わがまま妃はもう止まらない

みやちゃん

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「ハハッ、ルーマンの国王ともあろう者が不憫だな。」

鎖につながれ見下ろせるように牢の冷たい床でルーマン国王は膝をつく形で縛られていた。
ルーマン国王を見下ろし、レンラグス第一王子は満足げな表情を見せた。

「私の前に姿を表したということはもう私は用無しなのだな。」
ルーマン国王は真っ直ぐに王子を睨みつける。

国王を襲い拉致したのがレンラグス第一王子であったのにも驚いたが、その姿を現した時点で生きて戻らせるつもりなどない事がわかる。

「よくわかっているな。だが、お前の国から兵が到着するまで待つ。死ぬなら最期に皆と会いたいだろう?お前とルーマン兵たちの絶望した顔が楽しみだ。」

クククッと第一王子は笑う。

「愚かだな。」
ルーマン国王がボソリと呟いた。

レンラグス第一王子が後継者争いで敗れたことはルーマン国王だって知っている。
祖国レンラグスを道連れにしたいのか…

そのつぶやきは王子にも聞こえ、顔を真っ赤にし国王の顔を殴りつけた。

「後は死ぬしか役に立たないお前が偉そうな口を叩くな!お前のところの兵が目を背けたくなるくらい惨殺するからもう少し待っていろ。」
ギリギリと歯ぎしりをした王子は護衛とともにバンと乱暴に扉を閉めて牢を出た。

見張りは部屋の中にはいない。
ルーマン国王は口の中が切れ出血していた。

「もう行ったぞ。しばらくは戻らないはずだ。」
独り言のようにルーマン国王は呟いた。

シーンとした牢の中にマカラックとミルアージュの姿が徐々に現れた。

「国王陛下、大丈夫ですか?」
ミルアージュが国王のそばに駆け寄った。

「ああ、無事だ。」

鎖に繋がれ縛られ殴られており、衣服はボロボロ、長い間お風呂に入れていない国王の外見はお世辞にも無事とは言えなかった。

それでも内側から滲み出る高潔なオーラは国王が何にも屈することなく今存在していることがわかる。

マカラックが聖なる力で体を縛っていた縄と足に繋がれていた鎖を外した。

「それにしても見えないのにいきなりミルアージュ妃の気配を感じたから驚いたよ。そちらの方と関係しているのか?鎖を外してもらい礼を言う。」

国王はマカラックをチラッとみた。
普通の者とは違う…オーラが見える。

「はい、マカラック様が聖なる力で手を貸してくれました。」
ミルアージュがマカラックに深々と頭を下げた。

「ではこの方が教祖様…失礼な発言をしました。申し訳ありません。」

ルーマン国王は一瞬目を見開いだが、ミルアージュと同じく深々と頭を下げた。

マカラックはルーマン国王にとってもそれだけ雲の上の存在なのだ。

「今はそんな場合ではない。救われた時にまたゆっくり話そう。」

「はい。国王陛下、アルト達の合図があれば、ここから私達もでます。マカラック様、国王陛下をよろしくお願い致します。」

「あぁ、任せておけ。国王の無事は保障しよう。」

「どういう事だ?」
国王は二人の会話の内容がわからなかったが、良い話でないことだけはわかった。

「国王様はマカラック様に守っていただきます。」

「は?何を言っている?守られるべきはミルアージュ妃だろう。」
か弱く…はなくとも女性であり、義娘。
今後ルーマンを繁栄させてくれるクリストファーの想い人だ。

国王の表情に焦りが浮かぶ。

マカラックは眉間にしわを寄せハァと息を吐いた。
「私の力ではここに飛ぶだけしかできなかったんだ。帰りは自力でこの城を抜けなければならない。私とお前では力不足だろう?だからミルアージュ殿が来たんだ。」

国王にはマカラックが何を言っているのかよくわからなかったが、自分が足手まといになっている事だけはわかった。

「それならば、このまま私に剣を貸してくれ。ミルアージュ妃が戦う必要はない。」

国王は剣を持ったミルアージュに手を伸ばしたが、ミルアージュは首を横に振った。

「国王陛下、あなたが今ここで亡くなることは許されません。ルーマンは今ここで国王を失う訳にはいかないのです。」

「そうだ。そしてミルアージュ殿の方がずっと強いし、私が幸福の力も授けている。ちょっとくらいの危険は回避できるからお前は守られていろ。」

ミルアージュ、マカラックともに言い方は違うが、国王は戦うなと言っている。

王太子妃に守られるべきだと言われると国王として情けなさがこみ上げてくる。
こんな事ならもっとまじめに剣の鍛錬をしておくんだったと今更ながら後悔していた。
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