わがまま妃はもう止まらない

みやちゃん

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クリストファーが下がったのを見て領主はその様子を鼻で笑った。
「女の後ろに隠れるとはな。情けない男だ。良いのは顔だけか。」

本気でそう思っているのは領主だけだろう。
領主側の兵ですらクリストファーを警戒している。

「情けないのはそっちでしょ。全く状況判断もできないなんて。」
ミルアージュはため息が出た。
こんな領主とはまともに話ができる訳がない。
さっさと話を終わらせたい。
クリストファーをブチギレさせる前に。

「あなたは領主失格よ!今すぐここから出て行きなさい。」
バーンとミルアージュが領主に向かい言い放った。

「この女、頭が狂っているのか?私に向かいなんて言った?」
領主はプルプルと全身から震えている。

集まっていた領民たちも騒ついた。

ダミアンに駆け寄る者たちもいる。
この状況を止めて欲しいと思っているのだろう。

ダミアンは難しい顔をしながらも動こうとしなかった。

クリストファーとミルアージュが何者かを知った今、口を挟める訳がなかった。
しかも慌てて助けを求めたのはこちらだ。
領主より偉いのだから何とかうまい具合にまとめてくれるはずと信じたい。
それがダミアンの本音だった。

だが、兵も何もいないクリストファーとミルアージュの言うことを領主がきくだろうか?
いきなり斬りかかったりしないだろうか。
命にかけても守らないといけない…ダミアンは剣から手を離さなかった。
いつでも剣を抜けるように。

「頭だけじゃなくて耳も悪いの?出て行きなさいと言ったわよ。」
ミルアージュは領主の怒りなど全く気にしていないようだ。

「ここは私の領だ。出て行くのはお前たちだ!捕らえろ。逆らうならこの女を殺せ!見せしめだ!」
領主は兵たちに命令した。

兵たちは後ろのクリストファーが動かないのを見てミルアージュに近づいた。

「私に手を出さない方がいいわよ。これはあなた達を思っての忠告よ。」
ミルアージュは兵達に声をかける。

「はん、偉そうな口を聞く割にはそんな負け惜しみを言うなんてな。さっさといけ。」
多くいる兵のうち20人ほどがミルアージュに向かってきた。

ミルアージュは武器一つ持っていない。
ダミアンはクリストファーを見た。

クリストファーは余裕な顔をし、全く加勢をする気はなさそうだった。

ミルアージュの強さはダミアンも知っている。
ダミアンもミルアージュに一度も勝てない。
だが、それは一対一だ。

あんな20人近くの屈強な兵達をまとめて相手にするのは無理だ。

ダミアンは剣を持ち加勢しようとした。

「ダミアン!怪我をしたくなければ動くな!ミアなら大丈夫だ。」
クリストファーからダミアンを止める声が入る。

あの状況を見て何が大丈夫なんだ?
いくら強くても女一人で相手になるものか。
しかも武器も何も持っていないのだぞ。

あんなのが王太子でミアの夫なのか?

ダミアンはグッと拳を握った。
クリストファーの命令を無視して助けに入ろうとしたところで足が止まった。

目の前のミルアージュを見てすぐにクリストファーの言う意味がわかってしまったから。
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