする。」
そう、全てはミルアージュが悪い。それでうまくいくなら別に自分がどうなろうと構わない…自分の命すら投げ出してしまうのではないかとマカラックは危惧していた。
「姫様は幼い頃、戦場で生きていた。目の前で人が無数に死んでいった、国を守るためという大義名分の下でな。自分もその一人という認識で育った。前王も王の責任と義務について徹底的に教え込んでいたしな、両方が重なったのだと思う。」
軍部大将は眉間にしわを寄せ、辛そうに話す。
もうその頃軍部大将となっていた。ミルアージュをそばで見ていたのだろう。
遠征に慣れている…姫様はそう言っていた。戦場に出ていたのなら今回の遠征など問題なかったはずだ。ずっと過酷な現場にいたのだから。
「そしてアンロックでは後継争いから外れるために悪評を流していた。姫様の実力を知れば欲しくなるだろう?」
軍部大将は苦笑いをした。
ミルアージュの実力はアンロックでもあまり知られていない。それどころかわがまま王女との悪評が広がっている。
アルトもマカラックもその噂を知っていた。
ミルアージュ自身が流していたものだなんて…
ミルアージュの実力を皆が知っていれば、アンロックから出るのも難しかっただろう。
そして、現王のレンドランドより優秀だと判断されれば…勝手に後継者争いに突入していた。
「それは今回の件と変わらない。そして俺たちにそれを止める術はない。」
止めれるならもうとっくに止めていると目で言っている。
軍部大将はミルアージュを大切にしている。そんな姫様一人を悪者になどしたくないに決まっている。
「だが…それではミルアージュ殿一人が全てを背負ってしまう。」
マカラックは悔しそうに呟く。
「それが姫様だと言っただろう。公に出せない事がある以上、これが最善の道だ。アンロックを追放される時も姫様はそう言って笑った。」
軍部大将はミルアージュと一緒にいた分ミルアージュがどのように動き、どんなに頑固なのかを知っている。
色々あり最後に追放は解かれたが、それまで自分達では何もできなかったと軍部大将は言う。
ミルアージュが状況を変えるつもりがない以上、それに従うしかないと。
軍部大将はアルトの方を見る。
「これから俺は姫様を守れない。お前が守ってくれ。姫様が不利になるのをできるだけ止めてくれ。守れなかった俺が言える立場ではないがな。」
「それはもちろんですが…なぜ私に?」
アルトは驚いて聞いた。
ルーマンに嫁いでいるのだからアンロックの軍部大将が守れないのはわかるが、自分に頼む意味がわからなかった。
「お前は姫様に惹かれているから、ここに来たのだろう?そういう奴は生涯、姫様に忠誠を誓う。」
軍部大将はニヤリと笑った。
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