175 / 252
175
しおりを挟む
ミルアージュが何を考えてその提案をしているのかわからない者たちは混乱していた。
ニコニコと笑うミルアージュに言葉を返す者はいない。
この同盟の立役者となるミルアージュに盾突いて自国の不利な状況に巻き込まれるだけは避けたいという思惑が見え隠れする。
ゴクリと唾を飲み、レンラグス大臣は口を開く。
「ミルアージュ妃様…それは我が国の問題ですので何とぞお許しください。」
大臣はミルアージュに深々と頭を下げる。
汗が流れるのを見るとかなり緊張しているのが皆に伝わっていた。
「そう、それがレンラグスの結論で良いのね。ブラン次期国王?」
ミルアージュの機嫌が悪くなったというように急に声が低くなった。
「ちなみにマリアの嫁ぎ先はどこが良いと考えている?」
ブランはミルアージュに聞いた。
ブランはわざとに難しい顔をしている。ミルアージュの意図は伝わっているようだ。
「フフッ、マリア王女と護衛のムランドが良いと思うのよね。年齢もちょうど良いくらいだわ。仲良かったもの。」
ミルアージュはブランにそう返した。
「それは…いくらなんでも身分差がありすぎます!」
大臣は慌ててブランの答える。
「あら?王族の会話に口を挟むような無礼者が国代表なんてどうなのかしら。」
ミルアージュはキッと大臣を睨みつけた。
ミルアージュの圧に耐えられる者などこの世に少ない。
クリストファーやアンロックの軍部大将ですら怯むのだ、こんな文官出身の大臣など問題外。
大臣は倒れそうなくらい真っ青になった。
「我が国の者の無礼を謝る。ただ護衛との結婚など前代未聞だ。ここでは決定はできない。国に持ち帰らせてくれ。」
ブランは困ったような顔をしながら大臣の前に立った。
「いいわよ。もしうまくいったなら、こちらから信用できる商人を派遣してあなたの国特産を販売できるルートと人の確保を約束する。まだ概算だけど、取引価格はこのくらいを考えていてレンドランド国王の了承は得ているわ。」
ミルアージュはまだ真っ青になっている大臣に書状を渡した。
その書状を見た大臣とブランは目を大きく見開いた。
「こんな金額になるなんて信じられない…」
ブランも声を漏らした。
レンラグスは内戦が続いた事もあり、国力は下がり民は明日の生活にも困窮していた。
目先の利益に囚われて販売ルートを開拓する余裕がなかったのだ。
ルーマン、アンロックとは正式に国交はなく、他国から来た商人に言い値で特産を販売していた。
レンラグスで取れる石や薬草はかなり需要が高いものだ。
かなり高価で売買される。
アンロックやルーマンに輸入される時にはレンラグスから出された時の何百倍もの価格に跳ね上がっていた。
内戦で危険エリアであったレンラグスとの取引は真っ当な商人はしない。
だからこそ、そんな無茶苦茶な取引が行われてきたのだった。
その書状に目を通した大臣はブランに目をやり、お互いの意思を確認した。
マリアを他国に嫁がせる恩恵よりもミルアージュの意向に添い、この取引を成功させる方が得策だとわかったから。
「マリアの件、了承しよう。他国の王族への嫁入りはさせないと約束をする。」
ブランはミルアージュの意に沿う事を約束した。
「そう、よかったわ。マリア王女は王族の器ではないもの。あんな可愛らしい方に王族としての苦労をかけるなんて忍びなかったのよ。」
ミルアージュを知らない大臣はその言葉を嫌味として受け取った。
だが、ブランの目に潤んでいた。
マリアが王族の器ではない…
これはブランもマリア自身もよくわかっている事。
自殺未遂を起こすほど追い詰められていた妹を救える道が開けた。
ブランは心の中でミルアージュに感謝するしかなかった。
ニコニコと笑うミルアージュに言葉を返す者はいない。
この同盟の立役者となるミルアージュに盾突いて自国の不利な状況に巻き込まれるだけは避けたいという思惑が見え隠れする。
ゴクリと唾を飲み、レンラグス大臣は口を開く。
「ミルアージュ妃様…それは我が国の問題ですので何とぞお許しください。」
大臣はミルアージュに深々と頭を下げる。
汗が流れるのを見るとかなり緊張しているのが皆に伝わっていた。
「そう、それがレンラグスの結論で良いのね。ブラン次期国王?」
ミルアージュの機嫌が悪くなったというように急に声が低くなった。
「ちなみにマリアの嫁ぎ先はどこが良いと考えている?」
ブランはミルアージュに聞いた。
ブランはわざとに難しい顔をしている。ミルアージュの意図は伝わっているようだ。
「フフッ、マリア王女と護衛のムランドが良いと思うのよね。年齢もちょうど良いくらいだわ。仲良かったもの。」
ミルアージュはブランにそう返した。
「それは…いくらなんでも身分差がありすぎます!」
大臣は慌ててブランの答える。
「あら?王族の会話に口を挟むような無礼者が国代表なんてどうなのかしら。」
ミルアージュはキッと大臣を睨みつけた。
ミルアージュの圧に耐えられる者などこの世に少ない。
クリストファーやアンロックの軍部大将ですら怯むのだ、こんな文官出身の大臣など問題外。
大臣は倒れそうなくらい真っ青になった。
「我が国の者の無礼を謝る。ただ護衛との結婚など前代未聞だ。ここでは決定はできない。国に持ち帰らせてくれ。」
ブランは困ったような顔をしながら大臣の前に立った。
「いいわよ。もしうまくいったなら、こちらから信用できる商人を派遣してあなたの国特産を販売できるルートと人の確保を約束する。まだ概算だけど、取引価格はこのくらいを考えていてレンドランド国王の了承は得ているわ。」
ミルアージュはまだ真っ青になっている大臣に書状を渡した。
その書状を見た大臣とブランは目を大きく見開いた。
「こんな金額になるなんて信じられない…」
ブランも声を漏らした。
レンラグスは内戦が続いた事もあり、国力は下がり民は明日の生活にも困窮していた。
目先の利益に囚われて販売ルートを開拓する余裕がなかったのだ。
ルーマン、アンロックとは正式に国交はなく、他国から来た商人に言い値で特産を販売していた。
レンラグスで取れる石や薬草はかなり需要が高いものだ。
かなり高価で売買される。
アンロックやルーマンに輸入される時にはレンラグスから出された時の何百倍もの価格に跳ね上がっていた。
内戦で危険エリアであったレンラグスとの取引は真っ当な商人はしない。
だからこそ、そんな無茶苦茶な取引が行われてきたのだった。
その書状に目を通した大臣はブランに目をやり、お互いの意思を確認した。
マリアを他国に嫁がせる恩恵よりもミルアージュの意向に添い、この取引を成功させる方が得策だとわかったから。
「マリアの件、了承しよう。他国の王族への嫁入りはさせないと約束をする。」
ブランはミルアージュの意に沿う事を約束した。
「そう、よかったわ。マリア王女は王族の器ではないもの。あんな可愛らしい方に王族としての苦労をかけるなんて忍びなかったのよ。」
ミルアージュを知らない大臣はその言葉を嫌味として受け取った。
だが、ブランの目に潤んでいた。
マリアが王族の器ではない…
これはブランもマリア自身もよくわかっている事。
自殺未遂を起こすほど追い詰められていた妹を救える道が開けた。
ブランは心の中でミルアージュに感謝するしかなかった。
1
あなたにおすすめの小説
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
七日後に神罰が落ちる。上層部は「下を切り捨てろ」と言った——私は全員を逃がす
蒼月よる
ファンタジー
七日後、この港に神罰が落ちる。
追放された元観測士イオナだけが、その事実を知っていた。
しかも災害は自然現象ではない——誰かが、意図的に引き起こそうとしている。
港の上層部はすでに手を打っていた。「下層区画を緩衝被害区として切り捨てる」秘密契約。被害を最小限に見せかけ、体制を守る冷徹な計画だ。
イオナは元護送隊長ガルム、荷運び組合長メラとともに動き出す。
犯人を暴き、証拠を公開し、住民を逃がし、工廠を止める——すべてを七日で。
被害を「選ぶ」管理か、全員を「残す」運用か。
追放観測士の、七日間の港湾カウントダウン・サスペンス。
この作品は以下の箇所にAI(Claude Code)を利用しています。
・世界観・設定の管理補助
・プロット段階の壁打ち
・作者による執筆後の校正
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
婚約破棄された公爵令嬢は虐げられた国から出ていくことにしました~国から追い出されたのでよその国で竜騎士を目指します~
ヒンメル
ファンタジー
マグナス王国の公爵令嬢マチルダ・スチュアートは他国出身の母の容姿そっくりなためかこの国でうとまれ一人浮いた存在だった。
そんなマチルダが王家主催の夜会にて婚約者である王太子から婚約破棄を告げられ、国外退去を命じられる。
自分と同じ容姿を持つ者のいるであろう国に行けば、目立つこともなく、穏やかに暮らせるのではないかと思うのだった。
マチルダの母の祖国ドラガニアを目指す旅が今始まる――
※文章を書く練習をしています。誤字脱字や表現のおかしい所などがあったら優しく教えてやってください。
※第二章まで完結してます。現在、最終章をゆっくり更新中です。書くスピードが亀より遅いので、お待たせしてすみませんm(__)m
※小説家になろう様にも投稿しています。
砕けた愛
篠月珪霞
恋愛
新婚初夜に男に襲われた公爵令嬢エヴリーヌは、不義密通の罪を被せられた。反逆罪に問われた彼女の一族は処刑されるが、気付くと時間が巻き戻っていた。
あなたへの愛? そんなものとうに、砕け散ってしまいました。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる