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「じゃあ、攻撃と同時に国王のところに行こうか。」

ミルアージュのテントにアルトと半透明のマカラックが作戦会議をしていた。

「マカラック様が大丈夫ならば、それでお願いをしたいです。」
攻め込んで混乱していた方が手薄になり、マカラックのバレるリスクは下がる。
だが、国王の安全確保が遅れる可能性があり追い詰められ国王に刃を突きつける可能性があり、同時進行が良いという事になった。

「うん、一応顔は隠して行こうかな。」
マカラックは微笑むが、聖なる力がバレるだけでも問題な筈だ。
国王が一人ならバレずにできるのか…その場の皆の口を塞がなければならないのか…
ミルアージュの顔が険しくなる。

「ミルアージュ殿、大丈夫。力はできるだけ使わないようにするから。だから、一緒にいくんだろう?」

「はい。」
内部の構造や国王の居場所、兵の配置などはもう魂だけのマカラックによって調査済みである。

救出にはさすがに力を使わずというのは無理な為、ミルアージュがともに向かう事になっていた。

「アルト、そんなに怒らないで。何度も説明しているでしょう。」
隣でふてくされているアルトにミルアージュは声をかけた。

「姫が危険な任務をこなさなくてもほかの者に…」

「マカラック様の存在は私とあなたしか知らないでしょう。マカラック様の存在は王家の契約で守られているわ。それにあなたは隊長でしょ?隊長不在でどうやって攻め込めるのよ。」

そんな事はアルトにだってわかっている。
だが、ミルアージュが国王救出なんて危険な任務をこなす事にどうしても納得ができない。

「アルト、大丈夫だよ。私がついているから。それにミルアージュ殿にも幸福を授けたから。私の幸福の力は強いんだよ。」
マカラックもミルアージュの横でニッコリと笑う。

アルトが納得しようとしまいとこの作戦はミルアージュ主体で行くべきだとマカラックは考えていた。

幸福を授けたのはアルトもミルアージュも同じだが、二人には一つ大きな違いがあった。

ミルアージュはアンロック王家の血を受け継いでおり、幸福の力はアルトの何倍も強いのだ。

王家の契約は口頭で受け継がれる。

その内容に保護を受ける代わりに国を代表する王家に幸福を授け、国を栄させるのだ。
だからこそ王、またはその後継者にしか伝えられないようになっていた。

口頭で伝えられる王家の契約であり、両国ともここ何代かマカラックを訪れていないところを見ると伝えられていないのだろう。
いや、マカラックの力が弱くなっていた為信用されなくなっていたのかもしれない。

力が戻ってきたマカラックの幸福の力は強い。

自身の幸せに背を向けるミルアージュに伝えれば、国が良くなると言われても受けないだろう。国王、又は王太子が受ければ良いといって。

王家の直系は契約上義務として幸福を授けるが、アルトや王太子妃でしかないミルアージュは完全にマカラックの個人的な思いが働いている。

ミルアージュが存在する限りマカラックは自分の力をミルアージュの為に使う決意をしていた。
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