38 / 252
38
しおりを挟む
執務室の中は沈黙が続いていた。
最初に口を開いたのはルーマン国王だった。
「クリストファー、ミルアージュ妃から離れろ。」
国王は静かに言う。
「だが…」
「離れろと言っている。命令だ。離れなければ退室させる。」
クリストファーはミルアージュからしぶしぶ手を離す。
普段は優しく穏やかな国王の威圧感に大臣達も何も言えず、ただその様子を見守っていた。
「まずはどうして、その結論に至ったのかを説明してもらおう。」
国王はミルアージュに厳しい視線を向け、説明を求めた。
「まずここにレンラグス第二王子が出てきたということはレンラグスを後継者争いは決着したはずです。そして今回の茶番を仕組んだのは第二王子で間違いないと思います。」
ミルアージュは答えた。
「なぜそう思う?」
一つ一つ吟味するように国王はゆっくりと話をすすめる。
「前に第二王子ブランから声をかけられていました。一緒に国を治めようと、レンラグスを抑えたら私を迎えに来ると言っていたのでその時ってことなんでしょう。」
ミルアージュは苦笑いをする。
クリストファーといい、レンラグス第二王子ブランといい、ミルアージュに絡んでくるのは執着系が多い。
キッパリと断っていたが、ルーマン王太子妃となっても絡んでくるなんてミルアージュの想定にはなかった。
だが、そんな危険を冒してまでミルアージュを手に入れる価値があるとすれば…
執務室内は騒ついていた。
ミルアージュ妃と一緒に治める?レンラグスの第二王子が?
アンロックの後ろ盾が欲しかったのか?
だが、アンロックでのミルアージュ妃の待遇を見るとアンロックの後ろ盾は期待できない。
「ミルアージュ様を…なぜ?」
大臣が口を挟む。
「…彼は王の横に並び立つのは私しかいないと言っていました。」
ミルアージュの自惚れかと思ったのは大臣達だけだ。
国王もクリストファーもアビーナルですらブランが本当にそう思っているのだとわかった。
「ではミルアージュ妃がアンロックで何をしていたのかも知っているのだな。」
国王は念のため確認をした。大体の全容が見えてきていた。
「…そうだと思います。そして、その際にアンロックへ復讐はしたくないかと聞かれました。」
国王はゴクリと唾を飲み込んだ。
ミルアージュがアンロックでどのような立場と境遇にいたのかを全て知っているのだと思うと余計にややこしい事になる。
「ミルアージュ妃が処刑を望むのはアンロックを守るためか?」
第二王子が復讐に手をかしてもいいと言っているのだとすれば、いずれアンロックを攻める事も視野に入っている。
レンラグスは昔からアンロックを手に入れる事に執着しているのをルーマン国王だって知っていた。
「妹であるマリア王女の命をかけてまでルーマンに介入したという事は本気なのだと思います。」
国王は同意したようにうなずく。
「そうだろうな…」
アンロック内部を知るミルアージュを手の内に入れればアンロックへの侵略はしやすくなる。
ミルアージュが協力しなくても口を割らせる方法などいくらでもある。
レンラグスの尋問という場でミルアージュを連れ去る可能性も大きい。ルーマンが疑われている以上、レンラグス優位で場を作られていくのだから。
最初に口を開いたのはルーマン国王だった。
「クリストファー、ミルアージュ妃から離れろ。」
国王は静かに言う。
「だが…」
「離れろと言っている。命令だ。離れなければ退室させる。」
クリストファーはミルアージュからしぶしぶ手を離す。
普段は優しく穏やかな国王の威圧感に大臣達も何も言えず、ただその様子を見守っていた。
「まずはどうして、その結論に至ったのかを説明してもらおう。」
国王はミルアージュに厳しい視線を向け、説明を求めた。
「まずここにレンラグス第二王子が出てきたということはレンラグスを後継者争いは決着したはずです。そして今回の茶番を仕組んだのは第二王子で間違いないと思います。」
ミルアージュは答えた。
「なぜそう思う?」
一つ一つ吟味するように国王はゆっくりと話をすすめる。
「前に第二王子ブランから声をかけられていました。一緒に国を治めようと、レンラグスを抑えたら私を迎えに来ると言っていたのでその時ってことなんでしょう。」
ミルアージュは苦笑いをする。
クリストファーといい、レンラグス第二王子ブランといい、ミルアージュに絡んでくるのは執着系が多い。
キッパリと断っていたが、ルーマン王太子妃となっても絡んでくるなんてミルアージュの想定にはなかった。
だが、そんな危険を冒してまでミルアージュを手に入れる価値があるとすれば…
執務室内は騒ついていた。
ミルアージュ妃と一緒に治める?レンラグスの第二王子が?
