わがまま妃はもう止まらない

みやちゃん

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「ああ、この2人だけの空間がずっと続けばよかったのに。」
クリストファーはブツブツと独り言を言っている。

「…」

王都に戻る馬車はミルアージュとクリストファーの2人きり。
王城が近づいてくるとミルアージュはホッとした。
クリストファーはミルアージュを抱きしめて息もできないくらいずっとキスをしまくっていたからだ。
正直恥ずかしくて仕方ない。

「クリス、誰かに見られたら困るわ。やめて。」

「いやだ、私は見せつけたいのだ!ミアがやっと私のものになったのだから。誰にも何も言わせないくらい。」
ずっとそばにいてくれると約束してくれたミルアージュにクリストファーが遠慮しないと言いたいが、かなり抑えていた。

今ここで体の関係を迫ればドン引きされ、しばらく口をきいてもらえないのはわかっている。
クリストファーは本気で拒否されないギリギリを狙って抱きしめながらのキスとなった。

ミルアージュは馬車での長距離移動…よりクリストファーの求めに応えるのに疲労困憊していた。

「ここから本格的に私達が愛し合っているのを見せつけないとな。」

不仲説から今回のミルアージュ不在までの間に問題がある貴族の炙り出しもできている。
ミルアージュの提出していた改革案の拒否、反発。
私腹を肥やす都合悪い者たちが反対派に回ってくれたので目星をつけやすかった。

何よりクリストファーを苛立たせたのは次の王太子妃や愛妾の紹介。
ミルアージュの後釜を狙っている令嬢の争いは本当に醜かった。

長い数ヶ月。
その苦労はミルアージュの一言で全てが吹き飛んだ。



「ミルアージュ妃!戻ったか!」
謁見の間でルーマン王の前にクリストファーとミルアージュが並んだ時、貴族達は呆然とするなか、ルーマン国王の喜ぶ声だけが響き渡った。

突然姿を消したミルアージュが暴動を抑えに遠征に出ていた王太子と共に帰還するとは誰もが予想していなかった。

ミルアージュの帰還を喜ぶ者、嫌悪感で見る者様々ではあったが、隣に立つクリストファーはミルアージュに危害を加えられないよう周囲の人間を威嚇していた。

ミルアージュはずっとそばにいてくれると約束してくれた。
だが、貴族たちの心ない攻撃に心が折れる日が来るかもしれない。
一番厄介なのはミルアージュ以外への攻撃だ。
ミルアージュは自分より他の者達が傷つく事を何よりも嫌がるのだから。
これからはさらにミルアージュの周囲にも気を配らねばとクリストファーは意気込んでいた。

「ミルアージュ妃、体調はどうだ?静養してよくなったか?」

ルーマン王は実の娘にいうように優しく話しかけた。

「はい、ご迷惑をおかけしました。王太子殿下のおかげでもうすっかり良くなりました。」

ミルアージュはニッコリと笑った。
そのまっすぐな笑顔を見てからルーマン王はクリストファーに視線を送った。

「クリストファー、ご苦労だった。よく私の政務官を連れてきてくれた。」

「あなたの政務官の前に私の妃ですが。先に言っておきますが、しばらくあなたの政務官には復帰しません。離れ離れになっていた私達には愛を確かめ合う時間が必要ですから。」
クリストファーはルーマン国王に向かいミルアージュとの2人だけの時間を過ごすと言い放った。

「お前は変わらないな。ミルアージュ妃に嫌われるぞ。」

「ご心配なく。ミアはもう何があっても私のそばから離れる事はありませんから。これからは思う存分愛し合っていく予定です。」
ルーマン国王の嫌味にクリストファーはドヤ顔で返す。

「クリス、もうやめて。」
ミルアージュはクリストファーの袖を引っ張り小声で話しかけた。
恥ずかしくて顔から火が出そうなくらい赤面していた。

「ん?早く部屋に行きたい?疲れているようなので退室してもよろしいでしょうか?報告はアルトから聞いてください。」
クリストファーはルーマン国王に一礼しミルアージュの腰に手を回し強制的に退室しようとした。

「待て待て!お前がミルアージュ妃を溺愛しているのは知っているが、やるべき事をしてから部屋に戻れ!どうせ一週間は出てこないつもりだろう?」
ルーマン国王の焦りを含んだ声が聞こえる。

「…一ヶ月ですね。そろそろ子も欲しいので。今私が一番やるべきことではないですか?」
この時点でクリストファーは真剣に返答していた。
隣のミルアージュの顔が赤面から殺気の出ている笑顔に変わるまでは…

「というのは冗談としてやはり二週間…いや一週間でいいです。」
ミルアージュの顔色を伺いながらクリストファーは国王に返答していく。

「では一週間の休暇をやるからその後はバリバリと働いてもらうぞ。お前がいなくて溜まっている仕事も多い。下がってよい。」
国王から許可が出て2人は退室した。

貴族達は騒ついた。
子?ミルアージュ妃は子ができないのではなかったのか?
今更なぜそんな事を王太子が言い出したのか困惑していた。

「クリストファーはミルアージュ妃一筋だ。側妃も愛妾ももたないと言っている。これ以上馬鹿げた書状を送ってこないようにな。」
国王は貴族達を牽制した。
娘の紹介という馬鹿げた書状でクリストファーがどれだけ不機嫌だったのか知っている者は少ないが、国王も側近達もかなり辛い日々を過ごしていた。


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