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ミルアージュが部屋に入った時にはもうピリピリした空気が流れていた。
「お前たちで話し合え。私は口を挟まないから安心しろ。」
クリストファーは最初にそう宣言した。
王太子の宣言をそのまま信じる者はこの場にはいない。
口を挟むつもりがないならこんな国境近くの王都から離れた地に来るはずなんてないのだから。
「では私から領主にお聞きします。なぜこのタイミングで兵を連れて来たのですか?」
ダミアンは領主に聞いた。
「領主が領地の見回りに来て何が悪い?」
悪びれる事なく領主は返答する。
「いえ、それが悪いとは言っておりません。なぜこのタイミングで兵を連れているのかと聞いています。今年は税もしっかりと払っていたはずです。」
「それは…」
「私たちに何か怪しい動きはありましたか?しかもなぜ王軍がここまで来るのですか?」
「…」
ダミアンは領主のみを見据えていたが、領主はチラチラとクリストファーの反応を見ていた。
自分の発言一つで危うい立場となるのがわかっていたから。
その様子をミルアージュは満足げに見ていた。
これを狙っていたのか。
クリストファーはミルアージュの狙いを理解した。
皆の前で領主よりもダミアンの方が地を治めるのに優れている。
そうアピールしたいのだ。
クリストファー自身もこの茶番がミルアージュによって仕組まれたものだとわかるが、それでもダミアンの好感度を少し上げていた。
王太子の前でも堂々と自分の意思を貫き、自分の主人である領主にも理不尽があれば屈しない。
貴族のような身の保身でも自己の欲でもない。
民衆の代表としての立場を優先する。
ミアが見込んだ人間ということか。
どこで見つけてくるのか。本当に。
「王軍が動いた理由はなんですか?」
ダミアンがクリストファーに聞いた。
「暴動の可能性が高いとの申請が出ていた為だ。」
クリストファーの返答にその場にいた者たちは動揺していた。
「私たちが暴動を起こすと言っていたのですか?」
ダミアンは青ざめているが、何とか言葉を発した。
ダミアンだって王軍が出てくるということは援軍を領主が求めた事はわかっている。
それでも信じたくはなかった。
「そうだ。」
そんなダミアンの思いをクリストファーは簡単に崩してしまった。
「領主様、これはあんまりです。私たちはこの地で飢えて死ぬところまで追い詰められたのを頑張って立て直しただけです。どうしてそれが暴動になるのですか?」
ダミアンは領主を皆の前で非難した。
「誰に向かって口を聞いているんだ?平民であるお前にそんなことを言われる覚えはない!この街をどうしようと所有者の私の勝手だろう。」
領主はダミアンに怒鳴りかえした。
こんな場にも関わらず、貴族である自分が平民であるダミアンから非難されるなんてプライドが許さなかった。
「平民ではないわよ?ね、アビーナル。」
ミルアージュは待ってましたとばかりにアビーナルに話を振った。
「…はい。ダミアンは私の家門の者です。」
アビーナルはダミアンが家門の一員である証明書を出した。
領主はそれを奪い取り内容を確認し愕然としていた。
「なぜ?こんな名門に平民が…」
アビーナルの家門はルーマン王国内でも王の側近も務めるほど力のある家門だった。
キュラミールが軍人、アビーナルの家門は文官として活躍する場面が多かった。
アビーナルをこの地で働かせるのはアビーナル自身の成長のため。
だが、他にも理由があった。
アビーナルの家門にダミアンを入れるためにはダミアンの優秀さや人間性をアビーナルに示す必要があった。
いくら王太子妃の依頼であれ家門の害となる恐れがある人間を引き込むことなどできないとアビーナルが断る可能性があったから。
アビーナルは用心深い。
取引するにもダミアン自身を認めなければ進まない話だった。
フフンとミルアージュは笑った。
この地を守る貴族がいないのなら作ればいい。
このやり方は貴族の反発を大きく買うのもわかっている。
だが、要の地をキュラミールの好きにはさせられない。
だからこそ正攻法を選んだ。
大義名分が大好きな貴族が何もいえないように。
「お前たちで話し合え。私は口を挟まないから安心しろ。」
クリストファーは最初にそう宣言した。
王太子の宣言をそのまま信じる者はこの場にはいない。
口を挟むつもりがないならこんな国境近くの王都から離れた地に来るはずなんてないのだから。
「では私から領主にお聞きします。なぜこのタイミングで兵を連れて来たのですか?」
ダミアンは領主に聞いた。
「領主が領地の見回りに来て何が悪い?」
悪びれる事なく領主は返答する。
「いえ、それが悪いとは言っておりません。なぜこのタイミングで兵を連れているのかと聞いています。今年は税もしっかりと払っていたはずです。」
「それは…」
「私たちに何か怪しい動きはありましたか?しかもなぜ王軍がここまで来るのですか?」
「…」
ダミアンは領主のみを見据えていたが、領主はチラチラとクリストファーの反応を見ていた。
自分の発言一つで危うい立場となるのがわかっていたから。
その様子をミルアージュは満足げに見ていた。
これを狙っていたのか。
クリストファーはミルアージュの狙いを理解した。
皆の前で領主よりもダミアンの方が地を治めるのに優れている。
そうアピールしたいのだ。
クリストファー自身もこの茶番がミルアージュによって仕組まれたものだとわかるが、それでもダミアンの好感度を少し上げていた。
王太子の前でも堂々と自分の意思を貫き、自分の主人である領主にも理不尽があれば屈しない。
貴族のような身の保身でも自己の欲でもない。
民衆の代表としての立場を優先する。
ミアが見込んだ人間ということか。
どこで見つけてくるのか。本当に。
「王軍が動いた理由はなんですか?」
ダミアンがクリストファーに聞いた。
「暴動の可能性が高いとの申請が出ていた為だ。」
クリストファーの返答にその場にいた者たちは動揺していた。
「私たちが暴動を起こすと言っていたのですか?」
ダミアンは青ざめているが、何とか言葉を発した。
ダミアンだって王軍が出てくるということは援軍を領主が求めた事はわかっている。
それでも信じたくはなかった。
「そうだ。」
そんなダミアンの思いをクリストファーは簡単に崩してしまった。
「領主様、これはあんまりです。私たちはこの地で飢えて死ぬところまで追い詰められたのを頑張って立て直しただけです。どうしてそれが暴動になるのですか?」
ダミアンは領主を皆の前で非難した。
「誰に向かって口を聞いているんだ?平民であるお前にそんなことを言われる覚えはない!この街をどうしようと所有者の私の勝手だろう。」
領主はダミアンに怒鳴りかえした。
こんな場にも関わらず、貴族である自分が平民であるダミアンから非難されるなんてプライドが許さなかった。
「平民ではないわよ?ね、アビーナル。」
ミルアージュは待ってましたとばかりにアビーナルに話を振った。
「…はい。ダミアンは私の家門の者です。」
アビーナルはダミアンが家門の一員である証明書を出した。
領主はそれを奪い取り内容を確認し愕然としていた。
「なぜ?こんな名門に平民が…」
アビーナルの家門はルーマン王国内でも王の側近も務めるほど力のある家門だった。
キュラミールが軍人、アビーナルの家門は文官として活躍する場面が多かった。
アビーナルをこの地で働かせるのはアビーナル自身の成長のため。
だが、他にも理由があった。
アビーナルの家門にダミアンを入れるためにはダミアンの優秀さや人間性をアビーナルに示す必要があった。
いくら王太子妃の依頼であれ家門の害となる恐れがある人間を引き込むことなどできないとアビーナルが断る可能性があったから。
アビーナルは用心深い。
取引するにもダミアン自身を認めなければ進まない話だった。
フフンとミルアージュは笑った。
この地を守る貴族がいないのなら作ればいい。
このやり方は貴族の反発を大きく買うのもわかっている。
だが、要の地をキュラミールの好きにはさせられない。
だからこそ正攻法を選んだ。
大義名分が大好きな貴族が何もいえないように。
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