わがまま妃はもう止まらない

みやちゃん

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「お前が何でそんな顔してるのかわかったよ。」
クリストファーが外で風に当たっているとブランに声をかけられた。

「…」

クリストファーは意味深な笑いを浮かべるブランを無視して歩き出した。

「待てって。ちょっと話をしたいんだ。」
ブランがクリストファーの行く手を遮った。

クリストファーは落ち込んだり、腹を立てたりすると外の風にあたりに来るのをブランは知っていた。
特に花が咲く庭に出てくる。クリストファーは意外とロマンチックなのだとブランは思っている。
そんな事をいうとクリストファーが怒るし、庭に出てこなくなるから言わないが。

「私にはお前と話す理由はない。」
クリストファーはブランの横を通り抜ける。

今、クリストファーは誰とも話したくなかった。ミルアージュの事を思えば思うほどイラつきが強くなり頭を冷やす為に外にでてきたのに、どうして会いたくない奴に会うのか…
クリストファーは大きなため息をついた。

「機嫌悪いな。ミルアージュが絡むと本当にダメだな。ミルアージュの方がまだ余裕があったぞ。」
ブランはまだ笑える余裕があった。

次の瞬間のクリストファーを見るまでは…

「ミアに会ったのか…」
ミルアージュという言葉に反応しクリストファーから冷え切った視線と殺気を浴びることとなった。

ブランはゾクリと寒気が走る。
クリストファーは昔から本当に変わらない。
ゾクゾクとした寒気を感じながらブランは口を開く。

「ああ、国王の謁見の後にな。そんな目を向けるな。ミルアージュの事はもう諦めている。」

「…ミアは元気だったか?」
ミルアージュを諦めたというブランの言葉にクリストファーは少し警戒を解いた。

「うーん、何をもって元気というかだが。体の面だけで言うなら大丈夫だと思う。」

「そうか。」
クリストファーは少しホッとしたような表情を見せた。

メイドや護衛などにミルアージュの状態を報告させているくせに…
クリストファーはミルアージュとどのくらい会えていないんだ?

「今回、ミルアージュを巻き込んで悪かった。」
ブランはクリストファーに頭を下げた。

「いや、国王が攫われるなどという不祥事を起こした我が国が悪い。ミアは…私が止めても聞かない。早いか遅いかで同じ状況になっていたはずだ。」

クリストファーの憂いを浮かべた表情にブランはドキリとした。
同じ男でもドキドキするのだ、令嬢なら間違いなくコロッと一撃だろう。

ミルアージュ以外何も見えていないクリストファーだから気づきもしないだろうが。
ミルアージュもクリストファーの色気にコロッとやられれば、二人とも苦しむ事はないのにな…
ブランは残念感が否めなかった。

「第一王子はどうするつもりだ?」
クリストファーが聞いた。

「ああ、今回しでかした事は国を揺るがせるものだ。生き残らせる事はできない。」

「そうか…」

「最初から殺しておけばこんな事態にはならなかった。すまない…」
ブランはクリストファーに頭を下げる。

「愚かで卑怯者であっても兄だったのだろう?変わらずお前は甘いな。」
ブランをねぎらうような優しい口調だが、感情が全く見えないものだった。

「そういうお前だって相変わらずミルアージュ以外に思い入れがないだろう。親兄弟が死んで悲しいと思うか?」

クリストファーは少し考えて横に首を振った。
「全くないわけではないが…国王が誘拐された時もミルアージュに巻き込みたくないという思いが強かったな。」

「だろうな、やっぱりクリストファーは変わらない。」
ブランは苦笑いをした。

「今回のお詫びだ。いい情報をお前にやるよ。第一王子に情報を売った奴らの証拠がある。手が出せなかったのだろう?」

「はっ?何でそんな物がレンラグスに…」
ミルアージュの事以外、表情を出さないクリストファーが素で驚いているのがブランにとって新鮮だった。
からかいたいが、今そんな事をできる立場にない事はブランだってわかっている。

「今回の敗戦で第一王子の臣下達が数人レンラグスに逃げ帰った。第一王子のしでかした証拠を持ってな。第一王子を騙されたなどふざけた事を言っていたが、証拠は本物だった。」
ブランはニヤリと笑った。

第一王子は兄として多少の情があったのは間違いない。
幼い時は一緒に遊んだ事だってあったのだ。

だが、マリアを自害させようとした事実がわかり、兄弟の情は完全になくなった。
第一王子もその仲間たちも絶対に許さない。
レンラグスを執拗に狙うレーグルトも。

「手を組もう。」
ブランはクリストファーと利害関係が一致して良かったと思った。

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