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3ヶ月が立ち、領民達はミルアージュから解放される事になったが、その後も農作業と同時進行で工事をすすめた。
この工事が何を意味するものなのか領民も第三部隊も皆わかっていた。これがうまくいけば、この領が今までのように天候に苦しめられないという事も。
第三部隊もこの三ヶ月で強くなった。工事で体力を使う上、アンロックの軍部大将に鍛えられたのだ、体力もつき、剣の腕や精神力まで鍛えられた。
中でもアルトの成長はすごかった。元々素質があったが、何か吹っ切れたようにアレンベールに来た時よりもずっと強くなっていた。
「アルトあなた何をしたらそんなに強くなれるの?」
ミルアージュも驚きを隠せない。
「そりゃ軍部大将が…」
モゴモゴとアルトは口ごもる。
アルトは皆と訓練した後、軍部大将に呼び出しを受けしごかれていた。
「姫様を守る男がそんなに弱くてどうする!」と。
軍部大将はアルトをミルアージュの忠実な臣下に勝手に認定した。
いやいや、あんたと互角以上に戦う姫様を守る必要があるのかと声を大にして言いたい。
だが、その一言を言えば、さらに地獄をみるとわかっているため口が裂けても言えないが…
毎晩、あの軍部大将の相手をしていれば嫌でも強くなるだろう。
勝つことはまだできないが、攻撃を避けることができるようになってきたのは正直嬉しい。
「俺たちはもう少し残って工事を見届けますのでご安心を。姫様達はお帰りください。こんなにここにいる予定ではなかったですよね?」
軍部大将には何もかもお見通しのようだ。
予定は一ヶ月であったのが二ヶ月もオーバーしている。
クリストファーがイライラしながら待っているのが容易に想像できる。
「ええ、ありがとう。レンドランドにもお礼を言っておいて。技術者とあなたを派遣して援助までしてくれて助かったわ。」
ミルアージュは軍部大将に微笑んだ。
その様子を見てニヤっと軍部大将は笑う。
軍部大将、あなた笑わない方がいいわといたいくらいに怖い笑顔だった。
第三部隊に向かって軍部大将は叫んだ。
「お前達、だいぶマシにはなったがまだまだだ未熟だ!後はミルアージュ様に教われ!言っておくが、俺よりも鬼教官だから覚悟しておけよ!」
「わかりました!ありがとうございました。」
第三部隊は軍部大将に敬礼をする。
その様子をミルアージュは静かに見ていた。
「あなたの思惑通りといったところかしら?」
「さあ?何の話でしょう?私はただ奴らに剣の指導をしただけです。」
ミルアージュの質問に軍部大将は素知らぬ顔をして答えた。
「…ありがとう。」
「姫様、あまり無理はしないように願います。」
「…善処するわ。」
王都に戻り、第三部隊はミルアージュの隊に正式に決まるのだった。
この工事が何を意味するものなのか領民も第三部隊も皆わかっていた。これがうまくいけば、この領が今までのように天候に苦しめられないという事も。
第三部隊もこの三ヶ月で強くなった。工事で体力を使う上、アンロックの軍部大将に鍛えられたのだ、体力もつき、剣の腕や精神力まで鍛えられた。
中でもアルトの成長はすごかった。元々素質があったが、何か吹っ切れたようにアレンベールに来た時よりもずっと強くなっていた。
「アルトあなた何をしたらそんなに強くなれるの?」
ミルアージュも驚きを隠せない。
「そりゃ軍部大将が…」
モゴモゴとアルトは口ごもる。
アルトは皆と訓練した後、軍部大将に呼び出しを受けしごかれていた。
「姫様を守る男がそんなに弱くてどうする!」と。
軍部大将はアルトをミルアージュの忠実な臣下に勝手に認定した。
いやいや、あんたと互角以上に戦う姫様を守る必要があるのかと声を大にして言いたい。
だが、その一言を言えば、さらに地獄をみるとわかっているため口が裂けても言えないが…
毎晩、あの軍部大将の相手をしていれば嫌でも強くなるだろう。
勝つことはまだできないが、攻撃を避けることができるようになってきたのは正直嬉しい。
「俺たちはもう少し残って工事を見届けますのでご安心を。姫様達はお帰りください。こんなにここにいる予定ではなかったですよね?」
軍部大将には何もかもお見通しのようだ。
予定は一ヶ月であったのが二ヶ月もオーバーしている。
クリストファーがイライラしながら待っているのが容易に想像できる。
「ええ、ありがとう。レンドランドにもお礼を言っておいて。技術者とあなたを派遣して援助までしてくれて助かったわ。」
ミルアージュは軍部大将に微笑んだ。
その様子を見てニヤっと軍部大将は笑う。
軍部大将、あなた笑わない方がいいわといたいくらいに怖い笑顔だった。
第三部隊に向かって軍部大将は叫んだ。
「お前達、だいぶマシにはなったがまだまだだ未熟だ!後はミルアージュ様に教われ!言っておくが、俺よりも鬼教官だから覚悟しておけよ!」
「わかりました!ありがとうございました。」
第三部隊は軍部大将に敬礼をする。
その様子をミルアージュは静かに見ていた。
「あなたの思惑通りといったところかしら?」
「さあ?何の話でしょう?私はただ奴らに剣の指導をしただけです。」
ミルアージュの質問に軍部大将は素知らぬ顔をして答えた。
「…ありがとう。」
「姫様、あまり無理はしないように願います。」
「…善処するわ。」
王都に戻り、第三部隊はミルアージュの隊に正式に決まるのだった。
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