わがまま妃はもう止まらない

みやちゃん

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ミルアージュは第三部隊の隊員を集めた。
公にはできないが、戦争になるかもしれないとミルアージュの口から伝えられた。

「どういう事だ。俺たちがそれに向かうのか?」
兵士として死の覚悟は皆それなりにはできているが、国をかけての戦いに自分たちが出るなど思いもしていなかった。

第一、第二部隊を活かすための囮や雑用など、そんな仕事が第三部隊の役割だと思っていた。

「俺たちが国王救出の最前線なんておかしいだろう。本気か?」
隊員達は口々に言う。

自分たちがそんな責任を負うなど全く想定していず、動揺を隠しきれない。

「あなた達の不安は最もよ。だけど、今ルーマンで一番強く、まとまりがあるのはこの第三部隊なの。皆の力が必要よ。」
ミルアージュは真っ直ぐに隊員達を見つめる。

大規模な戦になれば、他の隊も全てが兵を出すだろうが、今は国王救助が最優先事項。
国同士の戦争では今のところなく、第三部隊のみで動く事になっている。
あまりに大人数で動くと戦争を仕掛けたと他国に思われる恐れもあるため、慎重に事を進める必要があった。

状況が把握しきれていない以上、下手すれば全滅の可能性もある。

「皆、今まで頑張ってきたのはこの日の為だろう。この国を守るのは俺たちだ。それを見せつけてやろう!」
アルトが隊員に向かって宣言する。

その声に応えるように大きな歓声が上がる。

そう、辛い訓練に耐えてきたのはこのためだと皆がアルトの思いに皆が賛同したのだ。

ミルアージュはこみ上げてきた涙を流さないようにグッとこらえた。

平民主体の部隊であり、皆が尻込みし、逃げ出す可能性も否定できなかった。国のためなんて大義名分のために生きてきている者など少なかったから。

命もかけさせてしまう戦いに巻き込みたくないと言うのがミルアージュの本音だ。
だが、こうやって一緒に戦ってくれる仲間がいるというのはなんて心強いのだろう。

アルトが皆を奮い立たせる。

「もう立派な隊長ね。」

嬉しいという思いと同時に隊員たちとの訓練を思い出し、胸が張り裂けそうになる。

本当なら誰も死なせたくない。
だが、今ここにいる者全てがここに戻ってくることはできないだろう。

大きな歓声の中、ミルアージュは心に影を落としていた。





ミルアージュが率いる第三部隊が出発となった。

相変わらずクリストファーは皆の目にも気にせず、ミルアージュを抱きしめキスをしていた。
前回の遠征の時にクリストファーは殴られていたが、今回は殴られずに済んだようだ。
それを第三部隊以外の者たちは冷たい視線を送るものも少なくなかった。

なぜなら…

現段階で国王がさらわれたという醜聞は出すわけにはいかず、第三部隊の大規模な遠征訓練とされた。

ミルアージュが自分の力を見せつける為のわがままではないかと囁かれる事になったが、事が大きいだけに否定もできず、アルトの苛立ちが大きくなっていった。

「あら、そんな噂が流れて良かったじゃない。皆がパニックにもなったら大変だったわよ。」
あまりに平和が続きすぎて民達もそれが当たり前になっていた。
戦争が起こる可能性があると知ると民衆はパニックに陥り、一気に治安の悪化や経済の破綻を起こしかねない。

そうミルアージュが説明するとアルトは苦虫を噛み殺したような顔をした。

「だが…国の一大事が姫のわがままのせいになるなど…」
アルトとしては許せるものではない。
ミルアージュが評判をあげたいのに、どうしても悪い方向に向かってしまうのを悔しく思っていた。

「もう気にしすぎよ。でも、ありがとう。怒ってくれて。」
ミルアージュはそう言ってアルト微笑んだ。

「姫?」

そう表面的な微笑みを浮かべるミルアージュにアルトは嫌な予感がしていた。


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