アンロックの後ろ盾が欲しかったのか?
だが、アンロックでのミルアージュ妃の待遇を見るとアンロックの後ろ盾は期待できない。
「ミルアージュ様を…なぜ?」
大臣が口を挟む。
「…彼は王の横に並び立つのは私しかいないと言っていました。」
ミルアージュの自惚れかと思ったのは大臣達だけだ。
国王もクリストファーもアビーナルですらブランが本当にそう思っているのだとわかった。
「ではミルアージュ妃がアンロックで何をしていたのかも知っているのだな。」
国王は念のため確認をした。大体の全容が見えてきていた。
「…そうだと思います。そして、その際にアンロックへ復讐はしたくないかと聞かれました。」
国王はゴクリと唾を飲み込んだ。
ミルアージュがアンロックでどのような立場と境遇にいたのかを全て知っているのだと思うと余計にややこしい事になる。
「ミルアージュ妃が処刑を望むのはアンロックを守るためか?」
第二王子が復讐に手をかしてもいいと言っているのだとすれば、いずれアンロックを攻める事も視野に入っている。
レンラグスは昔からアンロックを手に入れる事に執着しているのをルーマン国王だって知っていた。
「妹であるマリア王女の命をかけてまでルーマンに介入したという事は本気なのだと思います。」
国王は同意したようにうなずく。
「そうだろうな…」
アンロック内部を知るミルアージュを手の内に入れればアンロックへの侵略はしやすくなる。
ミルアージュが協力しなくても口を割らせる方法などいくらでもある。
レンラグスの尋問という場でミルアージュを連れ去る可能性も大きい。ルーマンが疑われている以上、レンラグス優位で場を作られていくのだから。
1
あなたにおすすめの小説
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
七日後に神罰が落ちる。上層部は「下を切り捨てろ」と言った——私は全員を逃がす
蒼月よる
ファンタジー
七日後、この港に神罰が落ちる。
追放された元観測士イオナだけが、その事実を知っていた。
しかも災害は自然現象ではない——誰かが、意図的に引き起こそうとしている。
港の上層部はすでに手を打っていた。「下層区画を緩衝被害区として切り捨てる」秘密契約。被害を最小限に見せかけ、体制を守る冷徹な計画だ。
イオナは元護送隊長ガルム、荷運び組合長メラとともに動き出す。
犯人を暴き、証拠を公開し、住民を逃がし、工廠を止める——すべてを七日で。
被害を「選ぶ」管理か、全員を「残す」運用か。
追放観測士の、七日間の港湾カウントダウン・サスペンス。
この作品は以下の箇所にAI(Claude Code)を利用しています。
・世界観・設定の管理補助
・プロット段階の壁打ち
・作者による執筆後の校正
婚約破棄された公爵令嬢は虐げられた国から出ていくことにしました~国から追い出されたのでよその国で竜騎士を目指します~
ヒンメル
ファンタジー
マグナス王国の公爵令嬢マチルダ・スチュアートは他国出身の母の容姿そっくりなためかこの国でうとまれ一人浮いた存在だった。
そんなマチルダが王家主催の夜会にて婚約者である王太子から婚約破棄を告げられ、国外退去を命じられる。
自分と同じ容姿を持つ者のいるであろう国に行けば、目立つこともなく、穏やかに暮らせるのではないかと思うのだった。
マチルダの母の祖国ドラガニアを目指す旅が今始まる――
※文章を書く練習をしています。誤字脱字や表現のおかしい所などがあったら優しく教えてやってください。
※第二章まで完結してます。現在、最終章をゆっくり更新中です。書くスピードが亀より遅いので、お待たせしてすみませんm(__)m
※小説家になろう様にも投稿しています。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
砕けた愛
篠月珪霞
恋愛
新婚初夜に男に襲われた公爵令嬢エヴリーヌは、不義密通の罪を被せられた。反逆罪に問われた彼女の一族は処刑されるが、気付くと時間が巻き戻っていた。
あなたへの愛? そんなものとうに、砕け散ってしまいました。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる