わがまま妃はもう止まらない

みやちゃん

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「どういう事だ。領主の話でそんな大物の名が出てくるんだ?」

書類に目を通したダミアンがキュラミールの名に反応した。
こんな国の端っこの街にすらキュラミールの名を知らないものはいない。
そのくらい有名な家門だった。

「そもそも領主が暴動を引き起こすなんてありえない。この街が良くなれば領主も考えを変え、皆に税の強制などしなくなるはずだ。」
ダミアンはあくまでこの街の貧しさが招いた事態だと思っている。

クリストファーがミルアージュとアビーナルを見た。

「説明していないのか?それならば、なぜここにいる?信用のおけない者はここから出せ。」
クリストファーはダミアンがここまで何も知らないとは思っていなかった。

ミルアージュが手を組み、ここまで一緒に動いたのではなかったのか…
ミルアージュという存在に信頼を寄せ、この街を再建させた…
持ちつ持たれつの関係ではなく、ただただミルアージュの存在を必要としていたなんてクリストファーは考えるのも嫌だった。

アザイルといい、このダミアンといい私がいないのをいいことにミルアージュに惹かれている。
クリストファーはギリギリと奥歯を噛み締めた。

ミアに惚れ込む奴は多い。
だから常にクリストファーが近くで威嚇していたのに。
今回はどこまで距離を縮めているのか。

「ダミアンの事は信用しているわ。でも、まだ話すには早いと思ったのよ。この街をとても大切にしているから…この街の皆に伝われば、領主達の思い通りになってしまうから。」

「だが、キュラミール達を裁くには確たる証拠が必要だ。だからこそ、ミアはこの街に来たのだろう?民を守るために全てを諦めるつもりか?いつまでも解決しないぞ。」

ミルアージュの当初の目的はそうだった。
レーグルトとの戦を防ぐ、または拡大をさせないためにここに来た。
だが、目の前の困っている民を捨てられず今に至っている。

だが、ミルアージュの動きを見れば何を優先させていたのかすぐにわかる。

目先の問題を解決するために根本の大きな問題に目をつぶる結果となる。
それが今後どれほどの民を苦しめることになるのかはミルアージュだってわかっているはずなのに…

「…」
ミルアージュは何も答えられなかった。
その通り過ぎたから。

もう少し様子を見れば領主やキュラミール、レーグルトは動いたはずだ。
だが、下手をすれば犠牲者が多く出る可能性がある。

この困窮している民に暴動を起こさせる決意などして欲しくなかったのがミルアージュの本音。

「この街を利用しようとしていたのか?」

ミルアージュとクリストファーの言葉にダミアンは噛み付いた。

「俺たちを騙したのか?この街の再生を本気で考えてくれたのではないのか?」

ダミアンは真っ直ぐにミルアージュを見た。

「ごめんなさい。」
ミルアージュはダミアンに謝罪した。

その言葉にダミアンは唖然としている。
ミルアージュに否定して欲しかったのに、なんの言い訳もなく認めたのが信じられなかった。

「はぁ。」
クリストファーが大きくため息をついた。

「ミア、部屋から出ていろ。話がややこしくなる。」

「えっ、でも…私が説明するべき事だわ。」

「いいから出ていろ。」
クリストファーに強く言われ渋々ミルアージュは外に出た。

「ダミアンと言ったか。時間がないから手短に話すぞ。今この街の現状をな。」
クリストファーとしてはこれ以上ダミアンをミルアージュに近づけたくはないが、この街を掌握しているダミアンの協力は不可欠だ。

これからは私が睨みをきかせれば良いだけだからと言い聞かせてクリストファーはダミアンに話し出した。
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