わがまま妃はもう止まらない

みやちゃん

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「先行隊が戻ったと聞きました。」

隠密業務を主とする先行隊を待ちに待っていたアルトは報告を受けるとすぐにミルアージュのところにやってきた。

ミルアージュのテントに入ったが、あまりの暗い雰囲気にアルトは嫌な予感がした。

「姫?何があったのですか?」
アルトは唾をゴクリと飲み込んだ。

「……」
ミルアージュは返答せず、何かを考え込んでいる。

アルトはミルアージュから先行隊に目を向けた。
「何があった?報告しろ。」

先行隊はミルアージュをチラッと見てから「はい」と返事をしアルトに報告する。

「王が捕らえられている場所を特定しました。ご無事です。途中でバレそうになり、離れましたが、まだ移動された形跡はありません。申し訳ありません。」

「いや、危険な任務だ。生存確認ができただけでもよかった。それならすぐに救助に行こう!」
国王がもう亡くなっている可能性もあったため、生存がわかると嬉しさのあまりアルトの声が大きくなった。

「…それが…」
先行隊の報告の歯切れが悪い。
国王の生存が確認できているのになぜか…

「無事だけど、助けられない…」
ミルアージュがボソリと呟く。

「何故ですか?」
アルトがミルアージュの言葉に反応した。
ここには国王の救出しに来たはずだ。

「レンラグス第一王子が一応…黒幕だからです。」
ミルアージュの代わりに先行隊が答える。

「はっ?レンラグス?」
アルトも驚いて素で聞き返してしまった。

レンラグスといえば、この間国交を結んだばかりだ。ルーマン王城にはマリア王女もいる。
そのレンラグスがこの時期に国王誘拐など…

だいたい、国王が襲われたのはレーグルトだ。
他国でそんな事ができる訳がない。

「そう、ルーマンとレンラグスのつながりを切りレンラグスを陥れるのが今回の目的なのよ。レーグルトがレンラグスを手に入れるために。」

後継者争いで国が荒れているレンラグスは国力が弱っていた。そのレンラグスを手に入れようとレーグルトはずっと狙っていた。

クリストファーがレンラグスと国交を開いたことで邪魔をした形となった。
このまま、国が安定すればレーグルトも容易に手を出せなくなる。

アンロック元王女ミルアージュの存在もレーグルトに危機感を持たせた可能性がある。
ルーマンだけではなくアンロックとも国交が開かれる前にと判断したとしたら…

「レンラグスを陥れるためにレーグルトは自国内でのルーマン王を襲うのを黙ってみていたのか?ありえない。レーグルトもただでは済まないだろう。」

「レーグルトの公爵がレンラグス第一王子の母親の実家だったら?レーグルトは関知していないと言い張り公爵家を処罰して済ます。レンラグス第一王子と公爵家が勝手にしたことだと。」

レーグルトとしては第一王子をレンラグスの王にしたかっただろうが、ブランがレンラグスの後継争いに勝った。
第一王子は母の実家に逃げ込み、利用された。いや、第一王子自らが望んだのかもしれない。

レンラグス第一王子は自分を追い出したレンラグスを恨んでいる。
そのきっかけになったルーマンも…

「どこまでバカな王子なの?」

レーグルトはレンラグス第一王子を使えないと判断して切り捨てたのだ。
レンラグス第一王子はどんな結果をむかえても無事では済まない。

状況がわからず、ただレーグルトに利用されているだけではなく、自滅の道連れにレンラグスとルーマンを巻き込んだとしたら…

ルーマン国王や第三部隊を巻き込んでのレンラグス第一王子の心中…
これほどルーマンやレンラグスにとって致命的なスキャンダルはない。

レーグルトに向け兵を出すのは先に手を出された為、国王救出と国の威厳を守る為だ。
レーグルトが国王誘拐と関係なければ攻め入る大義名分は成り立たない。
救出するのは問題ないとしても攻め入るのはレンラグスでなければならない。

だからこそ、国王は生かされている。
人質ではなく、見世物なのだろう。
ルーマンは国王を目の前で失うという失態をレーグルトにより語られる事になる。

攻め込んだ瞬間に最悪のシナリオに突入する…
たとえ手出しをしなくても国王は殺され、ルーマンは国王を守れない国だと言われるだろう。

どちらにしても国王は死ぬ…

どうしたらいい?
侵入がバレたなら警戒体制は強くなっている。
間者を潜り込ませる事はできない。
こっそりと国王だけ救出するのも無理…

「ルーマン国王を囮にしようなんて許せない…」
ミルアージュの怒りは頂点に達していたが、打つ手がなかった握った拳に力が入った。





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