わがまま妃はもう止まらない

みやちゃん

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マカラックとアルトは軍部大将の部屋を共に出た。

モヤモヤしたものを抱えていたのは同じだった。
だから、マカラックの部屋にと誘われた時思わず了解したのだ。
アルトはその事を死ぬほど後悔することになる。

「えっ!マカラック様は神なの…ですか?」
敬称こそつけていたが、敬語すら使っていなかったアルトは慌てて敬語にした。
マカラックはその様子を見て苦笑いをした。

「違うな、正確に言えばアムーラ教の教祖だった。」

アムーラ教といえばルーマン、アンロックだけではない、この大陸の多くの国が信仰している宗教だ。

「だが、アムーラ教はもうずっと前からある宗教だ。」
アルトは信じられないというように口を開いた。

「ああ、私は不老不死というのかな。もう1000年以上は生きている。まぁ、自分では死ねないが、相手からの攻撃は通るから殺すことはできると思う。」

マカラックは何事もないように話し出す。
いやいや、1000年以上生きてるってどうなんだ?人じゃないだろ。なら目の前にいるマカラックは何者だ?突っ込みどころはいっぱいあるが、言葉にならなかった。

「皆を救いたくて宗教を作ったのに結局は戦の原因となった。アムーラ教国の者達と共に静かに生きていきたくなり、この地に移り住んだのだ。」

アムーラ教は苦しさも辛さも共に神が背負い、共に生きると説いている。
いくら苦しいことがあっても神様は一緒に頑張ってくれているのだから乗り越えていこう、そんな教えだった。

貧困した人々が多く一気に広がった背景があるが、アムーラ教国は教祖の聖力という不思議な力に守られて大きくなっていった。
そんな中、教国内部で政権争いが起き、多くの人が犠牲となる。
それを見た教祖は怒り、神聖の光と言われる力を放出し国を焼き尽くし一夜にして国は滅びた。
ルーマンの誰しも知っている有名な昔話だ。

「お前達に使おうとしたのは神聖の光と言われているやつだ。もっとも全盛期からいえば微弱な聖力となったがな。」

力が弱くなったとはいえ、国を一つ吹っ飛ばしたという神聖の光の力など使われたら一瞬で皆が消えていた。
ミルアージュが慌ててマカラックを気絶させた意味がやっとわかった。

マカラックに対して領民達は見ていて気持ちが悪いくらい敬っていた。
教祖と教国の子孫という関係なら…崇拝していてもおかしくない。
そしてミルアージュの態度。
信じられないが、そう考えると全て謎が解ける。

おいおい、これって王家の契約じゃなかったか?知りたくなかった、こんな秘密…
アムール教の秘密なんてバレれば存在を消される可能性だってある。

「大丈夫だ。王家は誰かれに話せないが、私が話すのは自由だ。そう取り決めたのは私だからな。」
アルトの心の中を読んだようにマカラックは言った。

「長い月日が過ぎてもうここを守る力もないのに皆は慕ってくれる。それがずっと苦しかった。だが、私がするべき事は聖力がなくなり苦しむことではなかった。皆の為にもがき変えていく事だったのだ。」

ミルアージュはマカラックに言っていた。
力を使う以外に何をしたのかと…

マカラックの素性を知っていてよくそんな事が言えたものだ。
なんせアムーラ教の教祖様。
雲の上どころかそのまた上の存在なのだ。
失礼どころか嫌味すら言ってのけたミルアージュの発言。
王家にマカラックが文句を言えば、ミルアージュだってタダでは済まなかったはずだ。

「姫の発言を謝罪致します。」
アルトは頭を下げる。

「勘違いをするな、怒っているわけではない。ミルアージュ殿に言われて気づいたのだ。聖力に頼るばかりが人々を導く力ではないとな。」
マカラックは真っ直ぐにアルトを見て言う。

「誰かを思い、誰かの為に行動する。それが広がれば皆が幸せになる。私は皆にそう言っていた。」

誰もが知っているアムーラ教の教えの一つだ。

「だが、ミルアージュ殿を見てそれだけではいけないとわかった。その誰かに自分も含めなければ皆が幸せになれないとな。」

そう、ミルアージュが人を思えば思うほど自分を傷つけ、ミルアージュを思う人をも傷つける。
マカラックは悲しそうに言った。

「そのことにミルアージュ殿が気づかなければ、お前も巻き込まれていくな。」

アルトは思いっきり嫌な顔をした。
軍部大将といい、マカラックといい、どうして皆アルトがミルアージュの側にずっといるかのような発言をするのかわからなかった。

行動力や洞察力、剣の腕こそ尊敬はするが、惹かれてなどいない。
命令だから部下でいるだけだ。

それなのに好き勝手にいいやがって…心の中で舌打ちをした。

だが、結局は軍部大将とマカラックの予言は的中するのだが。
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