90 / 252
90
しおりを挟む
パァァーンという合図がなり、牢の外側が騒がしくなった。
「始まったわね。私たちも出ましょう。陛下、歩けますか?」
ミルアージュの言葉にルーマン国王は頷いた。
マカラックが牢の鍵に手をかざすとピカッとした光と共にガチャリと音を立てて外れた。そのまま、入口の扉に向かい手をかざしバンと押し開けた。
「何だ?どうやって出た?お前ら何者だ!」
見張りの兵がルーマン国王だけではなくミルアージュとマカラックがいる事にも驚き、慌てて剣を抜いた。
ミルアージュは一切顔色も変えず、見張り2名の兵を一瞬で切り倒した。
国王はその様子を呆気にとられてみている。
「先に進みます。」
「ああ。」
ルーマン国王も決して弱いわけではない。
軍の指揮をとり戦う必要があるため、剣などの鍛錬は積んでいた。
だが、ルーマンはずっと平和な状態が続いており、鍛錬に当てられる時間は大幅に削られていた。
その事を後悔したのは国王が王位継承をした後。
こんなに国が脆い状態になっているなど思いもしなかった。
だからこそ、クリストファーの教育には臣下任せにはせず、細心の注意を払っていた。
だが、このミルアージュ妃の強さは何だ?
別格だ。
クリストファーが溺愛しているミルアージュ妃を庇っているわけでも実力をオーバーに言っているわけでもなかった。
先頭にミルアージュ妃、その後に国王、一番後ろはマカラックの順番で進む。兵に出くわせばミルアージュが先に切り込み、相手は剣を抜く事さえ間に合っていなかった。
「見事な腕だな。」
ルーマン国王は思わず声が漏れた。
「本来はこのような事がないのが一番良いのですけどね。」
国王はクリストファーからミルアージュに関して話を聞いていた。
こんな風になりたくてなった訳ではないと知っていたのに…
ミルアージュは振り返らないため、その表情を国王が見ることはなかったが、軽々しく言うべきではなかったと後悔した。
「ミルアー…「静かに。」
国王が口を開こうとするとミルアージュに止められた。
「来ました。後ろに下がっていてください。」
ミルアージュの声は冷静で落ち着いたものだった。
国王とマカラックが後ろに下がったのをミルアージュはチラッとみた。
戦闘になってもミルアージュが敵を通さなければ、敵の手が届かない位置に下がったのを確認し、ミルアージュは剣を構えた。
レンラグス第一王子と兵が廊下を曲がり、ミルアージュの前に現れた。
「お前は!何でここにいる?」
第一王子の叫ぶ声が聞こえる。
「見てわかるでしょう?国王陛下を救出に来たのよ。」
「どこまで俺の邪魔をすればいいんだ!戦いの女神の娘か何か知らないが、ここで会ったのが運の尽きだ。死んでもらう!」
レンラグス第一王子はミルアージュの姿をみて、冷静さを失い怒りで全身が震えていた。
レンラグスで国王が廃位し自分を国から追い出した原因であり、呪い殺したいほど恨んでいた相手が目の前にいるのだから。
「はっ?戦いの女神ってレンラグスのカミーラ王女の事か?」
ルーマン国王はボソリと呟いた。
「陛下、黙っており申し訳ありません。後から必ず話しますので今はこの状況に集中してください。」
ミルアージュは第一王子と兵たちから目を離さず、国王に言った。
「あなたのような王族が国を腐らせるのがわからないのかしら。追放されて当然よ。レーグルトにいいように利用されて情けないわ。」
「お前たちが俺から全て奪っておいて何を言う!レンラグスは私が後継になるはずだった。それをルーマンと手を結び横取りされるなんて許せる訳ないだろう!レンラグスもルーマンも滅びたらいい。」
レンラグス第一王子の声が廊下に響き渡る。
兵に向かって手を振り上げ、全員でミルアージュに向かうように指示を出した。
「そんなに王位は良いものではないのに。」
ミルアージュが小さく呟いた声は喧騒の中に消えてしまった。
「始まったわね。私たちも出ましょう。陛下、歩けますか?」
ミルアージュの言葉にルーマン国王は頷いた。
マカラックが牢の鍵に手をかざすとピカッとした光と共にガチャリと音を立てて外れた。そのまま、入口の扉に向かい手をかざしバンと押し開けた。
「何だ?どうやって出た?お前ら何者だ!」
見張りの兵がルーマン国王だけではなくミルアージュとマカラックがいる事にも驚き、慌てて剣を抜いた。
ミルアージュは一切顔色も変えず、見張り2名の兵を一瞬で切り倒した。
国王はその様子を呆気にとられてみている。
「先に進みます。」
「ああ。」
ルーマン国王も決して弱いわけではない。
軍の指揮をとり戦う必要があるため、剣などの鍛錬は積んでいた。
だが、ルーマンはずっと平和な状態が続いており、鍛錬に当てられる時間は大幅に削られていた。
その事を後悔したのは国王が王位継承をした後。
こんなに国が脆い状態になっているなど思いもしなかった。
だからこそ、クリストファーの教育には臣下任せにはせず、細心の注意を払っていた。
だが、このミルアージュ妃の強さは何だ?
別格だ。
クリストファーが溺愛しているミルアージュ妃を庇っているわけでも実力をオーバーに言っているわけでもなかった。
先頭にミルアージュ妃、その後に国王、一番後ろはマカラックの順番で進む。兵に出くわせばミルアージュが先に切り込み、相手は剣を抜く事さえ間に合っていなかった。
「見事な腕だな。」
ルーマン国王は思わず声が漏れた。
「本来はこのような事がないのが一番良いのですけどね。」
国王はクリストファーからミルアージュに関して話を聞いていた。
こんな風になりたくてなった訳ではないと知っていたのに…
ミルアージュは振り返らないため、その表情を国王が見ることはなかったが、軽々しく言うべきではなかったと後悔した。
「ミルアー…「静かに。」
国王が口を開こうとするとミルアージュに止められた。
「来ました。後ろに下がっていてください。」
ミルアージュの声は冷静で落ち着いたものだった。
国王とマカラックが後ろに下がったのをミルアージュはチラッとみた。
戦闘になってもミルアージュが敵を通さなければ、敵の手が届かない位置に下がったのを確認し、ミルアージュは剣を構えた。
レンラグス第一王子と兵が廊下を曲がり、ミルアージュの前に現れた。
「お前は!何でここにいる?」
第一王子の叫ぶ声が聞こえる。
「見てわかるでしょう?国王陛下を救出に来たのよ。」
「どこまで俺の邪魔をすればいいんだ!戦いの女神の娘か何か知らないが、ここで会ったのが運の尽きだ。死んでもらう!」
レンラグス第一王子はミルアージュの姿をみて、冷静さを失い怒りで全身が震えていた。
レンラグスで国王が廃位し自分を国から追い出した原因であり、呪い殺したいほど恨んでいた相手が目の前にいるのだから。
「はっ?戦いの女神ってレンラグスのカミーラ王女の事か?」
ルーマン国王はボソリと呟いた。
「陛下、黙っており申し訳ありません。後から必ず話しますので今はこの状況に集中してください。」
ミルアージュは第一王子と兵たちから目を離さず、国王に言った。
「あなたのような王族が国を腐らせるのがわからないのかしら。追放されて当然よ。レーグルトにいいように利用されて情けないわ。」
「お前たちが俺から全て奪っておいて何を言う!レンラグスは私が後継になるはずだった。それをルーマンと手を結び横取りされるなんて許せる訳ないだろう!レンラグスもルーマンも滅びたらいい。」
レンラグス第一王子の声が廊下に響き渡る。
兵に向かって手を振り上げ、全員でミルアージュに向かうように指示を出した。
「そんなに王位は良いものではないのに。」
ミルアージュが小さく呟いた声は喧騒の中に消えてしまった。
1
あなたにおすすめの小説
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
七日後に神罰が落ちる。上層部は「下を切り捨てろ」と言った——私は全員を逃がす
蒼月よる
ファンタジー
七日後、この港に神罰が落ちる。
追放された元観測士イオナだけが、その事実を知っていた。
しかも災害は自然現象ではない——誰かが、意図的に引き起こそうとしている。
港の上層部はすでに手を打っていた。「下層区画を緩衝被害区として切り捨てる」秘密契約。被害を最小限に見せかけ、体制を守る冷徹な計画だ。
イオナは元護送隊長ガルム、荷運び組合長メラとともに動き出す。
犯人を暴き、証拠を公開し、住民を逃がし、工廠を止める——すべてを七日で。
被害を「選ぶ」管理か、全員を「残す」運用か。
追放観測士の、七日間の港湾カウントダウン・サスペンス。
この作品は以下の箇所にAI(Claude Code)を利用しています。
・世界観・設定の管理補助
・プロット段階の壁打ち
・作者による執筆後の校正
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
婚約破棄された公爵令嬢は虐げられた国から出ていくことにしました~国から追い出されたのでよその国で竜騎士を目指します~
ヒンメル
ファンタジー
マグナス王国の公爵令嬢マチルダ・スチュアートは他国出身の母の容姿そっくりなためかこの国でうとまれ一人浮いた存在だった。
そんなマチルダが王家主催の夜会にて婚約者である王太子から婚約破棄を告げられ、国外退去を命じられる。
自分と同じ容姿を持つ者のいるであろう国に行けば、目立つこともなく、穏やかに暮らせるのではないかと思うのだった。
マチルダの母の祖国ドラガニアを目指す旅が今始まる――
※文章を書く練習をしています。誤字脱字や表現のおかしい所などがあったら優しく教えてやってください。
※第二章まで完結してます。現在、最終章をゆっくり更新中です。書くスピードが亀より遅いので、お待たせしてすみませんm(__)m
※小説家になろう様にも投稿しています。
砕けた愛
篠月珪霞
恋愛
新婚初夜に男に襲われた公爵令嬢エヴリーヌは、不義密通の罪を被せられた。反逆罪に問われた彼女の一族は処刑されるが、気付くと時間が巻き戻っていた。
あなたへの愛? そんなものとうに、砕け散ってしまいました。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる