わがまま妃はもう止まらない

みやちゃん

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「2人の問題はまとまったとして‥では、ミルアージュ殿、そろそろ出発するか。」
マカラックはコホンと咳払いをしてから、クリストファーとミルアージュを見渡した。

ミルアージュは「よろしくお願いします。」と頭を下げたが、クリストファーはいきなり機嫌が悪くなった。

「私が一緒に行くのに。」
拗ねたようにミルアージュを睨むクリストファー。

ミルアージュに仲間はずれにされた悔しさを隠そうともしない。
そんなクリストファーの頭をミルアージュは撫でた。

気持ちよさそうに目を閉じるクリストファー。
また2人だけの世界を作っていた。

もう一度マカラックは咳払いをする。

「今回は救出ではないから私とミルアージュ殿だけなら最後までバレずに事が進められる。」
2人の甘い空気を断ち切るようにマカラックは言った。

そう、マカラックの力も万能ではない。
自分ともう1人しか瞬間移動はできない。

その事はルーマン国王救出の際に説明していたし、クリストファーだってもちろん知っている。

だが、ミルアージュと本当の意味で結ばれたこんな喜ばしい夜に離れる事がどうしても嫌だった。

「そういう事だから大人しく待っててくれる?」
まだミルアージュはクリストファーの頭をナデナデしている。

クリストファーはそのミルアージュの手を取ってキスをした。

「わかった。すぐに戻ってこい。こんな夜にバラバラで過ごすなんてありえない。今夜は寝かせないから。」

クリストファーはミルアージュの手をを持ったまま、ミルアージュを見つめた。

その熱がこもった真剣な眼差しを見てクリストファーが何を言おうとしているのかがわかり、ミルアージュは顔を真っ赤にした。

「マカラック様もわかっていますね?」
クリストファーはマカラックにも念を押した。

「‥わかっている。見てくるだけならそれほど時間はかからないだろう。」
マカラックはクリストファーの圧をかわし、ため息をついた。

その様子を見たクリストファーはやっとミルアージュの手を離した。









領城は静けさの中に見回りの靴音だけが聞こえる。
明かりは灯されており、真っ暗ではない。
だが、人の全くいない廊下は不気味な静けさに包まれていた。

「マカラック様、少し様子がおかしくないですか?」

2人は見回りが離れるまで物陰に隠れてやり過ごした。
ミルアージュは見回りが遠かったのを確認し、マカラックに声をかけた。

夜中とはいえ、あまりに人がいない領城は不気味ささえあった。

ミルアージュは生まれも嫁ぎ先も王城であったため、夜の領城はこんな感じなのかわからず、マカラックに聞いた。

「いや、そうだと思う。私から見ても、あまりに静かすぎる。」
マカラックもミルアージュの言うことに同意して頷いた。

あの貧困に喘いでいたマカラックの領地ですら、領城にまだ人の動きがあった。

この城には重病の領主がいる。
それならば、看病をするため、普通の城よりも人の動きがあってもおかしくないはずだ。

人が出入りしたり、より護衛で守られているところが領主の部屋。

通常このくらい大きな領城ではすぐに見つかるはずなのに。
ミルアージュとマカラックの予想とはるかに違う領城の様子に嫌なよかんがしていた。

「一つずつ探していたら朝になりそうだな‥」

「そうなりますね‥ルービオに聞いておけばよかったわ。」
ミルアージュはボソリと言った。

ルービオを裏切り者にはしたくなかった。
今でもそう思っているが、こう部屋が多いと探すだけでも一苦労だ。

クリストファーから客間などは教えてもらっていたから省けるのが救いだった。

「とりあえず、一つずつ確かめでるか。」

「そうですね‥」

ミルアージュもマカラックもイライラしながら待つクリストファーため息が漏れた。



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