わがまま妃はもう止まらない

みやちゃん

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「何度聞かれてもお母様は病気で亡くなったのよ。」

ミルアージュはブランに言う。
ブランが納得した答えでなく、「だが…」と言葉を続けようとする。

「例えあなたが思っている事が事実だとしても今更それをあばいてどうしたいの?」

「公にできないのはわかっている。現状、アンロックより弱り切っているレンラグスの方が不利だ。だが、個人的にレンラグス王家として謝罪したい。王の罪…本当に申し訳なかった。」
ブランはミルアージュに頭を下げた。

「必要ないわ。お母様は病死だから。それで良いのよ。」
ミルアージュは繰り返す。

「アンロックとの同盟や国交は今まだ難しい。レンラグスをよく思わない人達も多いから。」

王妃の事がなくても散々侵略しようとしたのだからアンロックからよく思われないのは当たり前だった。

「だけど、過去に囚われていては進まない。だから、時が来たらレンドランド王と話をしたらいいと思うわ。当時を知らないし、私情ではなく国の為を考えられる私の自慢の弟だもの。」

レンラグスの持つ特産はアンロックにも必要なものも多い。ルーマンとレンラグスが国交を開いた今、アンロックも繋がりを持った方が利益は大きい。

そうわかってはいてもアンロックの受け入れは悪いだろう。
実際に憎悪を持った者達と話すより、歴史として事実を知っているだけのレンドランドでは印象は全く変わってくるし、国を優先できる事を知っている。

「…助言に感謝する。」

「というかお前まだ後継になっていないだろう。アンロックに手を出す前にさっさと解決しておけ。」
クリストファーはミルアージュとブランの間に流れる空気を無理やり切った。

あそこであなたが出てこなければ、もう少しマシな落としどころがあったわよ。
ミルアージュはクリストファーを睨む。

「ミアを苦しめたんだ、少しくらいの嫌がらせは許されるだろう。」
クリストファーは堂々という。

嫌がらせの自覚があったのか。
ミルアージュに向けられた殺意に我慢しきれず出てきたのかと思っていた。

ミルアージュを利用せず、国をまとめろということか。
クリストファーは実力で国を取れと言っている。それがブランにできるとクリストファーは判断した事がわかる。

「お前もわかりにくいな。だが、ありがとう。」
ブランは素直にクリストファーにお礼を言った。

「お礼がしたいなら早くここから出て行け。せっかくゆっくり過ごせるミアとの時間をお前に潰されたくない。」

クリストファーの返事も予想通りのものでミルアージュもブランも笑ってしまった。
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